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呪われてる?!

「そう言えばさ、近いうちに一度愛理ちゃんの様子を見に行かない?」

八幡先輩からの電話の後に自信過剰男が起訴される話を碧に報告したら、以前の除霊案件で叔母に虐待されていた愛理ちゃんの話が出てきた。


「そうだね。

思ったよりも起訴って早いみたいだからあの女がちゃんと起訴されているか確認して、ついでに施設の方でも問題がないか、確認してみようか」

まだまだ先だと思っていたけど、意外と刑事事件の起訴はスピーディな様だから何か動きはある筈。

本人が知らなかったら施設や後見人の人に確認するし、どちらにせよ愛理ちゃんと話した後に最低でも施設の人とは話をしよう。



と言う事で、来ました愛理ちゃんの引き取られた養護施設。

一応前もって電話してあるので本人はいたが・・・呪われてた。


「ええっとぉ。

具合はどう?」

虐待を受けて疲れているところへ新しい学校と一般家庭とは全然違う生活環境と言うストレス要因が重なるので、悪意から心を守る為にちょっとした気力アップの術を掛けておいたのだが・・・それが殆ど消えている。

呪いを打ち消せてはいないけど、効果を遅らせるのに術の魔力を使い果たしちゃったのかな?

守護用の術じゃなくてもバフ用の術って対呪詛効果があったんだね。

知らなかった。

短期的な効果しかないし、もっとバリバリに力を込めた呪詛だったら多分殆ど効果が無かっただろうから、前世では気付いた人がいてもあまり重視されなかったのかな?


「学校では友達が出来た〜!

ここも慣れてきたし、そこそこ良い人が多いから安心だよ」

にっこり笑いながら愛理ちゃんが答えてくれた。


「ちなみに・・・妙に最近転びやすいとか怪我をしやすいなんて事は起きてない?」

まだしっかり確認していないが、継続的に不調を引き起こす呪詛や身体のどこかを壊す呪いではなくって、不幸を呼び込む系の呪詛っぽい気がするんだよね。

不確実だから不発に終わることもある代わりに、根性で掛け続ければ相手が『運悪く』事故っぽい感じに死ぬ。


まあ、前世では人が死んだら神官が呼ばれるから呪殺なのは直ぐにバレるので、事故っぽく見せてもあまり意味が無なくて母国ではほぼ使われなかった呪詛だが・・・魔術がそこまで普及していなかった他国ではそこそこ人気だったらしい。日本でもそれなりに使われると碧から聞いたことがある。


「そう言えば、こないだ歩道橋で躓いて足を踏み外したね。

それ以外は普通だと思うけど?」

愛理ちゃんがちょっと考えながら教えてくれた。


バフの術が上手く作用していたのか、呪詛が弱いのか、愛理ちゃんの母親の霊の祈りが守りになっているのか。

何が主因かは不明だが、取り敢えず呪詛はまだあまり効いていないようだ。


『愛理ちゃんが呪われてるんだけど、これって叔母の女の仕業だよね?

こう言うのって呪詛を依頼したって事で傷害罪に問えるのかな?』

碧に念話で確認する。


『う〜ん、一般人だから『ダメ元で八つ当たりでやった』って主張されたら実際の罪に問うのは難しいかも?

返しちゃえば良くない?』

碧からの返事は微妙だった。

素人の呪詛は刑事事件として立件しにくいのかぁ。


だったら呪詛返しで苦しめるなり死なせる方が早いかな?


倍返しになるとは言え、呪詛返しで確実に死ぬ訳でもないし、この不幸を呼び込む呪詛で死んだら自業自得だし、それが一番手っ取り早い対処方法かな?


「ところで、叔母さん関係の話はどうなってるの?

ちゃんとお母さんを死なせた分も罪に問われる事になった?」

取り敢えず呪詛返しに関しては後回しにして、現状を確認する。


「私の虐待と、お母さんの保護責任者遺棄致死罪とか言うのはちゃんと起訴出来たって。

私たちの虐待とお母さんを死なせた事に対する慰謝料を請求する損害賠償も民事訴訟で訴えてるから、根こそぎ奪い取ってホームレスにしてやるつもりなの!」

嬉しそうに笑いながら愛理ちゃんが言った。


おお〜。

復讐に燃えてますねぇ。

「民事訴訟は後見人の人に頼んでるの?」


「専門じゃないからって別の弁護士さんを紹介してくれた〜」

ふむ。

自分でやってないって事は愛理ちゃんが主導してやっているっぽいね。

なら良いか。


後見人が自分の弁護士報酬や実績目当てに愛理ちゃんを唆しているなら問題だと思ったけど、そこら辺はちゃんとした人が選ばれていたようだ。


「ところで。

愛理ちゃんがその歩道橋で転んだのって呪われているからっぽいんだよね。

多分愛理ちゃんを呪ったのって叔母さんだと思うけど、残念ながら呪詛って半分伝説扱いだから叔母さんが雇った呪師は懲らしめられても叔母さんまで刑事事件として起訴するのは難しいかも」

それこそこないだの八幡先輩を突き落とそうとした時に『殺すつもりは無かった』って加害者側が主張しているのと同じなんだけど、階段の上で両腕を伸ばしてる映像はかなり露骨な殺意の証拠になるが、詐欺師かも知れない相手に呪詛を依頼するのはそれこそ不幸の手紙を出すのと同じ扱いになるんだろうなぁ。


何人も呪殺していれば依頼で人が死ぬ因果関係を否定できないって主張できるが、流石に愛理ちゃんの叔母も今まで知り合いを呪殺しまくったりはしていないだろうから難しい。


とは言え、ちゃんとした呪師をどこで知ったんだと言う疑問は生じるけど。


「と言う事で、愛理ちゃんとしてはどうしたい?」




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