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魔法陣と解読プログラム

「そう言えばこう言う偽装された紋様って解読プログラムを使うとどう見えるんだろ?」

お守り作成に復帰して、魔法陣を真似されない様に偽装した紋様を書き付けながらふと疑問が浮かぶ。


「そう言えばそうだね。

呪詛ってどうせ呪う本人側に魔法陣があるから偽装しないと思うけど、死霊術ネクロマシーなんてどうだろ?

それに他の退魔協会で売ってる符なんかは解読されたら『先祖代々の技術が〜!』って盗まれた方は怒るだろうねぇ。まあ、実際の売却価格は霊力を込めて書く技術の方が重要・・・なんじゃないかと思うけど」

碧がちょっと顔を顰めながら言った。


ちゃんと開発者へ魔法陣の使用料を払わせる契約魔術が存在しない世界なのだ。

考えてみたら解析プログラムで偽装部分を消し去って本体部分が分かるようになっちゃったら、やっぱかなり損をする人が出てくるかも?


とは言え。

「考えてみたら、こっちでは符ってどの程度売れるの?

回復用の符は数量制限されるし、元素系の攻撃符は下手に使って周囲を破損すると損害を賠償しなくちゃならないし。

収納の符は需要があるだろうけど、あれは魔法陣じゃなくって空間魔術系の魔力持ちが少ないから高額なだけでしょ?」


「う〜ん、退魔は人気が少ない場所でやる事が多いから、それなりに悪霊が抗う様な除霊だと攻撃用の符も使う人もいるかな。

で、やっぱり効果の高い符って言うのは人気だから、どっかの家門の良い魔法陣の情報を抜き取れたらやっぱ価値はあると思う」

碧がちょっと考えてから答えた。


「ふむ。

そうなると、西田の師匠は解読プログラムが一般に流通している偽装された符を読み解くのに役に立たなかったから弟子の謝礼金代わりにするのを認めなかったのか、それとも使えたけど単に上手く教えられない弟子に嫌気がさして切り捨てたのか。

どっちだろうね?」


「どっちもありそうかなぁ。

上手く育たない弟子なんて厄介だからね。

ここ数年でその師匠の符の精度が上がって売り上げが増えているか、興味があるとこだね〜」

碧が軽く笑いながら言う。


「退魔協会にチクる?」


「どうだろ?

警察から話がいくんじゃない?

いや、西田から師匠へ解読プログラムが提供されている事は田端氏にも言ってなかったっけ?

警察が退魔協会に解読プログラムを提供して、協会がそれを会員に提供するようだったらそれとなく会話の一環で教えようかな」


退魔協会が退魔師の技術向上のために情報共有するようだったら、確かにそれを意図的に独占していた西田の師匠は罰せられるべきだろう。

だけどねぇ。

退魔協会のスタンスから言って、協会内かせいぜい幹部層と幹部になる様な名家だけで情報を独占するんじゃないかと言う気がするな。


そうなったら西田の師匠には同じ穴の狢に責められる謂れはないって突っぱねられそう。


「事件現場のPCに勝手に触れて指紋を残したり、プログラムをネットの共有フォルダにセーブしてネコババしたりしたら不味かっただろうけど・・・解読プログラムを入手できたら色々試せただろうにと思うとちょっと残念」


魔法陣って言うモノ自体がミステリーって言えばミステリーだし、その機能を研究できるプログラムが入手できないのは残念だ。


こっちは魔素が薄いせいでやりにくいが、前世では魔導師が得たい効果を念頭に浮かべながら魔力をガンガン注ぎ込むと適性にあった魔法陣だったらそれが脳裏に浮かんできた。

基礎知識や類似型の魔法陣を知っていると浮かび上がるのが早いしコツがあったとは言え、魔力を大量に注ぎ込めば魔導師になる素養さえあれば知識が殆ど無くても魔法陣が創れたのだ。

まあ、ちゃんと知識がないと莫大な量の魔力を要したから、何百年に一度クラスの天才じゃないとしっかりした教育なしに魔法陣を創るのはほぼ不可能らしいが。


それはさておき。

つまり、魔法陣とは魔導師の血か魂にでも刻み込まれた知識なのではないだろうか。

その言語を解読するプログラムがどんなロジックに基づくのか、分かれば面白そうだ。


考えてみたら、前世の魔法陣がこっちでも使えるって事は、魔力を使う人間の魂なり血なりの言語が世界を超えて共通って事なのかな?

その割に国によって言語が違うけど。

もしかして、魔素が薄いとそう言う共通言語を使う魂の集団意識みたいのが薄れてどんどん言語が枝分かれしたりするのかな?

前世の方が一つの大陸内に存在する言語数が少なかった気はするし、国内での訛りも現世程顕著じゃなかった。

そうなると、幻想界に住んでいる人類がいたとしたら、言語は完全に共通化するのかも?

まあ、幻想界に住める人類なんて神族しかあり得ないから、意思疎通も声を出して話し合うと言うよりは念話になりそうだけど。


一神教だと一柱しか居ないから関係ないけど、多神教の神様が言葉が通じなくってお互いと意思疎通出来なかったなんて神話はどこの世界にも無い。

どうせPCのプログラムなんて次世に持っていけないから、魔法陣の言語を現世のうちにちょっと研究したいなぁ。


何か警察か退魔協会から変な『お願い』をされたら、その対価にあの解読プログラムを要求してみないか、碧と相談しようかな?



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