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監禁ですか・・・

「こちらよ。

半年ほど前に姪が交通事故の後遺症で死んだの。

交通事故で姪の夫が死んだ時に引き取ってあげたって言うのに、体が弱って死んだら祟るなんて本当に恩知らずなんだから!」

ブツブツと文句を言いながら中年の女性が家の中を通って離れの様な場所に案内してくれた。

裏に廊下があって、表からは見えなかった離れへ繋がっていた。


なんかムッと籠った臭いがして臭い。

カサカサ!

げ。

碧のG避けに反応したのか、黒い影が逃げていくのが視界の端に見える。


うっわぁぁぁ。

G避け魔道具カードを持ってきていて、本当に良かった!!


何か居る気配はするが・・・悪霊の怨みや攻撃性は感じられない。

これって単なる地縛霊じゃないの?

まあ、折角碧が来ているんだから気持ちよく昇天させて貰うのが霊にとっても良い事だろうけど。


「ちなみに霊はどんな事をしているのですか?

被害の内容によって除霊に対する向こうの反撃の仕方がわかる事もあるので、出来るだけ詳細に教えて下さい」

碧が周りを見回しながら言った。


「夜な夜な夢に出てきて恨み言を言う上に、ガタガタと外壁や雨戸を叩いて音を出すのよ!

お陰でご近所さんにも煩いって苦情を言われちゃうし、本当に恩知らずなんだから!」

プリプリと怒りながら依頼主が言った。


この調子じゃあ交通事故の後に引き取ったって言っても碌なケアはしなかったんじゃ無いかと言う気がするから霊が文句を言うのは正当な苦情なんじゃないかとも思えるが、ガタガタ音を立てるのは確かに近所迷惑かな。


つうか、なんだってこのオバサンが姪を引き取ったんだろ?

兄弟とか親ならまだしも、姪・叔母程度の関係なら本人が断固として引き取りを拒否したら国の支援制度みたいのを頼る事だって可能そうな気がするけど。


遺産でも期待していたんかな?

だとしたら自然死ではなく、体が弱ったところを何か有毒な物を盛って殺したんじゃ無いかと疑いたくなる。


まあ、本()に聞けば分かることだ。

オバサンには退場して貰ってさっさと尋ねてみよう。


「では、除霊の準備をしますので退室して頂けますか?

霊によっては除霊の際に足掻いて、近くにいる抵抗力のない一般人を道連れにしようとする事もありますので」

離れへの扉を示しながら依頼主にお願いする。


あれ。

あの扉、内側に鍵がない。

母屋側にはあったのに。


もしかして、引き取った姪をここに監禁していたの?

流石に餓死させたとかは無いだろうけど、体調が悪くても医者に連れて行くのもタクシーを呼んで自分で行くのも拒否して体調の悪化を招いた可能性はありそうかも。


「・・・分かったわ。

終わったら勝手に部屋の中を漁ったりしないで、直ぐに声を掛けてちょうだいよ!」

何とも失礼な事を言いながら依頼主が出ていった。


まあ、家の中を赤の他人だけで自由にさせるんだから、もっとちゃんとした家だったら小物を盗まれる心配は妥当かも知れない。

この離れには小物どころか碌な家具すら無いけど。


「さて。

出てきてくれませんか?

単にあのオバサンへの恨みだけで残っているのでしたら不毛ですし、次のステージに移行してはどうでしょう?

あの人が違法行為をしているのでしたら、裏が取れる様な情報がありそうなら信頼できる警察の知り合いに伝えておきますよ?」

ずっと私たちの後をついてきていた霊に声を掛ける。


『お願い、娘を助けて!!!』

霊が姿を現し、ぐいっと寄ってきた。


「娘さん?」

碧が眉を顰めて尋ねる。


『夫を失った交通事故があった時、私も怪我を負ったせいで暫く入院しなければならなかったんです。

ですから疎遠ではありましたが叔母に頼んでお金を払って娘を預かって貰い、更に退院後も暫く頼ってくれても良いと言われたのでこちらに来たのですが・・・。

腰を悪くして歩くのすら難しかった私をこの離れの2階に押し込み、生活費を出す為に必要だとキャッシュカードを要求して私達をここに監禁したんです!

外から雨戸を固定して、食事時だけ扉を開け、娘が近づいたらスタンガンで攻撃する始末でした』


おいおい。

スタンガンを家の中で使う分には合法だとしても、未成年者に使うか!?

姪とその子供を監禁する為に使っているのは完全に違法行為だろう。


『当然退院後のリハビリも痛み止めや炎症用の薬も買いに行けず、ここに閉じ込められてカップヌードルやレトルトだけ出された私は結局退院後数ヶ月で悪化して死んでしまいました。

その後も叔母は娘の後見人になって娘をここに閉じ込めて、私と夫の生命保険を使い込んでいるんです!

娘を助け出して下さい!』


酷いね。

殺人の罪に問えるかは微妙だけど、絶対に未必の故意ってやつじゃ無い??

しかも監禁自体はは違法行為だろうし。


「娘さんは今どこに?」

碧が周りを見回しながら尋ねた。


『庭の物置に閉じ込められています。

人に会わせなきゃならない場合などには2日程度前から物置に閉じ込め、死なない程度の最低限の食べ物と水しか与えずに弱らせて助けを求める気力を折っているんです』

酷いな。

つうか、姪御さんが半年前に亡くなったって事はその物置に閉じ込められた時期って冬にもあったんじゃ無い??


暖かい上着や毛布でも入れておけば何とかなったかもだけど、夏場にそれをやられたら熱中症で命に関わるだろう。


絶対に助けなきゃだけど、どうするのが良いのかな?



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