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自業自得

『安藤の奴に襲われ掛けた!』

電話を受けたら最初の一声でどうやら八幡先輩がブチ切れているのが分かった。


今まで同期だし、親しくなりたくないからと言う事で自信過剰男の事も『安藤さん』と距離を置いて呼んでいたのだが、どうやら殺人未遂で『奴』までランクダウンしたらしい。


「大丈夫ですか?!」

大丈夫なのは知っているけど、詳しくは知らないし、心配しないと変なので先ずはギョッとした様な大声で尋ねる。


『はぁ・・・。

インターンシップの後に帰ろうとしたら、駅で何か聞こえた気がして振り返ったら丁度安藤の奴が後ろから私のことを階段の上から突き飛ばそうとしてるところだったの。

びっくりして一歩下がったら階段を踏み外してちょっと足を捻っちゃったけど、安藤の奴は空振りしたせいでそのまま階段を落ちて救急車で運ばれて行ったわ』

ちょっと大きな息を吐いて気を落ち着かせたのか、八幡先輩がもう少し詳しく教えてくれた。


「マジっすか。

階段から突き落とそうとするなんて、殺人未遂じゃないですか。

ちゃんと内定先で問題があって恨まれていたから、これは殺人未遂だって警察に訴えないとダメですよ。

今、どこにいるんですか?

一緒に警察に行きましょう!」


『駅だったからそれなりに目撃者がいたお陰で、警察も呼ばれているの。

だから大丈夫だと思う』

落ち着いたのか、少し低くなった声で八幡先輩が応じてきた。


「状況の経過を知っている人間として、モラルサポートを提供するために行きます。

東京駅でしたっけ?

駅のどこにいるのか教えて下さい。

あと、あのバカが過去に問題を起こしていないか興信所に調べて貰っていたんですよね?

もう何か報告は受け取ってますか?

まだなら興信所の方にも電話して、送って貰ってはどうでしょう?」

『誤解があったみたいだからちょっと話し合って謝まろうと、肩を叩こうとしただけだ』みたいな言い訳で逃げられない様に、状況証拠はできるだけ集める方が良い。


インターンシップであそこまでバカ丸出しに同期の女性全員へ手を出そうとし、それがバレたら逆恨みして殺そうとする人間だったら確実に今までにも問題を起こしているだろう。


警察に最初からしっかり殺人未遂として捜査して貰うためにも、自信過剰男のヤバさを認識させておかないと。

以前に香織さんを殺した男を過失致死で済まそうとした時に思ったのだが、どうも日本の警察って冤罪のクレームを恐れてか死体が転がってないと追求が緩い気がする。

香織さんの時は死体も転がっていたのに緩かったが。

惨殺死体じゃないと駄目なのかね??


『そうだね、興信所の報告も最新版をメールで送って貰って見せるわ。

はぁ、会社の方ではあいつが居なくなっていたから内定取り消しかと皆で喜んでいたんだけど、まさか逆恨みされるとはねぇ。

常識外過ぎて怖いわ』

溜め息を吐きながら八幡先輩が東京駅の駅前交番の奥にいると教えてくれた。


今時の日本じゃあ殺されそうになる事なんて基本的に無い筈だからねぇ。

かなりショックを受けているようだ。

今晩はウチに泊まりにきて貰うか、私が八幡先輩の家に泊まりに行こう。

1人じゃあ不安だろうし、眠れる様に術を掛けた方が良いだろう。


明日以降の為に安眠用のお守りも渡しておくか。

あれはそこまで強烈ではないから中毒性は無いし、興奮状態でも疲れればしっかり眠りにつける。


「八幡先輩があの自信過剰男に階段から突き落とされそうになったんだって!!」

家に駆け込んでバッグを取りに部屋へ急行しまながら碧に声を掛ける。


サークルにはもう出ていないとは言え、八幡先輩とは碧も親しくしていたのでストーカー騒ぎでは彼女も心配していたのだ。


「マジで?!

大丈夫なの?」

碧が慌てて私の部屋の方に来ながら尋ねる。


「八幡先輩はちょっと足を捻った程度、自信過剰男は階段を落ちて救急車で運ばれていったけど命に危険はないらしい。

目撃者も居たらしいからあっさり解放されないとは思うけど、八幡先輩も動揺していると思うから今晩はここに泊まるように言っても良い?」

早朝に源之助に起こされると思うが、家でまんじりもせずに夜を明かすよりはマシだろう。

ついでに、先輩を眠らせた後に病院へ行って自信過剰男が二度とこう言うことが出来ないようにいくつか術を掛けておきたいし。


「勿論だよ。

ついでに自信過剰男が頭の中で、くも膜下出血でも起こすようにした方が良くない?」

碧が提案する。


おお〜。

碧もかなり怒ってるね!

「いや、そこまでやらなくても警察相手にうっかり口を滑らすようにして、あとは人に危害を与えようとしたら気絶するようにでもしておけば良いでしょ」


それでいつか事故で死んでも自業自得だし。

碧が直接手とカルマを汚す必要はない。





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