表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
412/1365

微妙に嫌な予感

『今回の依頼は悪霊祓いです。

女子高生の娘さんが友人と近所の幽霊屋敷として有名な場所に行ってかなり強力な悪霊に憑かれたらしいので、除霊をお願いしたいとの事です』

いつもの挨拶の後に退魔協会の職員が依頼について話し出した。


「近所に幽霊屋敷があるのでしたらその女子高生を祓ってもまた憑かれるのでは?

依頼主に後から『ちゃんと祓えていなかった』とクレームをつけられても困るんですが」

碧が問題点を指摘する。


確かに、今までは悪霊が憑いている家や慰霊碑その物を除霊したから直後に状態が元通りになってしまう心配は無かったが、幽霊屋敷へ自発的に行く様な女子高生だったらまた同じ事態になりかねない。

しかも親に秘密でやられたら、親的には真摯に退魔協会の契約不履行へクレームを付けてくる事になりそうだから余計に厄介だ。


『依頼主の娘さんは頻繁に霊に憑かれる体質らしく、普段は近所の神社で祓って貰うのですが今回は手強くてダメだったのでこちらが紹介されたらしいです。

実はその件でご相談があるのですが・・・その娘さんに霊に憑かれない様、訓練をして貰えないかとの追加依頼もありますが、可能でしょうか?』

霊に憑かれやすい体質なのに、何だって幽霊屋敷に行く??

それともしょっちゅう憑かれるからいつも通り神社で祓って貰えばいいとでも思ったのかね?


「どう思う?」

碧が電話をミュートにして尋ねる。


「いやいや。女子高生の訓練なんて無理っしょ。

霊に憑かれやすい体質なんて知らないし、本格的な退魔師の訓練なんぞウチらには早すぎだよ」

前世では基本的に魔力が多い人間は魔術学院で体系だって教わったし、そう言う人間が比較的多かったから一般市民に取り憑くようなレイスは直ぐに祓われていた。


レイス未満な弱い霊なら魔力持ちな一般人で普通に自衛出来たし。

こっちって魔素が少ないせいであまり霊を見かけないのだが・・・霊とかの超常な存在があまり信じられていないせいでごく稀に弱い霊にでも憑かれちゃう自衛力が弱い人間が困ってるのかね?


イマイチどこまで教えれば憑かれ無くなるのか分からない。


「だよねぇ。

私も子供の頃から普通に親に教わってきたから、基本も何も知らない女子高生なんぞを教えろって言われてもどうしたら良いか分からないわ。

そんじゃあ、訓練はお断り、訓練抜きの受託を拒否なら依頼そのものも辞退って事で良い?」

碧が頷きながら聞いた。


「うん。

普通にどっかの旧家にでもお祓いを頼んでついでに弟子入りでもすれば良いよね」

弟子入りには纏まった金を取るって聞いたからこう言う『憑かれない様にする』程度の教えがどう言う扱いになるのか知らないけど。


「悪霊祓いはまだしも、弟子でもない才能があるかどうかも分からない人間の教育なんて無理です。まだ我々も若輩なので弟子を取るつもりは無いですし。

ですからこの案件はお断りしますね」

碧がミュートを解除して電話に話しかけた。

あれ、最初から断っちゃうの?

まあ別に良いけど。


『いえ、訓練の方は出来ればと言う話ですので、悪霊祓いだけでもお願いします』

慌てた様に退魔協会の職員が応じる。


おやぁ?

別に幽霊屋敷程度で拾ってきた、個人に憑いた悪霊程度だったら碧(や私)でなくても祓える筈だけど。

なんでウチらに拘るんかね?


「悪霊祓いだけでしたら受けますが、憑かれ易い体質だったら除霊後に再度憑かれてクレームがくるのはどうやったら避けられます?」

碧が応じる。


『除霊が終わった後に通常使っている神社で確認して貰えば良いでしょう。

近所付き合いがあって除霊の成功確認程度ならその場でさっとやって貰えるとの事ですので』


なんだ、既にこの問題は解決済みなんだ?

なんかこう、違和感があるなぁ。

そこまで憑かれ易い人をどうしてそのままにしてるのかとか、なんで幽霊屋敷なんぞにノコノコ行ったのかとか。


なんか面倒な事態に展開しそうなのは、気のせいだと良いんだけど・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ