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ちゃんと取り締まれば良いのに。

「あ、田端さん?

こんにちは、長谷川です。

そろそろあの姪っ子虐待女の起訴とかも終わったかと思って、今日は愛理ちゃんの様子を見に来たんですけど・・・どうも最後の悪足掻きにあの虐待女ったら愛理ちゃんに呪いをかける呪符を買ったみたいなんです。

呪詛そのものはそれほど強力な物ではないんでちゃんとした神社で厄祓いして貰えば返せる程度なんですが、こう言う場合って誰か当局側で呪符の製作者を追跡して検挙するんですか?」

碧が愛理ちゃんに源之助や青木氏の猫部屋の写真や動画を見せている間にそっと田端氏に電話を掛けた。


時間をおけばおくほど呪詛が不運を呼び込むことで愛理ちゃんが怪我を負ったりする可能性が高くなるので、電話が通じなかったら問答無用で呪詛返しさせちゃうつもりだったが、あっさり電話が通じた。


『え?!

愛理ちゃんが呪われてる?!

製作者の追跡??』

突然の話題に混乱したらしき田端氏の声が携帯から聞こえてくる。


う〜ん、愛理ちゃんのことをあまり考えて無かったのかね?

それとも呪いが実在するってあまり実感が無いとか?

一応あの宝冠盗難事件で軽い呪詛を使ったんだけど、普通の人を害する様な呪詛ってあまり警察は関与しないのかね?


イマイチ裏社会?のグレーな退魔師とか、呪詛とか、違法な魔術行使の取り締まりとか逮捕とか検挙とかってどうなっているのか分かりにくいいんだよなぁ。

呪師だって捕まえた後の拘束が難しいからそれとなく逮捕の過程で死ぬことが多いっぽい事を聞いた気がするが。考えてみたらそれって退魔協会に呪師を処刑して回る実行部隊が存在するって事?!


そう考えると、本当に呪師しか殺して居ないのか気になる所なんだけど。


「呪詛を辿ったところ、あの叔母に辿り着きました。

多分、血を捧げることで対象者に不幸を呼び込むタイプの呪いの藁人形に近い様な呪符ですね。

呪詛返しをすると叔母の方に返るのは確実だと思うんですが、その際に呪符が燃え尽きるか、残骸が残るかは不明です。

ですから当局側でそう言う素人でも人に不幸を呼び込めるタイプの呪符を売っている呪師を捜索中なら、愛理ちゃんが神社へ厄祓いに行く前にあの虐待女の拘置されている場所へ行って呪符を調べた方が良いと思いますが・・・そう言う捜査は現在進行中なのでしょうか?」


日本の法律では素人が人を呪うのは実は違法行為とは見做されていない。不幸の手紙と同じ扱いで、実害が無い場合も多いので気休めの嫌がらせを法で罰するに値しないという考えなのだろう。

とは言え、気休めでも嫌がらせは禁止すべきだと思うけどね。

不幸の手紙だって受け取る側にとっては迷惑だしストレスを感じさせるんだから、人を害する効果があるか否かは考慮せずに、迷惑行為なんだからという理由で全部違法行為にしてしまえば良いのだ。


なんだって迷惑行為を禁じるのが人権侵害扱いになるのか、不思議だ。

もしかしたら退魔協会が、呪うのも違法行為にすると呪詛が減って呪詛返しの依頼収入が減るからって事でロビー活動でもしたのかね?

まあ、政治家だってこっそり呪師を使う事もありそうだから、『素人ならOK』の弁護が出来るように違法行為にするのは馬鹿馬鹿しいって態と議論するのを拒否したのかも。


しかもプロの退魔師や呪師が呪詛を行うのは違法としている癖に、必ずしも呪符製作者を捕まえようともしないんだから日本ってグレーな領域の活動に甘いよねぇ。


『あ〜。特に現時点でそう言う話は来ていないな。

呪符が発見されたと通報があったら捜査するのは可能だが』

溜め息を吐いた後に田端氏が答えた。


「素人が呪符を使うのは違法行為じゃ無いんですよね?

通報しても無駄じゃありません?」

黒魔術って呪詛と混合されやすいから、黒魔術に悪評をばら撒きかねない呪師を取り締まるのに協力するのは吝かではないが、普通に素人が呪符を持っている事実を通報したところでどこまで真面目にその呪符の製作者を追うのかね?


警察の予算も人員も有限なのだ。

どっかのお金持ちが呪われた怒りを警察に表明してさっさと諸悪の根源たる呪師を捕まえろと騒がない限り、呪符の存在を通報したところで本格的な捜査はしてくれないんじゃ無いかね?


子供である愛理ちゃんじゃあ文句を言ってもまともに取り合われないだろうし。後見人の弁護士さんは呪詛なんてあまり真剣に受け止めない気がする。

霊の存在すら半信半疑だったからねぇ。


『・・・そうかも知れない。

現実的な話として、ちゃんとした捜査が出来るだけの人員と予算を確保できる前に愛理ちゃんが怪我をしそうだから、愛理ちゃんをさっさと厄祓いに連れて行ってあげてくれ』

深く息を吐いた田端氏が答えた。


ダメだねぇ。

まあ、取り敢えず力一杯呪詛返しをするよう手伝おう。






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