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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学2年

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一応解決

警察から事情聴取を受けたり、一緒に皆で北沢透ロクデナシの襲撃シーンの動画を見たり、警官の意識下に北沢透ロクデナシの家で庭の物置も調べる事を刻み込んだりしたりと忙しかった1日だったが、やっと夕方に家に帰れた。


「上手くいった?」

碧が玄関閉めてから尋ねる。


「うん、これからは何かを害する為に薬品や武器を手に取ったら、まず自分にそれを使いたくなる様にガッツリ暗示を刻み込んでおいたから、犬や他人を害する前に体がボロボロになると思う」

警官が皆を移動させる為にパトカーを呼んで待っている間に、しっかり北沢透ロクデナシには術を仕込んでおいた。


考えてみたら化学薬品を使えなくなったら包丁で人に切りつける事だって出来るので、危険な物を害する為に使う意思と共に触れたら『手が震える』のではなく、『自分に思う存分試したくなる』ように行動の方向性を変えておいたのだ。


絶対に自分を傷付けない程に自己愛が確固としている人間って滅多にいないからね。

病的にまで強固な自己愛に恵まれた(?)人間以外、誰でも時折自己嫌悪を感じたり、自分を貶める言動をする他者が正しいのでは無いかと密かに恐れる瞬間がある。


それが行き過ぎると自殺や自傷に繋がるが、大抵はそこまで行く前に痛みへの恐怖や自己防衛本能から自傷は思いとどまる。


他者への暴力や襲撃も同様に、ちょっとした衝動を感じても見つかった時の影響の大きさや相手への思いやりなどから思い留まる人間が多いのだが・・・北沢透ロクデナシは他者への思いやりがほぼ欠如していた。お陰であいつは物事が上手くいかなかった際に自己嫌悪はあっても自己よりも他者を傷付ける方向に意識が動いていたのだが、『傷付ける』行為を全て『自己』へ向ける様にこっそり精神にちょっとしたギプスを取り付けておいたのだ。


言うなれば骨を折ってちょっと曲げて繋いでいるようなものだが、あいつが誰も傷付けようとしなければ本人も怪我をすることはないから、問題はない。

私のカルマ的なマイナス評価も比較的軽いと期待している。

他者を傷付ける代わりに自業自得を強制しているだけだもの。


やっぱねぇ。

法律がヤバい人間を人を殺す前にしっかり拘束するシステムになっていないから、ある程度は私が泥を被るのもしょうがないだろう。

ある意味、ほぼ確実に将来誰かを殺すであろう人間を見て見ぬ振りをして放置するのだってマイナスなカルマになると思うし。


ちなみに殺虫剤の研究が長じて『傷付ける』と言う意図ではなく虫の駆除の如き考えでGより大きな存在を『駆除』しようと行動する場合も、まず自らを駆除するようなループを仕込んでおいたので、数年後にあいつが大量殺人を犯そうとどっかの駅とかコンサート会場に忍び込んだなんて記事を読む事も無いと思う。


今の地球だと変な宗教とか科学的思想に染まると人間を駆除する事が地球の為に最適だと思って行動する可能性もあるからね。

まあ、実際に地球の人間以外の生命にとっては人間がいない方が絶滅の可能性がぐっと下がるとは思うけど・・・流石に人類の駆除は困る。


と言う訳で、あいつはこれからは一応殺虫剤の研究は仕事が見つかれば続けられるが、殺鼠剤は作れない。

まあ、警察に捕まる様な事件を起こした相手を雇う会社なんて無いと思うけど。


結局、イマイチ杉本さんや他の犬の飼い主達を納得させる事のできる説明を思いつけなかったので、北沢透ロクデナシを動物虐待や傷害罪で追及するのを止められなかったんだよね。

人間に対する傷害罪でも殺人未遂じゃ無かったら多分3年ちょっと程度しか刑務所に入らないだろうと知って杉本さんたちの顔が引き攣っていたけど。


でも、少なくとも前歴が付いたら製薬会社とかで更に仕事を見つけにくくなるだろうし、危険な薬品を入手しにくくなる・・・と思いたい。


日本の企業って誰かを雇用する際に、『前歴はあるか』って聞くにしても実際に確認を取るのかは怪しい気がするからちょっと心配だけど。


杉本さんは他の飼い主と一緒に、そう言う生き物を虐待する人間が出所したり不起訴になって普通にそこら辺に住んでいたりしていたら周囲の飼い主に注意喚起出来るような情報収集と発信をするNPOを始めると言っていた。


危険な人物の情報を動物の飼い主が仲間の中で共有するのは重要だよね。

とは言え、個人情報とかプライバシーとかの問題があるし、どの程度情報を集められるかは微妙に疑わしい気がするけど。


一度報道さえされれば犯罪履歴って一般人の『知る権利』として広めても大丈夫な筈だけど、起訴される程まで重要視されなかったり、証拠が固まらなかったらどうなるんだろ?

起訴されたとしても報道されるとは限らないだろうし。


意思を縛れる魔術のある世界で生きていた私にとって、再犯の抑止力が足りないのに中途半端に人が罰せられだけな現世ってなんとも不自由に見える。


こっちの世界にも魔術が一応存在するんだから、再犯が出来ないようなシステムを作れれば良いのに。

まあ、そうすると下手をしたら黒魔術師の隷属化にも繋がりかねないのが困ったところなんだけどね。




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