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もう??!

「直接的な攻撃は多分無い代わりに周囲の信頼を落とすような感じで攻めてくるかもだから、被害の話を待たずに大元が行動を命じた段階で天罰を下す方が良いって」

田端氏との電話を終えて、碧と白龍さまに報告する。


『確かに呑気に被害に気付くまで待つ意味は無いな。

準備しておこう』

白龍さまがあっさり頷いた。


「やっぱり警察側だと田端氏も思ったんだね〜」

バキバキとお煎餅を割りながら碧が言う。


「考えてみたら前回の誘拐騒動で退魔協会側も懲りているだろうから、政治家からのリクエストだったら例え大臣からのお願いでも断るよねぇ」

何と言っても天罰だ。


経済的な圧力とか、今後の行政手続きの認可が遅れるとか言った事があろうとも、自分が半永続的にトイレに入り浸りになる事と比べたら自分の健康を取るだろう。


そう考えると、お願いしてきた政治家の圧力に負けて紹介しただけで誘拐には直接関わっていなかった退魔協会の職員にちょっと厳しいかも?と思っていたが、必要な処置だったんだねぇ。

まあ、退魔協会の職員側もどうでもいい名家出身じゃ無い若手を見せしめにして碧に言う事を聞かせられるなら、都合が良いと思って情報提供したんだろうし。


あのおっさんが警察か公安か知らないが、退魔協会としては治安組織側の人間が悪い事はしないだろうと思ったか、私が正義の為ならちょっと変則的な依頼でも受けると思ったかなのだろう。

多分。


とは言ってもねぇ。

権力者や治安組織が必ずしも正義ではないのは前世で嫌と言うほど思い知っている。

悪事を働く人間を合法的な手段で止められないから違法な行為に手を染めてでもやるって言う気持ちは分からないでもないが、合法的な手段で止められない段階で冤罪の可能性が拭いきれないし、どうしても違法行為に手を染めるなら自分で相手を階段から突き落とすなり車でぶつかって怪我をさせるなり、やれる方法は色々とあるだろう。


完全に無関係な女子大生に違法行為を強要する必要性はどこにも無い。


「しっかし、何だって白龍さまの保護下にある凛に態々ちょっかい出してきたんだろうね?

退魔協会にだって呪詛が出来る人がいるだろうし、いないなら普通に呪師が民間にいるのに」


「氏神さまの力を信じきっていないんじゃない?

だから人より力の強くて回復が出来る碧の相棒である私に違法行為をさせて、なし崩し的に我々の弱みを握れたら便利だってぐらいの考えなんじゃないかな?」

要は、自分へ本当に天罰が下るとは信じていないのだろう。

前回の事件で政治家や退魔協会の人間に下った天罰は不幸な集団食中毒だとでも思ったのかも?


「あ〜。

神様自体の存在を信じてないのか。

珍しいね」

ぽいっと煎餅の欠片を口に放り込みながら碧が言った。


「珍しいの?

国や経済界の上層部には昔ながらの情報がきちんと残っているだろうとは思ってたけど」

社会を動かす重要な見えない力なのだ。

無視したら問題が生じそうだ。


「退魔師や呪詛や悪霊の存在は信じても、そう言うのを超えた超越的な存在は話が大袈裟になっているだけだと思っているのかも?

白龍さま以外にも神格持ちはいるけど、あまり出てこないし質問にも滅多に応じないらしいからね〜」

碧が急須にお湯を注ぎながら言う。


「ああ、積極的に関与するほど人間の営みに興味はないと思っているのか」

現存する神社も3分の1ぐらいは本当に厄祓いが出来るし、そう言う神社は注意して観察すれば微妙に神気を感じる。


でも、あれらの氏神さまは境内で真摯に祈りを捧げればある程度応じてくれるが、外での騒動に積極的に関与してくる事は殆どないらしい。

そう考えると私や碧に手を出したら危険だと言うのは実感できないのだろう。


まあ、何も命じなければ平和に物事は収まる。

何かやって天罰が下ったらそれは自業自得と言うところだ。


『お、早速動いた』

白龍さまが急にじゃないけどを上げた。


もう??!

早いね。


なんかでも、自分が直接会った訳でもないのに私との縁だけで悪事を働こうとすると分かるなんて、マジで神様じみた力だなぁ。


単なる強力な幻獣ってだけでなく、長年地球で暮らして人々の暮らしを見守り、氏神として関与している間にそれらしい能力も生えてきたのかも?


前世でも竜や龍の破壊力は荒神並みな力はあったが、こう言う縁とかカルマとかに関する能力があるなんて話は聞いてない。

まあ、もしかしたら神殿に祀られている神様も元々は普通に強力な幻獣だったのが祀られている間に神のような力を身につけた存在なのかもだけど。


人に祈られ、縋られ、祀られてる事で得る力もあるのかもねぇ。


取り敢えず。

頼れる味方がいて良かった。




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