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さあ脅そう

「どうも、姪御さんが悪霊化した際に共鳴した他の細かい霊も集まって来ている様なんです。

姪御さんを除霊する時に一緒に他の霊も上手く一網打尽にしないと後からまた雨戸で騒音を立てる可能性があるので、そう言う細かい多数の悪霊未満な存在を確実に捕まえるのが上手い同僚を呼んでも良いですか?

勿論、担当する人数が増えても報酬額は変わりません」

田端氏に電話して10分後ぐらいに依頼主のところに行って、ヘルプの呼び込みの承認を求めた。


あまり承認を得て直ぐに来ると事後承認っぽくって印象が悪いし、かと言って待ち時間が長いと気を変えかねないので微妙なバランスなのだが・・・そこまで悩む必要はなかったかな?


碧が追加人員と言った時に不満そうな顔をしたものの追加報酬は不要と言ったらあっさり頷いたから、この依頼主って自分の悪事が外に漏れる事をあまり心配していないのかも知れない。


「報酬額が変わらないなら、必要な人数を集めてやって頂戴。

ちなみにどれだけ時間が掛かるの?

後日なんて言うのは困るんだけど」


「ご安心下さい。

ちょうどその同僚が近くに来ているので相談したら、あと15分か20分ぐらいで来られると言っています。

それまでに除霊の準備をしておきますね」

明るく言って、離れに引っ込む。

出来るだけこの依頼主の側には居たくない。


変にボロが出ても困るし・・・弱者を痛めつけるような人間ってその卑しさが悪臭みたいなオーラになって滲み出ている感じで側にいるのも不快なんだよねぇ。


「クルミ、田端氏が来たら庭に回るから、そのタイミングで愛理ちゃんを脅かして物置から助けを呼ばせて?

目を覚ます体力が無さげだったら物置の中で何か落として大きな音を立てるんでも良いから」


『了解!

多分そこまで体力は落ちてないと思うけど、一応の為に魔力の補充お願いにゃ〜』

ちゃっかりクルミが魔力の追加補充を強請ってきた。


今日だって家を出る前にそれなりに補充したから大抵の作業なら大丈夫な筈なんだけどなぁ。

まあ、もしもの事があって愛理ちゃんを助け出せないと困るから断れないが。

猫って無駄に頭が良いよねぇ。

駄目って言い聞かせた事は全く憶えない癖に。


「全員で庭に回ったら怪しまれるから、田端さんが来たら凛と彼とで庭に行き、私は内側から除霊するって事で良いかな?」

碧が携帯を取り出して時間を確認しながら言った。


「血族がいる方が除霊しやすいとでも言って、依頼主も連れて行けたら更に良いけど、そこまでうまく行くかは微妙かな?

庭に出て、物置に触れるなって言われると法的にデリケートな話になりかねないから、出来れば敷地内への立ち入りを許された後は別行動と行きたいところだけど」

まあ、あまり強硬に嫌がらないならそろっと違和感を感じられない程度に思考誘導を使っても良いし。

案外と雰囲気で流されやすい人って多いしね。

ここの依頼主は平気で悪事をする様だが意外と流されやすい感じだ。

前世で会ったああ言う人って配偶者とかに影響されやすくて、とんでもない悪事をするかと思ったら献身的な奉仕をしたりと状況次第で悪にも善にも振れやすい事が多いのだが、どうやら誰にも影響を受けない状態だとこの依頼主のデフォルトは悪らしい。


もしくは今ここに居ない誰かが唆しているのか。


周辺人物への金の流れとか、保険金の使い込みの共犯者についてもしっかり調べる様に田端氏に言っておく方が良いだろうなぁと考えていたら、インターフォンの音が聞こえた。


「あ、丁度よかった。

依頼主さん、私と一緒に来ていただけますか?

絶対に悪霊からの攻撃は掠らせもしませんから、ちょっと敵の注意を集めるのに協力して下さい。

田端さんは凛と一緒に外から一気にお願いね!」

依頼主が玄関を開けて田端氏にどうぞと声を掛けるのを待ち構えて碧が横から声を掛け、離れの方へと依頼主を引っ張っていく。


「え、外?!」

「雨戸の騒音被害は外からでないと全ての悪霊を還せないのです。

植木には出来るだけ触れない様にしますので、ご安心下さ〜い」

後ろから声をかけ、自分の靴を手に持って田端氏についてくる様に身振りしてリビングの方へ向かう。


玄関の横からも物置がある裏庭に出られるけど、かなり生い茂ったジャングルっぽい所を通らなきゃいけないんだよね。

今の時期だと毛虫とか居そうなので、それらは避ける為にはリビングの掃き出し窓から出る方が良い。


依頼主もリビングから出ていたらしく、それなりによく履かれているっぽい突っかけが窓の外に置いてあるし。


『クルミ〜!

愛理ちゃんを起こして、助けを求める様に脅して!』


『了解にゃ〜!!』

あんまり楽しみ過ぎないでよ?




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