表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
469/1361

ゾンビ?!

「あれ、私たち担当で良いんですか?」

アルスタワーのオフィス棟受付に辿り着いたら田端氏が待っていた。


ちょっと意外。

退魔協会に出向扱いになっている警察の人って田端氏だけじゃ無いの?

1人しかいないならそれこそ皇居側の担当に付かせる方が良い気がするんだけど。


「東京の三か所で一番可能性が高いのが渋谷なんでね。

私に何が出来るかは不明だが、精一杯情報提供とその他の協力をする様に言付かっているんだ」

田端氏が少し固い笑顔を見せて言った。


おおう。

ウチらが当たりの確率高いんだ?

国の一大事を若い娘らなんぞに任せられるか!ってお偉いさんが文句を言わなかったのは意外だね。

本当に国防の危機な時にまでそんな馬鹿な事を言う様な人間は、意思決定の流れから排除されてるんかな?

ちょっと日本の危機管理能力を見直したかも。

ウチらが最後の砦って言うのは怖いけど。


まあ、碧と私って言う訳ではなく、実際は白龍さまに期待しているんだろうけど。

でも間に合わなくて何かが起きた場合、碧(と場合によっては私も)の命は救ってくれるだろうけど不特定多数の東京中にいる人間まで助けてくれるかはかなり怪しいと思うが。


出力は高いから、ヤバい術を見つけるのに手伝ってくれたら良いかもね。

探知能力がどの程度鋭いのかは不明だけど。


「ちなみに、結局どこの組織が何をやろうとしているんですか?」

何やらお偉いさん用なのか、人がいないエレベーターへ案内されながら田端氏に尋ねる。


「直接の実行犯は、何やら世の中が間違っているから全てを無に還して最初からやり直すべきだとか叫んでいる狂人だね。

そいつに手を貸して色々と準備させてきたのはどうやら大陸側の某専横国家な様だ。

アメリカと張り合うぐらいに台頭してきたら色々と軋轢が生じて成長の邪魔をされる様になったから、目障りなアジアの裏切り者を懲らしめて他の国にアメリカと同調しない様に脅すと共に、混乱に乗じて日本の秘匿技術も色々と盗もうと準備しているらしい」


おいおい。

『アジアの裏切り者』って。

肌の色とか過去の歴史に共通性があるからって同調して協力しなきゃいけない謂れは無いじゃん。

大体あの国って過去の勢力範囲を勝手に主張して、周囲全体は自国の下に傅くべきって頭がおかしい考え方でしょ。

そこに従属するのに合意しないと裏切り者扱いで大規模テロって・・・酷いな。


真面目にそれを信じているのか、それとも単に都合のいいレトリックとして使っているのか知らないけど、標的にされる日本は良い迷惑だ。


でも大陸側となると・・・あっちってブードゥーと並んで地球では数少ない動く死体(リビングデッド)の伝説がある地域だから、死を使った術がそれなりに発達してそうだな。

魔素が少ない現世じゃあ現代武器レベルに脅威となる魔術なんて大量な死を使った術以外はほぼ不可能な気もするから、どうしても黒魔術か呪詛系になるんだろうね。

大量殺戮用呪詛って言っても、術をかける側が大量に自殺するつもりが無くて殺した他者の死を使う呪詛系だとそれなりに特殊な術になるから、近くまで行けば見つけられる可能性はあるか。


「渋谷の候補地は何処ら辺か分かってますか?」

エレベーターが止まり、降りた先にある階段を登りながら碧が尋ねる。


「『新しいオフィスビル』らしい」

屋上への扉を開けてそれをヘリコプターの風に抵抗して抑えながら田端氏が答えた。


新しい、ねぇ。

渋谷って東急とかが頑張って再開発しているから新しいオフィスビルがやたらと沢山出来ていると思うんだけど。


どの程度だと新しいんだろ?


「術はどんな感じの物になるのか、情報はありますか?

あと、時間の猶予はどのくらいあるんです?」

術を仕掛けた実行犯とか、解除しつつある地方のとか、情報源はあるだろう。

ある程度術の形が分かれば、見つけやすくなる可能性もある。


実物を一度見せてもらえればもっと良いんだけど、流石にヘリを使っても地方都市まで見に行ってから東京に戻って見つける時間はないんだろうなぁ。


「なんかこう、ドミノ倒しみたいな感じに死を使ってどんどん事前に設置してあった呪詛が完成されていく感じで、最後に大量の感染性の高い灰をばら撒いてゾンビを溢れさす呪詛だって実行犯は思っているらしい。

時間は微妙に不明だが・・・早くて今日の日没、遅かったら今夜の3時ぐらいとの話だ」

田端氏の言葉に思わず足を止めそうになるが、碧がヘリコプターの扉を開けたのを見て慌てて前へ行く。


生きている人間をそのままゾンビにする薬なんて言うのは無い。

基本的に、まず殺さないと生きた人間は動く死体(リビングデッド)にはならないのだ。

つまり意志のない人形の様な動きをさせる様な術か、単に死んでゾンビにされるかだ。

ゾンビにするには黒魔術師の存在が必要だから、呪詛でゾンビを作るのは難しい。

それなりにターゲットを絞っているなら呪った相手を死しても拘束して意のままに操る術はあるが、これはちゃんと相手を定めて前もって術を掛けておかなければならないので不特定多数に掛けるのは無理だ。


それに。

本当に機能する感染性が高いゾンビになる物質をばら撒く術なんぞを使ったら、マジで地球が滅びかねない。

地球を丸々滅ぼしたいなら態々呪詛を使う意味がない。

被害を確実に一定の範囲内に限定する為に生物兵器や核兵器ではなく呪詛を使うのに、不特定多数に感染して殺せる様な呪詛を使っては本末転倒だ。


これは実行犯が正確な情報を持って居ないと考えるべきかな?

どちらにせよ、ドミノ倒しの様に死を使って前もって準備しておいた呪詛を完成させてより大きな呪詛にしていくって術は記憶にある。


これだったらそれなりに近づければ、見つけられるかも?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ