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出来ること

「あれ?今度は穢れ持ちだね」

最初の客の後は暫くは平穏だったのだが、5時過ぎに穢れを溜め込みすぎて体がもっそり黒ずんで見える男が来た。


「4日間も何も無かったのに、一気に2人だなんて不思議」

碧がちょっと首を傾げる。


日曜日に始めて、毎日延々と愚痴に近い話を盗み聞きしてきてかなり疲れたんだよねぇ。

何か進展があったのは良いにせよ、重なるのはちょっと気になる。


碧と首を傾げつつ耳を傾けていたら、占い師とのセッションが終わりに近づいてきた。

『悪い気が溜まってきています。

奥に大きな桜の木があるご近所の神社にでも行ってお祓いすると良いでしょう』

占い師が助言していた。


最初の大きな杉が生えた神社って言うのも適当な出まかせじゃあ無かったんだねぇ。

とは言え、桜も神社に良く生えているんだよね。


困った顔をした客にさっきと同じ2つ先の駅の氷川神社を勧めていた。


『ありがとうございます。

あそこの氷川神社でしたら仕事で任されている部屋の近くなので、明日にでも家主さんに挨拶に行く際に寄ります』

客が別れの挨拶をしつつそう言っているのが聞こえる。


「あ〜、水曜日って不動産屋とかが休みなんで、定休日を利用して不動産屋で働く人が来てるのかも?

色んな物件に足を運ぶから不動産屋って憑かれやすいんじゃない?」

碧がぽんっと手を打って言った。


なるほど。

青木氏がいつも平気そうな顔をしていたからあまり不動産屋が憑かれやすい業種だと言う認識は無かったが、青木氏のところは黒崎さんの神社を愛用しているんだっけ。


事故物件だって任されちゃったら見に行かない訳にはいかないだろうし、案内を求められたら客を連れて行かなきゃならないしだし、うっかりヤバいのを拾う確率は高いんだろうなぁ。

とは言え、悪霊や穢れならまだしも呪いはうっかり拾うって事はないと思うけど。


最初の客が今日来たのは偶然かな?

ついでに病気持ちも来てくれたら未来見か、黒魔術の適性持ちかがはっきりするんだけどなぁ。


「どうやら本物っぽいね」

碧がズズズっとアイスコーヒーをストローで飲み干しながら言った。


「うん?

黒魔術の適性持ちの可能性もあるんじゃない?」

少なくとも完全な詐欺師では無いのは確定だと思うけどさ。


「いやだって、客の家のそばのお祓いできる神社を分かっているみたいだったじゃない。

適当な出まかせだったら全部『大きな杉の生えてる神社』で済ますでしょ」

碧に指摘されて、そう言えば神社が適当な出まかせじゃ無いんだなと自分でも思ったのを思い出した。


「そうだった。

本物っぽいですって退魔協会の方に連絡する?」

いい加減飽きてきたし。


「やってない呪いや逆回復を仕掛けるところは目撃のしようが無いとは思うけど、せめて病気持ちが来てそれを指摘するぐらいの場面は確認しないと文句を言われそうだから、まだ続けた方が良いんじゃない?」

肩を竦めながら碧が応じた。


やっぱそうかぁ。

まあ、依頼そのものが私に能力に探りを入れる為という可能性もあるしねぇ。

一週間調べた程度でちゃんと呪いに関してまともな対応をしているのが分かるんだから、態々外部に依頼を出しているのって怪しい。


もっとも、マジにそれだけ国が忙しいとか、黒魔術の適性持ちが足りないって言う可能性もあるけどさ。

だが黒魔術の適性持ちがそれだけ足りないとなると、私の使い道も一杯ありそうで怖い。

ある意味白魔術師は現代医療でかなりの部分が代用できちゃうから、機械や医療知識で代用できない黒魔術師の便利さの方が際立ってきていそう。


死霊術ネクロマシーのテロ利用が疑われるとなるとマジで困っているかもだし。

とは言え、死霊術ネクロマシー対策だったら白魔術師に結界を張らせるのが一番なんだけどねぇ。


黒魔術師が歩き回って死霊術ネクロマシーを悪臭で見つけるのは現実的に回れる時間と範囲を考えると役に立つ状況が非常に限定的になるが、危険そうな場所に白魔術師の結界を張っておけば結界の魔力が尽きるまではゾンビから安全なんだから。


まあ、碧が設置できる結界の数や規模にも限界はあるが。

要は国家レベルの問題に個人で対処できる事なんて微々たるものなんだよね。

情報収集とか入国管理でしっかり頑張ってくれ。




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