表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/1358

合宿だ〜!:ふくふく

白龍さまを待ちながら新しく立ち上げる事業の会社名をどうするかとか碧と駄弁っていたら、圧力を感じる程に魔力が突然前方で強烈に膨れ上がり、目を上げたら・・・藤山家の神社の本殿とほぼ匹敵するサイズの龍の頭が目に入った。


「でかっ!!」

本体は大きいとは聞いてたけど、頭だけであれ程大きいって・・・胴体と合わせたらどんだけになるの??


寸胴に近いドラゴンと違い、龍は胴長な筈だが・・・あの頭のサイズに見合った龍の胴体じゃあこの聖域の結界に入りきらないんじゃない??

楕円形にトグロを巻けば収まる事自体は可能だろうが、入り込むための移動時はトグロの形で横滑りという訳にもいかないだろう。


認識障害の術を掛けるべきなのか?!と思って慌てて魔力をかき集めていたら、『ポン!』と音がしそうな勢いで白龍さまが見慣れたミニサイズに変化へんげした。


・・・なる程。

世界の狭間を超えたら直ぐにサイズチェンジか。

慣れてるね〜、白龍さま。


そんな事を思っていたら、またもや境界が開き、今度は大型トラックサイズの丸っこい何かが現れた。


「・・・ふくふく?」

「確かに丸っこくてふっくらしてるけど・・・大型トラックサイズの幻獣は『ふくふく』の定義に当て嵌まらない〜!!」

碧が憤慨した様に叫んだ。


まあ、あのサイズの使い魔なんて使い所が厳しいよね。

上に乗って飛べる可能性は高そうだけど、地球で飛んだりしたら魔力が枯渇してしょっちゅう里帰りが必要になるんじゃない?


『ほれ、言ったであろうが。

元より、戦闘は我が手を貸す。

お主は情報収集や追跡・探索が主な責務になる予定なのじゃ、もっと小さく目立たぬ姿にならんか』

白龍さまがふくふく(?)鳥を叱りつけた。


と言うかさぁ。

まずは碧に紹介して相性を確認するべきじゃ無いの?

流石にうっかり死なせたりしたら白龍さまに八つ裂きにされた上で焼き鳥にされそうだから手を抜くって事は無いだろうけど、気が合わなかったら碧が受取拒否するんじゃない?


『白龍さまがいれば十分だから』って碧が言えば、デレデレになった白龍さまがふくふく鳥の帰還を命じるのは目に見えていると思うんだけど。


元々、使い魔は私の方で手配出来るからねぇ。

貸し出しって言う形になるから微妙かも知れないけど、使い魔契約をした後に特定の誰かへ二次的に繋がりを設定することは可能だ。

今回の事でクルミの分体をパワーアップ出来るし、手が足りなければ分体を増やすなり、新しい霊と契約するなり。どちらもそれ程手間はかからない。

さっき見つけた石英だけでも3つぐらい分体が作れると思うし、だべっている間にそこそこの魔力を帯びた石や木片も見つけているし。


『は〜い』

そんな私の考えをよそに、ちょっと気の抜けた返事と共に巨大な鳥の幻獣が消えた。

辺りを見回してどこに行ったのか探していたら、雀サイズだけど丸っこい鳥がふら〜と碧の所へ飛んできて、近くの岩の上に停まった。

その体型で飛べるのって、自然の摂理に反してないか?


『はじめまして、碧様〜。

スパルナが一角の炎華えんかですぅ。

以後お見知り置きを〜』

かなりのんびりした感じだが・・・これで情報収集が出来るのかね?

考えてみたら強者って敵を先に見つけて隠れるなり備えるなりする必要が無いから、探知能力がイマイチな事も多いと前世で聞いたこともあるんだけど。


まあ、スパルナ(ってガルーダの別名だよね??)じゃあ幻想界の『強者』には当て嵌まらないのかもだけど。


「演歌さん?」

碧があっけに取られた様に尋ねる。


『炎の華で炎華ですぅ。

歌とは関係ありません〜』

ちゃんと『演歌』が通じたらしい。

まあ、念話なので音が同じであると言う点は伝わっていないかもだけど。


一応、ちょっと太った雀のフリをして動き回れるのかなぁ?

流石に大元が《《あれ》》だから猫やカラスに狙われてもなんとでも対応できるだろうし。

白龍さま程では無いものの、かなり溢れ出ていた魔力もすっかり消えている。

小さくなると、動くのに必要な魔力が減る事で体から溢れる魔力もカットできるのかね?

それとも炎華と白龍さまが魔力の制御が上手いだけなのか。


考えてみたら、炎華の羽を一枚貰えるだけでもかなり良い素材になりそうなんだけどなぁ。

まあ、本体だったら今の私なんて欠伸のついでにペシャっと踏み潰されそうだから、変な事を言って反感を買うつもりは無いけど。


魔力が豊富にあった黒魔導師時代でもこれだけの幻獣と戦う羽目になったら勝てるかどうかは五分五分、いや6分4分といったところで負けだっただろう。

龍の眷属の幻獣となったら精神攻撃は効きにくそうだし。


「う〜ん、こちらこそ宜しく?

ちなみに、ちっこくなって私にこき使われることに納得してるの?

白龍さまに命じられたら断りにくいとは思うけど、嫌々付き合って貰っても私にとってストレスだから、正直なところを教えて欲しいんだけど」

碧がそっと指先を差し出して挨拶しながら尋ねた。


初めて会った犬や猫には匂いを嗅がせるために指先をそっと差し出すのって正解だけど、鳥って嗅覚よりも視覚メインな筈だし、幻獣だから普通の動物とは違うし。どうなんだろ、この挨拶。


誠意は通じたと思いたいところだけど。


『あ、時々手伝う以外はのんびり日向ぼっこしていて良いと言う約束ですので、大歓迎です〜。

あんまりにも忙しいようだったら遠慮せずに別の誰かに代わって貰いますから、気にしなくて大丈夫ですよぉ』


幻獣界だって日向ぼっこぐらい出来そうなものだが。

地球の魔力が薄い空気の方が、のんびり昼寝するのには向いているのかな?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ