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殺人現場が危険

「ただいま〜!」

夕方まで1日留守番する羽目になって寂しかったのか玄関まで迎えに来てくれていた源之助を抱き上げながら碧が頬擦りする。


「バッグは寝室で良い?」

碧が放り投げたバッグを拾い上げながら家の中に入った。


「ありがと、お願い〜」

温泉行っている間も運転やら温泉やら雑草刈りやらで源之助といられる時間が少なかったからね。

源之助欠乏症になっていたのかな?


源之助もちょっと碧欠乏症になっていたのか、珍しくぎゅっと抱かれているのに喉を鳴らしているっぽい。

自分から膝の上に乗ったりするのは好きな癖に、抱かれるのはあまり好きじゃないんだよね〜、あの子。


私よりは碧の方がまだ許容するみたいだけど。


自分と碧のバッグを各自の寝室に置き、台所で手を洗って冷凍庫を開く。

「面倒だからレトルトのカレーで良い?」

帰りにコンビニ弁当でも買って来ても良かったのだが、あれってちょっと味が濃くて嫌なんだよね。


カレーだったら比較的平気だが、それだったら家に買い置きしてある選りすぐりのレトルトと冷凍してある米の方が美味しいし経済的だ。


「カレー大好き〜」

源之助を抱っこしたままリビングを歩き回っている碧から返事が来た。

そんなに源之助欠乏症が酷かったの?

マジで源之助が車が平気ならキャンピングカーをゲットする必要があるかもなぁ。


仕事をしている間は車の中に閉じ込めることになるが、ある意味キャンピングカーって個室ぐらいのサイズがあるんだから、ワンルームで猫を飼うのと大して違いはない筈。

キャンピングカーの臭いとかに慣れて自分のテリトリー扱いになったら平気なんじゃないかなぁ?


高速だったら変な路上駐車とか突然な子供の飛び出しとかも無いから、気をつけていれば運転も簡単だろうから私が半分以上受け持っても良いし。

・・・そう言えば、高速で自動運転が使える車ってもう売り出されているか、近いうちに売り出されるんじゃなかったっけ?

キャンピングカーにそう言うのは無いのかな?

まあ、馬鹿高くなってしまって購入が1年ぐらい遅れそうだから微妙だが。

つうか、中古で買った車に後から自動運転の機能って取り付けられるのかな?

出来ないとしたら新車のバンを買って改造してもらうか、新しいキャンピングカーを買う必要がありそうだけど・・・そもそもキャンピングカーに自動運転機能ってついてるんかね?


そんな事を考えながら電子レンジに冷凍してあったお米を投げ込み、ケトルで沸かしたお湯を鍋に入れてレトルトを温める。

お米の上にレトルトカレーをかけてもう一度電子レンジで温めても良いんだけど、そうするとなんかお米を温めすぎる感じで微妙なんだよねぇ。

この程度だったら鍋を洗う必要もないから、私はいつもレトルトは湯煎している。


チン。

電子レンジが音を立てたので深皿にお米を入れ、カレーをかける。


碧を呼ぼうとしたところで電話が鳴った。


マジか。

これから食べるところなんだけど。


「もしもし?」

権之助を抱いたままの碧が受話器を取り上げ、スピーカーボタンを押した。


『こんばんは。

遅くにすいませんが、今大丈夫ですかね?』

田端氏の声が流れて来た。


「これから夕食なんで、手短にお願い〜」

あっさり答える碧の席にカレーのお皿を置く。

自分の席にもカレーを置き、麦茶をとりに台所へ戻る。


『それは済まなかった。

西田俊介のPCの初期化の承認が降りた。

危険で公開が禁止されている情報がある為に非常事態への特別対応と言うことになったので、パスワードを教えて欲しい』


へぇぇ。

意外と早く答えが返って来たね。

もう数日ぐらいサイバー部門に頑張らせるかと思っていたよ。


「良いの?

サイバー部門がアンロック出来ればこちらの要求に応じる必要もないのに」

碧が指摘する。


『いや、危険な情報が流出するのはこちらとしても防ぎたいからね。

魔法陣の解読ができるプログラムをうっかり失う訳にはいかないと言う、うってつけな言い訳がある方が上も消去に合意しやすくて助かるんだ』

お、ぶっちゃけたね。


退魔師が本人の霊からパスワードを聞き出して、本人の希望を伝えたって言うのも良心の咎めがなくて良いだろうし。

まあ、遺族が退魔師とか持ち出したら憤慨するようなタイプだったらパスワードをクラッキングしようとしている間に失敗して元々あったセキュリティ対策のせいで中身が消されたって言っても良いだろうし。


「そう。

じゃあ、パスワードは&qoeu10Aue95ですって。

ちなみに、魔法陣を解読するプログラムはデスクトップのサイコロのアイコンで起動すると言われたわ。

こっちのパスワードは¥kloeu109。

プログラムやその他必要な情報を抜き取ったらさっさとPCを初期化してね?

あと、警察や退魔協会のネットワークもそれなりに簡単にアクセスできるって西田幽霊は言っていたから、危険な情報はネットワークに繋がっているPCにセーブしない方がいいと思うわよ?」

碧が手元のメモを見ながら教える。


『警察のネットワークもか?!

上に伝えておくよ。

だが、これで殺人現場とかの怪しげな模様に意味がありそうな場合に踏み込む前に退魔師を呼ぶべきなのか判断出来るようになりそうだから、助かる。

前回の事件で、魔法陣内の人間を殺してゾンビ化すると言う術もあったみたいだからね。

今後殺人現場に魔法陣っぽいものがあった時にどうするか、警察側も頭を抱えていたんだ』


なるほど。

だから今回は死体が発見されて比較的すぐに退魔協会が呼ばれたのか。

確かに殺人現場の魔法陣のせいで死体が突然起き上がって捜査官を殺して捜査官までゾンビになったりしたら大変なことになる。


今までは厨二病を拗らせたバカの妄想と笑っていた紋様が、実は実効性のある物も存在し、しかもそれを使おうとしたテロリスト集団が手の届かぬ他国に居るって判明したのだ。

警察も殺人現場とかの落書きじみた紋様を慎重に取り扱う必要が出てきたのだろう。


『現場の人間が死ぬかも』ってだけだったら上層部は暫くあたふたするだけで放置した可能性が高そうだが、『警察の人間がゾンビ化して現場周辺の住民を虐殺するリスクがある』となったら手をこまねいている訳にもいかないし。


なんとも危険な世の中になってきたねぇ。



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