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個室、ねぇ。

遠慮する八幡先輩を言いくるめてウチらのマンションへ連れ込み、碧も含めて3人でガヤガヤ夕食を食べ、疲れで瞼の重くなってきた八幡先輩を和室の布団へ押し込んで・・・私は自信過剰男がいる病院へ来た。


八幡先輩には術をかけてあるので明日の朝までは起きない筈。

和室の扉も閉めた上で認識阻害の術も掛けてあるので源之助が起こすという事もない筈。


ちなみに八幡先輩は猫アレルギーもなく、碧も満足するぐらい源之助にメロメロになって遊んでいた。

うむ。

猫は良いよね〜。


自分に認識阻害の術を掛けて階段で4階まで上がって来たところ、411号室はカーテンが閉められただけの個室だった。

入り込みやすくて都合は良いけど、部屋の扉をしっかり閉めて、中から開けられない様に鍵でも掛けておく方が逃げられなくて良いんじゃない??


まあ、経過観察に為の入院だろうから夜中に看護婦が何度か入る必要がある事を考えると、鍵をかけると面倒なんだろうが。


部屋へ入ってすぐの所に警官が座っていた。

へぇぇ、海外のドラマと違って扉の外に立っている訳じゃあないんだね。

まあ、病院の個室の前に警官が立っていたら、物騒で他の患者が不安がって苦情がきそうかな?


そっと警官に一時的に意識がぼうっとする術をかけ、出来るだけカーテンを動かさない様に中に入ってみたら・・・個室だった。

おや。

大部屋じゃないんだ?


個室分の差額ベッド代って誰が払うんだろ?

本人なら良いけど、警察って事で回り回って税金から出るんだったらムカつくなぁ。

確かに殺人(未遂)犯を一般人と一緒に入院させて周囲に害を及ぼしたら色々と煩いのかも知れないけど、八幡先輩が恨みを買うまでは普通に一般人として過ごして来た人間なのだ。


大部屋に入れたところで突然周囲を襲い始めるなんてことは無いと思うんだけどねぇ。

とは言え、大部屋に警官がいたらますます患者や見舞い客が嫌がりそうか。


近づいて観察したところ、予想に反して自信過剰男はベッドに手錠で繋がれても居なかった。

良いの、これ??

警官がトイレにでも行っている間に逃げ出したらどうすんのよ?


取り敢えず、逃げようとしたら下半身が麻痺する様に術を掛けておいた。

うむ。

一生続く術じゃあないけど、5年ぐらいは術が抜けない様にしっかり掛けておこう。

最近は刑務所に入るはずの人間が逃げ出して何日も捕まらずに逃げ回るなんて事件も起きているし、基本的に逃亡行為はやれない様にしておこう。


さて。

改めて男の顔を見ると、痣があって人相が分かりにくかったが、それなりに整っているかな?

そっと精神に触れて中に入ってみたら・・・思わず吐き気がする程醜悪だった。


うわぁ、なにこれ。

何だってこんなに傲慢なの??

まるで前世のクソッタレな王族の様な、他者は自分が利用して踏み台にする為に存在するとごく自然に信じている精神構造だった。


前世の王族は階級社会のトップたる王族として傅かれて育った人間だったから、まだ周囲を見下すのも不思議では無かったが・・・何だってこいつは普通の日本人に生まれてこうも傲慢なんだ??


思わず原因解明に時間を掛けたくなったが、先にこいつがこれ以上周囲に害を為さない様にしておかないと。

途中で邪魔が入ったら困る。


まず。

他者へ殺意を抱いたら目がチカチカするぐらいに壮絶な頭痛がする様に条件付けしておこう。

殺意じゃない程度の悪意でも何か行動を取ろうとしたら・・・酷い下痢になる様にしておくか。

後は・・・嘘をついて周囲を騙して誤魔化す必要性を感じにくくしておこう。

どうせ元々ここまで傲慢なのだ。

自分は選ばれた人間なのだから嘘をついて誤魔化す必要なんて無いじゃないかと言う思いを肥大させておこう。

ついでに記憶力も少し鈍らせておくかな?

自己防衛的に嘘をついても、嘘が何だったか思い出せなければボロが出やすくなるだろうし。


今までの様に上手く嘘をつけなくなった事に違和感を感じるかもしれないが、階段から落ちて頭を打って少しバカになったんだと思ってもらおう。

まあ、『今までみたいに上手く周りを騙せない、ちゃんと治療しろ』と病院でゴネる訳にもいかないだろうし。


こんな所で大丈夫かな?

八幡先輩に悪意を抱けない様にもしたいが、下手に特定人物に変な反応を示す様にして殺意があるかとかの精神鑑定で変な反応を返して殺人ではなく事故だったなんて事になっても困る。


多分精神科医の精神鑑定を受けたり、警察の事情聴取を受けたりする際に逆恨みしている内容を思い出して殺意を抱きまくって頭が死ぬほど痛くて辛い思いをするだろうが、死にはしない。


さて。

目的は達せられたから、何でこいつはこんな変な人間になったのか、調べてみよう。




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