表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
504/1361

やっと進展

「お!

呪われてる」

結局、観測を始めて4日目の今日まで退屈な思いをしながら客の愚痴と占い師のふわっとした助言を聞かされる羽目になった私たちだったが、今日は最初に来た客が呪い持ちだった。


「まじ??」

碧が身を乗り出す。


ちなみに依頼主側からやっと昨日返ってきた返事では、呪詛もしくはそれなりな体調不良が指摘された客は週に1人か2人程度との事だった。


客全員とはいかなくても、毎日誰かが被害に遭っているだろうと漠然と思っていた我々の予想とは大分と違っていたが、その程度の頻度でも問題解決に寄与するだけであれだけサイトにいい口コミが溢れるんだね。


ちょっと意外だ。


それはさておき。

「これを指摘しなかったら詐欺師ってとこかな?」

とは言え少なくとも呪詛を掛けている姿は目撃していないから、悪烈なマッチポンプ紛いな事をしているって云うのは国の言い掛かりっぽいけど。


「未来見なのか、呪詛を視る事が出来る才能持ちなのかでちょっと違うけどね。

呪詛を視る才能があってそれを指摘するんでも、占い師としては悩みを解決するヒントを出すって言う仕事を全うしているんだから、詐欺だって罵られる謂れはないかも?

別に未来を見ることを約束している訳じゃあないんだし」

碧が指摘する。


確かにね。

私も覚醒後に将来の事を考えている際に、本人へ憑いている霊に尋ねて占い師でもやろうかと考えた事もあったのだ。

いざとなったら本人の手相を見るフリをして記憶を読んで助言するのもありかと考えていたんだから、そっちの方がよっぽど詐欺師に近い。


悪霊とかが憑いていたら剥ぎ取ればサービスとして十分役に立つんだから良いじゃんと考えていたが、悪霊に憑かれて困っているとか呪詛で苦しんでいる客ならまだしも、それ以外の客にとって私が占い師をしていたら完全に詐欺だよね。


記憶を読んで、カウンセラーみたいな感じで助言は出来たかもだけど・・・それだったら普通にカウンセラーの資格を取って開業すべきなんだし。


「週1ぐらいで呪いに掛かった人が客に居るってだけなのかなぁ。

退魔師になれる才能持ちの発見にはなるかもだけど、国が求める情報では無いね」

ちょっと溜め息が溢れる。

別に監視対象が詐欺師だろうが未来見だろうが黒魔術師の適性持ちだろうが、ウチらの報酬は変わらない。だけどどうせだったら日本にとってプラスな方向の方が良かったんだけどなぁ。


まだ未来見じゃないと決まった訳じゃ無いんで、考えてみたら勝手に失望する必要は無いんだけどさ。

連日空振りながら色んな人の不満やら苦労話やらを聞いているせいか、なんか悲観的になってきた。

占い師って毎日こんな話を聞いていて、良くぞ鬱にならないもんだね。


それはさておき。

詐欺師を見つけるのでも、未来見を見つけるのでも、マイナスが排除されるかプラスが見つかるかの違いはあっても社会にとっては良い結果になる。


だけど黒魔術師になれる才能がある人間が見つかったところでねぇ。

退魔師に弟子入りするだけの金がなければ社会にとってプラスは無いだろうし、こないだの西田の例からすると適性が一致する、もしくは黒魔術師を教えるだけの知識がある師匠を見つけないと何百万も払ってもどっかの退魔師が儲かるだけで本人は金をドブに捨てたのと同じ結果だからなぁ。

下手をしたら無駄金使わされたって恨んで呪師になったりして、大きくマイナスになる可能性すらある。


「まあ、これで呪いを指摘できて、病気持ちも指摘できたら未来見な可能性が高くなるから、2つある条件の一つがハッキリするってだけでも良いじゃん」

碧が指摘する。


確かにね。

黒魔術師は病気なんぞ見ても分からないから、考えてみたら逆回復を掛けないなら未来見な可能性が高いよね。

となると、呪詛を指摘するか否かが重要だな!


ハネナガの目を通して観察していたら、占い師はいつも通りにお客さんに愚痴とも言える日常生活の話をさせている。

さて。

呪詛が見えていないのか、それとも占い師ってカウンセラーと同じで客に中に溜まっている鬱屈した思いを吐き出させる為に最初に好きなように話させるのが重要なのか。


考えてみると占い師って聞き上手な人じゃないとできないよねぇ。

客に1人3分で「料金は前払いね。じゃあ・・・貴方の問題はこれこれ、解決にはこうしたら良いよ。はい、次!」って感じに流れ作業で済ませていくんじゃない限り、それなりに会話をする必要はあるし、そうなると自分から話せることって例え未来見が出来るにしても限られるよね、


改めて考えてみると、聞き上手とはお世辞にも言えないタイプだし私って占い師は無理だったな。


ダラダラと如何に毎日が辛いかの話を聞いていた占い師だが、いつもは最後に漠然とした助言を与えるのに今日は違った。


『どうも、何か悪い気が溜まっているのが物事が上手くいかないのの原因の一つのようです。

神社に行ってお祓いをしたら運気が上がるかも知れません。

近所の・・・入って右に大きな杉がある神社が良いでしょう』

お!

お祓いを勧めた!!


でも、大きな杉がある神社って沢山あるよ??


『え?

神社ですか?

ウチの辺の神社って杉が生えている所が多いのですが・・・』

お客がちょっと当惑した様に応じた。


『何ヶ所か回れば行き当たると思いますが・・・ここの近辺でしたら二つ先の駅の側にある氷川神社でも大丈夫ですよ』

客が正しい神社に自分で行き当たるかは予見出来ないのか、あっさり具体的な神社の名前を占い師が挙げた。


碧の顔を見るに、ちゃんとお祓いが出来る神社らしい。

良く知ってるね〜。


取り敢えず、黒魔術の適性持ちか、マジで未来見ができる可能性が高くなったな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 術の適正無くて、見鬼だけ突出した可能性の方が高い気がするなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ