表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
413/1361

変なダダ漏れ

「こんにちは」

除霊後にちゃんと悪霊フリーになっている事を確認する為、今回は依頼主の娘さんが常連になっていると言う近所の神社で除霊をする事になった。


いくら碧が神社の娘とは言え、宗派とか拝める神様とかが違っても良いのかね?と密かに思ったのだが、そこら辺は大らからしい。

何やら碧が退魔協会経由で依頼主と相談した後に、神社の方へ連絡してOKを貰っていた。


と言う事で、今日は神社の社務所の奥にある部屋で若い女の子と面談。

その娘さんの強い希望で依頼主(親)は同席していない。

そう言うのもあってウチらに依頼が来たんかね?

今時若い男女が密室で話し合ったところでそれ程問題は無いだろうが、親としては万が一の間違いも起きてもらいたく無くて女性退魔師をリクエストしたのかも。


「今日はどうもありがとうございます」

だるそうに娘さん(沙那さんと言うらしい)が頭を下げてきた。

おや。

若いのに礼儀正しいね。

悪霊に憑かれ易いのに幽霊屋敷を回る馬鹿だと思っていたんだけど、何か事情があったのかな?


でもねぇ。

強力な悪霊は下手をしたら命に関わる場合だってあるんだし、クラス内の人間関係に差し支えるとしても、幽霊屋敷は仮病を使うなり何なりして避けるべきだったと思うよ。


霊視で視ると、やつれた初老ぐらいっぽい人相の悪い女性霊がべったり沙那さんの肩にへばり付いている。

それだけでなく、なにやら悪霊未満の浮遊霊とか、猫や犬の霊まで頭や腕にしがみ付いている。


何これ?

幽霊屋敷に行って悪霊に取り憑かれるのはまだしも、なんで悪霊じゃ無い霊にまでへばり憑かれてるの??


訳が分からん。


『なんかこの子、悪霊じゃ無い霊にまで集られてるんだけど、こう言う現象って見た事ある??』

碧に念話で尋ねる。


ちょっとこれは大きな悪霊を祓って終わりって言うのが差し支えるレベルの異常だぞ。

もっとも、普通の悪霊祓いの分しか報酬は貰ってないけど。


『なんか、気が美しいと霊に好かれるってのは聞いたことがあるけど、ウチの先祖の場合は自衛出来るから好かれても特に問題だと言う話にはなって無かったな。

この子も心根がめっちゃ清らかなのかも?』

碧から微妙な返答が返ってきた。


心根が清らか??

別に霊は心根が綺麗だと気にいるとは限らない筈だけど。

捻くれた人や恨み辛みを溜め込んだ人よりは魔素が素直な感じになるだろうけど・・・魔素が霊にとってどう言う状態が一番魅力的なのかは知らないからねぇ。


あ。

改めて霊眼で注意して視ると、沙那さんの周りって魔素が多い。

それが好ましくて霊が寄って来てるのかも。

なんで魔素が多いのかは不明だけど、ちょっとした特殊体質なのかな?


「・・・それではまずはさっさと除霊しちゃいましょうか」

暫し無言で見つめ合った後、咳払いをして碧が言った。


ここまでだるそうだったら普通の会話もかなり辛そうだし、何か複雑で特別な事情を聞かされるにしても相手がちゃんと考えて説明できる状態の方が良いだろう。

向こうも退魔師に相談したいにしても言い出す覚悟はまだ出来てないっぽいし。


「お願いします」

沙那さんがだるそうに頭を下げた。


碧が祝詞を唱え始めたのを聞きながら、沙那さんの様子をじっと集中して霊視で見続ける。

なんかこう、魔素が多い感じなんだよねぇ。

そう言えば、前世では魔力が多い人間がちゃんと力を制御できてないと魔力を周りに漏れさせていた。ちゃんと魔術の教育が行き届いていない国なんかではそう言う漏れた魔力で相手の実力を測る様な誤った風潮があるところもあったな。


沢山魔力が漏れる=魔力が多い=強いって考えで、魔力の使い方を覚えても漏れ出るのを敢えて止めようとしないから、私の母国に来ると魔力が少ないと周りをバカにするし周りにも訓練がなってないとバカにされるしで問題が起きる事が多かった。


現世では魔素が少ないせいか魔力がダダ漏れても直ぐに空気中に拡散するし、流石に大量にダダ漏れさせていたらスカウトされて訓練するのか、前世よりも遥かに人口が多いのに電車や街中でダダ漏れさせながら歩いている人間は見た事がない。


もしかして彼女はその一歩手前で、魔力でなく魔素をダダ漏れさせるちょっと特殊体質なのかね?

魔力になる程は練られていないけど、食事とかからの生体エネルギーを魔素に変換する力が強いとか?


だとしたら魔素を魔力に変えられたら良い魔術師・・・と言うかこちらなら退魔師になるかも。

でも、退魔師の存在を知っているなら今までにも退魔師に弟子入りする話も出て来たんじゃないかね?


う〜ん。

魔力の練り方を教えたら、少なくとも魔素をばら撒いて霊を惹きつけまくるのは止まるんかね?


碧がさらっと教えて出来るなら良いけど。

異世界風なやり方は教えたら何処からその知識は出て来たって突っ込まれそう。


それに、魔力を練れるようになったらちょっとした術だったら出来ちゃうかもしれないから危険かな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ