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霊験あらたか?

「ちなみに、壁や地面に穴を開けられる工具ってここにあります?

無いんだったら実家から持って来るので来週末にでもまた来ますが」

碧が尋ねる。


そうだよね、無いなら今日は敷地の浄化だけしてまた後日って事になるよね〜。

まあ、日帰り出来る距離なので温泉を楽しみにまた今度来ても構わないが。

ちなみに今日は久しぶりの碧の実家と言う事もあって一泊する予定だ。

ついでに聖域に寄って雑草刈りをして、春先に刈った雑草も回収するつもり。


その為にレンタカーで来たのだ。

今だったら雨が降らなければ草も早く乾燥しそうだから、一週間後ぐらいに来たら今回刈った分も回収できるかな?


聖域は梅雨の時期でもあまり湿気無いんだよねぇ。

碧は『聖域だから』でスルーしているが、あれは絶対白龍さまが碧の為に何かやってると思う。

まあ便利だから突っ込みは入れていないけど。


つうか、聖域のそばをここの源泉が通ってるなら、あそこを掘れば霊験あらたかな温泉ゲットじゃない?


まあ、聖域に地面を掘ったり掘り返した地盤を固めたりする工事用機械を持ち込めるのかは微妙だが。

それに考えてみたら温泉に関する権利って単にお湯が出てくる土地を持っていれば良いって話じゃ無かった気がする。下手に温泉の権利を有したら固定資産税も増えそうな気もするし、あまり欲張らない方が良いんだろうな。


「まだリフォーム中なので業者も居ますから、穴を開けるぐらいなら言ったらやって貰えると思いますから、場所を指定して貰えますか?」

温泉と聖域の事を考えていたら、あっさり恭弥さんが碧の質問に応じた。


そっか、まだリフォーム工事が終わって無いんだ。

勝手に工事内容を増やしたら業者に文句を言われそうだが、数箇所切り込みを入れる程度なら煩い事は言われないのかな?


「じゃあ、碧が敷地を浄化している間に私が結界を確認しておくね。

何かマーキングができるチョークか鉛筆でもあります?」

チョークだったら水洗いしたら落ちるよね?

鉛筆は消しゴムでなんとかなると思うし。


駄目かな?


自分で言って不安になっていたら、恭弥さんがカバンから丸い何かを取り出して渡してくれた。


「マスキングテープですが、これで印を付けられませんか?

工事で気になった場所に目印をつける為に持ち歩いているんです」


おお〜。

なるほど、便利そう。

元々マスキングテープって工事に際に汚れ防止で貼る、跡を残さずに簡単に剥がせるテープって話だもんね。


これで結界の魔法陣の位置をマーキングしつつ、どこを切れば良いか印を付けて碧と相談すれば良いかな。


「んじゃ、外の作業をやってくるね」

碧が声を掛けて出て行く。

恭弥さんが敷地内の案内に付いて行ったので、湯殿の中は私だけになった。


う〜ん、折角だから結界を破棄する前にここでお風呂に浸かりたいところだ。

まあ、湯船に入ればほぼ違いは無いんだろうけどね。

マジでこの結界って湯殿のビジュアル的な効果以外にはほぼ意味がない。

集中して確認しても、温泉から出てくる霊気を閉じ込める以外の効果は無いし。

つうか、霊気の一部を使って結界を補強してるから、ある意味無駄な作業に霊力を費やしているだけだよねぇ。


この湯殿に建物を建てさせた前代なり前々代なりの日記でもあったら読んでみたいところだが・・・まあ、そんな物が見やすい形で残っていたら、最後の持ち主が温泉宿を瘴気塗れにして潰す羽目にはならなかったんだろうね。


この湯殿はそこそこ良い木を使った古い建物っぽいから、50年ぐらいは前かも?

それとも湯殿なんて湿気で駄目になるからちょくちょく建て替えてるのかな?

だとしたら情報の逸失がどこで起きたのか、ちょっと不思議だけど。


しっかりとした良い木を使っていたら、ちゃんと湿気対策を数年おきにしっかりしておけば100年ぐらい保つのかね?

どっかの温泉で有名な盆地に行った時に、明治天皇とか夏目漱石(か誰かあの時代の文豪)が泊まったって古い新聞記事の写真が飾ってる宿があった気がする。

街中の温泉宿を6ヶ所ぐらい回れる回遊チケットみたいので入った所だったから余りよく覚えてないけど。


あそこが建て替えてなければ、維持をしっかりしていれば明治時代ぐらいから使い続けられるとなると150年近くかも?

そこまで前だったら結界を付けた理由なんて記録すら残ってないだろうなぁ。


しっかり魔法陣を確認して魔力の流れを視たところ、意味不明とは言え、結界を作った人の腕は中々良かった。

スッキリ綺麗な無駄のないラインで魔力が流れ、効率的に霊気が湯殿の外に広がるのを遮断している。

そのせいもあってこの温泉宿が潰れたんだろうから、どうせだったら腕の悪い詐欺師で全然効果が無かった方が良かったかもだけどね〜。


まあ、しっかり後継ぎが浄化費用をケチらず、時代の流れに沿ったサービスを提供し続けていれば生き残れたんだろうから、この結界だけが悪かった訳じゃあないけど。


取り敢えず切り込みを入れて魔法陣を壊す場所ははっきりした。

マスキングテープを貼って、待っている間に足先だけでもお湯に浸けて待ってるか。


うん、気持ちが良い〜!





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