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足どり

どうも犯人(同じ奴なら)は最初は水鉄砲という飛び道具で鳩や雀、鴉と言った鳥を狙うのが好きだったらしい。

ただまあ、水鉄砲でも動く鳥相手にそう簡単には当たらないし、鳥類の方が人間より目が良いのでここら辺の鳥類がそいつが近づいてきたら高い木の上とかに逃げる様になり、次に猫や鼠を狙う様になったらしい。

どうもこの頃から殺意が上がってきたのか、鳥を狙っている時は水だったのに、鼠へ毒入りの餌を出す様になり、猫を狙う水鉄砲も『そう言えば痛くて変な味がする様になった』と報告があった。


ただ。

残念な事にただでさえ浮遊霊の時間的感覚ってふわふわな上に、鳥や動物の霊だからねぇ。

『暑い時期』が去年の夏だったか、一昨年の夏だったかも不明だった。

どうも話によると公園まで来るのは歩きと自転車と半々ぐらいだったらしい。


自転車の時はこの公園で目についた鳥や動物にちょっかいを出して逃げられた後に、もう一つの西の方にある公園へも行っていたそうだ。


『ありがと。

じゃあ、そっちでも情報収集してくるわ。

もしもそいつを見かけて教えてくれたら、もっと魔力を渡すから覚えておいて〜』

雀や猫の霊じゃあダメだろうが、鴉だったら覚えていてくれる可能性があるから、ダメ元でお願いをして公園を後にした。


「お、獣医だ。

ついでに話を聞いてみよう」

比較的静かな住宅街なのだが、公園へ散歩に来る犬の飼い主をターゲット層にしているのか、西の公園に向かう道に曲がったすぐのところに獣医があった。

獣医なんてリピート客が多いし、口コミも大きいだろうから、人目につきやすいけど家賃の高い(多分)大通り沿いよりもこういう公園とかへのルートの方が狙い目なのかも?


「やってるかな?」

以前源之助の去勢手術をした動物病院は午前中と午後遅くから営業していて、日中の1時から4時は手術とか往診用って事で営業時間外と書いてあった。

今は・・・ギリギリまだ昼前か。

だったら大丈夫かな?


「こんにちは〜」

にこやかに碧が獣医の待合室へ入っていく。

犬が2匹、猫が1匹。プラス飼い主達。

人気な獣医なのか、それとも今日は気圧とかの関係でペットが体調を崩しやすい日なのか。

取り敢えず情報収集には良さげだ。


碧が明るく受付の人によく通る声でチャラちゃんの事件を話した。

「幸いチャラちゃんには毛皮に少しかかって禿げちゃった程度で、近くの神社で水で流したら大丈夫だったんですが、リードが溶けて切れるってヤバいですよね〜!

だから犯人の出没範囲だけでもせめて調べて、飼い主たちに注意喚起しようって事になって」


「ええ?!

リードが溶け切れる様な液体を水鉄砲で掛けてきたんですか?!

滅茶苦茶危険じゃないですか!!」

受付の女性が憤慨した様な声を上げる。


考えてみたらこういう受付って女性が多いよなぁ。

獣医そのものは男の方が多いぐらいな感じなのに。

女性の方が威圧感が無くって採用面接で有利なのかね?


「ですよねぇ。

ちなみに今回は散歩中の犬だったんですが、庭にいる猫や、地域猫が危険そうな液体を掛けられて治療に持ち込まれたなんて話を聞いたことはありませんか?」

碧が受付嬢と待合室の飼い主達に尋ねる。


「そう言えば、こないだ地域の獣医会で変な化学火傷っぽい怪我を負った地域猫が増えたって話を聞いたわね」

いつの間にか現れていた白衣を着た中年女性が口を挟んだ。


「本当ですか、先生!?」

受付嬢が振り返って尋ねる。

おお、これが獣医なんだ。

ここは女医なんだね。


「こないだ連れてこられた大木さんのところのムギちゃんの怪我も、それだったのかも?

炎症にしては変な感じだと思ったんだけど、その後は再発せずに問題なく治っていたから調べ様がなかったのよねぇ。

あれって軽度の化学火傷だったのかも」

炎症と火傷ってだいぶ違うと思うが、猫が舐めて綺麗にしちゃっていたらイマイチ違いが分からないのかな?

変な酸が掛かった部分を舐めたりしたら、猫の口の中も酷い事になりそうだが。

掛かった量が少なかったと期待したいところだね。


「そのムギちゃんの家と、いつ頃だったのか、あと獣医会で聞いた被害猫が見つかった地域を教えてもらえますか?」

碧が携帯のマップを取り出しながら頼んだ。


実質野良猫に近い地域猫だったら襲撃を受けたら逃げるだろうから見つかった場所がやられた場所ではないだろうが、その猫のテリトリーが分れば犯人の行動範囲が大雑把には分かる。


しっかし。

マジで猫も襲撃してたんだねぇ・・・。




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