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融解温度?

明けましておめでとうございます!

ガキッ。

耐火生地に爪を固定しようとホッチキスを使ってみたのだが、変な音がして動きが途中で止まった。


「ありゃ?」

ホッチキスだけ手に取ってかちゃっと閉じるとちゃんと針が折り曲がって出てくる。


もう一度生地に爪を乗せ、ホッチキスで上から抑える様に握るが・・・

「ホッチキスの針が通らない・・・」


まあ、考えてみたら鋏で切れなかったのだ。

ホッチキスの針で貫けなくても不思議はない。


なんか糸で縫い付けるだけでは不安だからホッチキスで固定した上で縫い付けようと思っていたのだが、ダメな様だ。


しょうがない。

「なんか微妙に不安が残るんだけど、多分大丈夫だよねぇ・・・」

一応発火しても大丈夫な様に金属刺繍糸とやらを買ってみたのだが、金属と言うだけあって色がキンキラキンで派手な上にちょっと太いのでしっかり縫い留められるのか微妙に不安なのだが・・・この際、爪を縫い止める部分だけは普通の糸を使うべきだろうか。

でも、動力源とも言える爪の部分が焼け落ちちゃってマジックバッグが普通の袋になってしまうと致命的に不味いから、出来ればここは焼け落ちるのが最後になって欲しいんだよなぁ。


それこそ、電気回線みたいにハンダで固定したり、アルミホイルで包んだりしてみても魔法陣への接続を保てるか、試してみようかな?

ハンダで固定出来たらかなり安心だ。

耐火生地とは言え、布状の素材にハンダを使うのってかなり違和感があるが。

生地が折れたり曲がったりしたら取れちゃうなんて事は無い・・・よね??


ハンダの道具なんかを揃えるのが大変そうだからまずはアルミホイルで試してみるけど。

魔力って電流とは違うからダメかもなぁ。

と言うか、魔力だったら電気と違う物が伝導性が高いかも?

絹糸とか、サランラップとか、アクリルとかも試してみるか。

まあ、クルミの躯体を作るのにプラスチック系が全然魔力保持力が無くって駄目だったことを考えると、サランラップとかアクリルは可能性が低そうだけど。


「どうしたの?」

碧が横から覗き込んできた。


「生地に爪を固定するのに何を使うべきかって考えてて。

ホッチキスの針が通らなかったから、糸で縫うしかないんだけど何か魔力を通す物でカバーできたら良いかもな〜と思ったんだけど、考えてみたら現世で魔力伝導性の高い物ってなんだろ?」

前世だったら龍の爪レベルだったら魔銀ミスリルを使っただろうけど。


魔物の毛皮とか骨も種類によっては魔道具作りに良いって聞いたが。

考えてみたら、何が良いのか詳しくは知らない。


前世では仮にも建前上は王宮に仕える魔導師だったから魔銀ミスリルが普通に必要に応じて提供されたんで、それ以外を使おうなんて考えたことも無かったからなぁ。

加工用の道具も職場に置いてあったし。


「・・・雑草とかじゃ駄目なのかな?」

碧がちょっと首を傾げつつ言う。


「まあ、聖地の雑草もそれなりに魔素を蓄えた素材だけど、耐久性はイマイチだし、乾燥したら一気に更に弱くなりそうだし、何と言っても耐火性はないだろうからねぇ」


「前世では何を使ったの?」


「私に馴染みがあるのは魔銀ミスリルだね。

あれって何か足して合金化するとハンダみたいにかなり低い温度でも溶ける様になるから便利だったんだよねぇ」

しかも最後に魔力を過剰に通して焼き付けるとぐっと固くなって融解温度も変わる、やたら便利な機能付きだったし。


まあ、その便利な機能にするための合金化の過程は国家機密で、何を足すのかは私も知らなかったけど。


魔銀ミスリル

なんか夢があるねぇ。

あれってそれこそ銀に魔力を籠めまくったら変質して魔銀ミスリルになるの?」

碧が目を輝かせなから聞いてきた。


「人間が魔力を籠める程度で魔銀ミスリルになるんだったらあれ程高くは無かったと思うよ。

あれってそれこそ龍クラスの幻獣が長年住んでいた場所とか幻想界との境界のそばで、魔力に長年晒された銀が変質して出来上がる物らしいから」

何年置いておけば良いのかは誰も知らなかったが。

ちょっと仲良くなった変わり者のドラゴンにとある研究者が銀へ魔力を籠めるよう頼んだところ、銀が溶けるほど魔力を籠められた(火竜だったらしい)ものの魔銀ミスリルにはならなかったらしい。


「そっかぁ。

例えば使わないこの爪の破片を溶かし込んだりしたらどうかな?」

碧が幾つかに割れた爪の破片を見ながら提案する。


「銀を溶かす整備があるところに伝手があるなら試してみても良いけど・・・下手したら白龍さまの爪の融解温度って銀よりも高いかも?」

と言うか、熱くなりすぎたら流石に燃えるかもだし。

金属に溶かせるのかな?


幻獣や魔物の骨を金属に溶かすって言うのも鍛治の秘技の一つだって話も聞いたけど、爪でも同じ事が出来るのかな?


「どうなんでしょう、白龍さま?」

碧がくるりと振り向いて白龍さまに尋ねる。


『銀と鉄の加工時の温度の違いは知らんが、昔刀鍛冶が鱗を鉄に溶かし込もうとして失敗しておったな。

爪の方が鱗よりも弱いからもしかしたら大丈夫かも知れんが』

フリフリと尻尾を源之助の前で動かしながら白龍さまが答える。


龍の鱗は抜群の防衛力を誇るらしいけど、爪はどうなんだろ?



今年もよろしくお願いしま〜す!

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