広さが違ったね。
「うっ臭い・・・」
何やら音がして目が覚めたと思ったら、強烈な臭いが漂ってきた。
思わず身じろぎしたら、普段のベッドで寝ていない自分に気付く。
「あ〜。
源之助のウンチかぁ」
マンションでは源之助のトイレはリビングの端っこ、碧の部屋及び廊下にあり、基本的にウチらが居ない所でやる事が多い。
それでもそれなりに強烈に臭くてウンチは直ぐにやった事が分かる。それを比較的大きめとは言っても同じ寝室内でやられると・・・かなり強烈だ。
しかも源之助ってトイレで砂を足でがすがす蹴るのに、何故か上手くウンチに砂を掛けられないことが多いんだよねぇ。
なんでだろ?
上手く砂を掛けられないならそのまま放置してくれればいいのに、一生懸命砂を蹴っているから音で目が覚めた。
で、一度目覚めたら臭いが気になって二度寝出来ない。
しょうがないので寝袋から出て猫トイレにあったウンチとおしっこで固まった砂を掃除用の袋に入れて、そっと部屋の扉を閉めてトイレに流しに行く。
ビニール袋に密封すれば臭いは止まるだろうけど、折角トイレに流せる砂を使っているのだ。
さっさと流しちゃう方が良いだろう。
「にゃぁあ!」
トイレから戻ってきてさあ二度寝・・・と思ったら今度は源之助に朝食を要求された。
最近は朝も案外と落ち着いてきて、8時か9時に起床するまで待っていてくれるんだけどなぁ。
同じ部屋にいるならさっさと出せと言うところらしい。
碧の匂いが染み込んでいるこの部屋は源之助にとってそこそこ落ち着く感じなのか、昨日は結局部屋に入ってから30分ぐらい碧と遊んだ後にはいつもの午後と同じように昼寝し始めたが、夕方に部屋へ遊びにきた碧ママやパパ及び弟の翔くん(各自別々のタイミングで来たけど)の相手で疲れたのか、夕食後は大人しくうたた寝していたし、私らも聖域での雑草刈りや前回刈った分の回収とかで疲れていたので早く寝たのだが・・・すっかり復活したようだ。
源之助は餌をあげた後も部屋の中で運動しまくり、勉強机から私の上に飛び降りてきたり、あちこち走り回ったりし始めた。
『源之助ったらやっぱり慣れない場所にいるから変な感じに興奮してるの??』
いい加減心配になってクルミに尋ねる。
『単にいつもの朝の運動にゃよ?
部屋が狭いから激しく見えるだけじゃにゃい?』
クルミがあっさり応じた。
そっか。
いつもはこの部屋の倍ぐらいあるリビングに和室、更には廊下まで走り回れるんだもんね。
一部屋だけになったらこうなるのか。
・・・つうか、これじゃあワンルームとか1LDKで猫を飼ったら大変そうだね。
一応ワンルームでも1匹なら猫を飼えるってネットには書いてあったけど。上下運動が出来るようにしたら良いんだっけ?
イマイチこの部屋だと本棚の場所が配置が悪くて登れないのが敗因かな?
勉強机から本棚まで上がって行けるように壁にキャットウォークを設置したらどうか、碧に提案してみようかな。
数ヶ月に一回程度しか来ないかもしれない訪問の為に無駄かもだけど。
でも、源之助がここを気に入ってくれたら月一ぐらいで温泉ついでに来るのもありかもだし。
佳さんのとこの温泉は会社側の設備なので、毎週来ても全然ウェルカムよ〜と昨日も言われたし、そう考えると悪霊とかに触れる仕事をしている私らは定期的にあの霊泉に浸かるのも悪く無いかも。
碧の浄化で十分綺麗になるけど、あの温泉に浸かるとスッキリ体の芯まで綺麗になった気分になるからね〜。
『そう言えば、結局源之助は車での移動は特に嫌じゃないの?』
クルミに確認する。
昨日聞いた時はイマイチ刹那的なフィードバックしか貰えなくって『今現在』どう思っているかは分かっても、2時間半近くかける車での移動がどの程度ストレスなのかは微妙に不明だったんだよねぇ。
まあ、ある意味刹那的だからこそ、体調が悪くならなくて車に乗せようとしても唸らない程度に気にしないなら、それで満足すべきかもだけど。
『特にそれ程嫌ではない感じかにゃ?
いつもの部屋から運び出されるのは腹がたつけど、気分次第で動けるしベッドもあるしまあ許すって感じ?』
許してくれますか〜。
相変わらずの上から目線だけど、私と碧は源之助の下僕だからねぇ。
源之助がバンでのお出掛けOKなら、本気でこの部屋のキャットウォーク設置を提案しようかな。