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やっと認めたか。

「・・・確かに両手を伸ばしてるな」

警官の持って来たPCのスクリーンで再生された駅の防犯カメラを見ながら高原刑事が渋々と認めた。

しっかりと両腕が伸びているのが防犯カメラに顔と一緒に映っているし、その前に改札からずっと後を追っているのも映っていたしね。

先輩が途中の売店で地方の名物クッキーを手に取って見ていた時は態々他の店に近づいて商品を見る振りして時間を潰していたので、階段の上に来るまで追いつけなかった等の言い訳も通用しない。


これだけで十分露骨に害意が認定できるでしょうに。

なんで渋々なんだ?


事件と認定すると書類作業が増えるの?

既に犯人が確保出来てるんだから、殺人未遂事件として認定して解決する方が解決した実績が増えて喜びそうなものだが。

それとも、既に刑事が呼び込まれた時点で動機も犯人も分かっていると、実績として認められないのかね?


「そう言えば八幡先輩、興信所の調査であいつが過去に何かやらかしていないか、情報は出て来ました?

内定取り消し程度で駅の構内で人を殺そうとするぐらいの考えなしなら、過去にもやらかして示談で揉み消した事件があるのでは?」

刑事事件なら、示談で訴えないと合意していても警察が調べて提訴するのは可能な筈。


「ほう?

興信所に調べさせていたのか?」

高原刑事が興味を持ったのか身を乗り出してきた。


警官には既に話してある筈なんだけどねぇ。

部屋に入って来て偉そうに口を挟み出す前にちゃんと資料を読めば良いのに。


「最初は彼がストーカーだと思っていたんです。

断っているのに執拗に食事に誘うし、凄く馴れ馴れしく話しかけて来たり思わせぶりなチャットを送って来たりするので。

他にも変なアプリが携帯に入っていたり、人に見られているような気もしたので興信所を雇って調べて貰ったら、アプリを入れたり私の後をつけていたのは安藤と付き合っていると思っていた同期で、二股されているのかと調べていたんです。

ただ、話してみたらその同期への安藤の言動が私に対するのとほぼ同じだったので、他の同期にも確認したら同じ事を他の3人にもしていたから人事に相談したんです」

八幡先輩が再度説明した。


「なるほどね。

で、その興信所の調査結果は?」

高原刑事が尋ねる。


「先程メールで送って貰いましたが、まだ目を通す暇が無かったので見ていません」

警官が口を挟む。


「見せてくれ」

PCの方に手を伸ばしたら、慌てて警官がPCを操作してメールを開いて高原刑事へ見せた。


「中学の時に戯れあっていて同級生が階段に落ちたってありますね。

何故か親がかなりの見舞金を払っていて、その後その男子生徒が転校していますからもしかして虐めだったのかも?

あとは・・・SNSに女の子と遊んでいる投稿が大量にありますね。

急に投稿が無くなっている子なんかはどうしたのか、まだ調べている最中だそうですが・・・少なくとも1人は婦人科のクリニックに行っていたとの話がある様です」

携帯で報告書を確認していた八幡先輩がスクロールしながら伝える。


ストーカーっていうよりも避妊をちゃんとしていなかっただらしない下半身男って感じ?

まあ、ストーカー被害に遭った子なんかはSNSなんかのネット上の痕跡を消すだろうから興信所もまだ見つけられてないだけなのかも?


どちらにせよ、ストーカー被害程度だったら警察ができることはあまり無いだろうけど。

ただまあ実際に人を害そうとしたって事で、ストーカー事件を過去に起こしていたならエスカレートする傾向があって危険な人間だと裁判官に訴えやすいかな?


「ストーカー相談の加害者として名前が出ていないか、警察のデータベースを調べよう。

八幡さんに関しては・・・今後の調査次第で更に話を伺う事もあると思うが、取り敢えず帰ってくれていいですよ」

やっと本腰を上げて調べる気になったのか、高原刑事が背筋を伸ばして動き始めた。


「八幡先輩、今日はウチに泊まっていきません?

碧とルームシェアしているので和室が空いていますから、邪魔にはなりませんし。

あ、猫アレルギーはありませんよね?」

アレルギー体質だったら下手をしたらウチで呼吸困難になる可能性があるかも?


アレルギーって碧なら治せるって言ってたっけ??


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