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襲ってきたぁ?!

『襲われたにゃ!』

突然クルミの念話が脳裏に響いた。


「はぁ?!

どうしたの?!」

思わず声を上げてから、慌てて携帯を取り出してそれに話しかけている風にして家の方へ走り始める。


携帯電話で走りながら話すのって現実ではめっちゃ聞こえにくくなるからイヤホンタイプじゃないと無謀だと思うが、念話には関係ない。

ちょっと集中しにくいが、走っていても歩いていても大して違いはない。

スーパーへ食料品を買い出しに行く予定だったんだけど、取り敢えず後にしよう。


『あの変態男が八幡先輩ちゃんを駅の階段から突き落とそうとしたにゃ!

だから『奥の手』を使ったら、躓いたついでに階段から落ちてったにゃ』

マジか。


先日、内定同期の女性陣から人事に相談という名の苦情を言いに行ったと聞いていたが、どうやら人事から自信過剰男に注意が行ったか・・・公共の場で階段から突き落とそうとするなんて殺意マシマシな行動を取ろうとしたって事は内定取り消しになったのかな?


元々、襲撃を受けた時用に躓いて暫く意識不明になる魔道具をクルミに持たしていたのだが、普通に道で襲ったのだったら『転んで頭を打って気を失った』となる撃退機能が、どうやら階段の上なんて言う場所で突き落とそうと襲いかかったことで自分が階段から転げ落ちる事になったようだ。


『じゃあ階段から落ちて、死んだ?』

念話でクルミに尋ねる。

八幡先輩にはショックかもだが、自業自得で死んでくれるのが一番後腐れないんだけどなぁ。


『普通に救急車で病院に連れて行かれたから、違うんじゃないかにゃ?

でも、突き落とそうとしていたのを見た人が何人かいたから、八幡先輩ちゃんも話を聞かれているにゃ』

クルミがそう答えたが・・・日本って明らかに死んでいても救急隊員には死亡宣言出来ないから、無駄であろうと病院に連れて行って医者に見せるんじゃなかったっけ?

心肺停止状態ってやつだよね。

2日ぐらい海で行方不明になっていて『心肺停止状態』ってなんぞやと思ったら、単に日本の法律の規定のせいで例え死んでいて腐り始めていようと医者がいないと死んでいるってその場で発表出来ないとか。


とは言え、流石に白骨死体とかミイラ状態だったら最初から死体扱いだろうけど。

どこら辺で線引きしているんだろうね?


それはさておき。

自信過剰男、やっぱり最低だな!!!

ストーカーじゃなかったから一応単なる病的な女好きまでランクダウン(アップ?)したのに、結局逆恨みで殺そうとするなんて。

とは言え、『階段の上だってことを考えていなくて、殺す気はなかった』って警察に聞かれたら本人は言うんだろうなぁ。

刑事事件として禁錮刑まで持っていけるか怪しそう。


社内や大学内だったら揉み消されたかもだけど、流石に駅でやったんだったら有耶無耶にはされないだろうが、日本って初犯には甘いって言うから反省しているっぽい顔を見せれば解放されそうな気がする。

流石に再度八幡先輩を襲ったりしたら実刑になるだろうからそちらは自粛するだろうが、金を払って誰かに襲わせるぐらいの事はするかもだよねぇ。


だけどさぁ。

例え普通の道端でだって、女性が全力の男の力で突き飛ばされたらどこかに頭を打って死ぬ可能性があるのだ。

男が本気で女に暴力を振るおうとしている時点で、殺意がないなんて甘ったれた事を言うんじゃないよって思うね。


死んでいたら、らっき〜ってところだが突き落とされたんじゃなくって落ちた、しかも意識がなくって体から力が抜けていた状態だったら死んでいない可能性が高いだろうなぁ。

だとしたら二度と八幡先輩に近づかない様にちょっと術を掛けておきたいところだが、どの病院にいるんだろう?

私から八幡先輩に電話して何かあったかって聞くのは怪しいし、警察側にしても被害者になりかけた八幡先輩に自信過剰男の居場所を教えるとも思えない。


どうすっかなぁ。

田端氏経由で警察から情報を探ろうとしたら、自信過剰男に制裁と枷が科せられているのが発覚した場合に怪しまれかねない。

ある意味、クズを罰する正義の味方アクションだと思うが、日本の法律では殺されるまでストーカーは実質止められないし、殺す前に止めようとストーカーに怪我をさせたらこちらが加害者として逮捕される。


正義の味方アクションなんてものは法律上は認められていないから、警察に知られるのは不味い。

下手に『警察は無力なんだ!法を超越して悪を挫こう!』なんて警察組織内の誰かに目をつけられて誘われても困るし。


田端氏がそう言うタイプだとは思わないけど、情報っていうのは誰かが知っていたら漏れるものだからね。


そんな事を考えながらどうするか悩んでいたら、偽装用に手に持っていた携帯が鳴り出した。


お。

八幡先輩じゃん。

よっし、心配した善意の協力者として話を聞きに行って、ついでに警察の人間から自信過剰男の情報を読もう。




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