表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
401/1364

『殺って頂戴』??

「うわぁ、本当にこんな家があるんだね」

今回の依頼主の家は、比較的大きな敷地に妙にボロい家が立っていた。

建物の周りは鬱蒼と植物で覆われて、殆どジャングルだ。


地方特集のニュースで偶に見る、ボケっぽいご老人が住んでいてゴミ屋敷化した家が相続で空き家になって更に放置され、近所に迷惑を掛けた挙句に最終的に自治体によって強制的に建て壊しをされる家みたいな雰囲気だ。

まだゴミ屋敷程度な雰囲気で、要建て壊しまでは行ってないが。


退魔協会に依頼する金があるんだから、お金がなくてメンテしていない訳では無いだろうに。

ちょっと偏屈なご老人でも住んでるんかね?


老人だったら悪霊ともそのまま同居しちゃいそうな気がしないでもないが。

つうか、ある意味同居している家族が無事な事を考えると・・・この家に居るのって単なる地縛霊で、悪霊じゃあ無いんじゃない?


誰も害されてないっぽいんだから。

まあ、悪霊のせいで軽微な精神異常を起こしていて家のケアをしなくなっている可能性もゼロでは無いけど・・・重度に影響を受けていたら除霊の依頼も出そうと思わないケースが多い筈。


なんかちょっと違和感がある家だ。

まあ、悪霊なり地縛霊なりが居ると分かっていて同居している言う時点でちょっとどころでなく家人も変わってるけど。


「う〜ん、虫除けスプレーを持ってくれば良かった・・・」

G避けの魔道具カードをしっかりと握って魔力を通しながら碧が呻く。

外での効果ってあまり範囲が広く無いんだけど、以前のG物件みたいな場合もあるから常に持ち歩いているんだよね。


レストランやスーパーとかでも側に来て欲しく無いし。

・・・考えてみたら、電車の座席の下とかって虫はいないのかな?

常時快適な温度になっているし、客が座って汗をかいていたらそれなりに湿気るだろうし、時折お菓子とかを落とす子供が居るしで、実はGとかにとっては過ごしやすい場所なんじゃないのかなぁ?


もっとも、電車の中でGが目撃されてパニックが起きたって話は聞かないから、定期的に倉庫の中でバル○ンでも焚いてるのかな?


それとも何か殺菌用の装置でもあってそれが雑菌と一緒にGも退治してくれているのだろうか?


まあ、それはさておき。

「今度、蝿と蚊よけの魔道具カードを作ると良いかもね。

虻とか蜂のも捕まえられたら作ると更に良さそうだけど」

刺す系の虫は排除できたら有難いけど、生体指標(マーカー)を得る為に生きた状態でゲットするのが難しいんだよねぇ。


蝿や蚊程度ならなんとかなるけど。


「だねぇ。

ついでにダニとかノミもやりたい」

ジャングルチックな敷地の中を見て家の内部の様子も想像したのか、碧が嫌そうに身震いしながら言った。


「ノミとかダニって小さすぎて難しいかも?

微細な虫を殺す系の魔法陣ってあったから、ちょっと思い出す努力をするわ」

生命関係の魔術や魔法陣は白魔術師が専門だったが、魂の力を奪って殺すだけなら黒魔術師も出来る。


なので害虫退治っぽい下っ端がやる様な仕事は黒魔術師に来てたんだよねぇ。

人を治療するのに忙しい白魔術師様に害虫退治をさせるなんてとんでもないって事で。


今世ではバル○ンと言う心強い味方があるから特にダニやノミの必要は無かったが、源之助の健康に悪いだろうからこれからはバ○サンを焚けない。

そろそろダニ等の抹殺を一度やると良いかも。


一応虫系抹殺の術って人を払ってからやる様に言われていたから、生き物に絶対に害がないとは言い切れないかも知れない。

今度碧が居る時に、源之助と他の部屋に閉じ籠って貰った状態でやっていこう。


「よろしく!!」

碧が嬉しそうに言いながら、門の横にあるインターフォンに手を伸ばしてボタンを押した。


「退魔協会から来た者です」

『ああ、やっと来たのね!

さっさと入ってきてヤッて頂戴!!』

ブーっという音が鳴って直ぐ後に、女性の声がインターフォンから聞こえてきた。


なんか『ヤッて頂戴』が『殺って頂戴』に聞こえたんだが。

除霊する霊って依頼主のなんだったんだろ?

家の中に居着いているって事は少なくとも親戚、もしかしたら兄弟か親か子だと思うんだが・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ