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合宿だ〜!:ご挨拶

鎌やその他の使わせてもらった道具を片付けた後、サークルの皆は夕食や温泉へと散開し、私は碧と一緒に藤山家の皆様への挨拶に戻ってきていた。


「はじめまして。長谷川 凛と申します。

縁があって碧さんや白龍さまと知り合えて、色々と教えて頂いております。

将来は一緒に組んで働こうと話し合っており、末永く共に安全に働ければと思っております。

これからもよろしくお願いします」

テレビで観た三つ指をつく土下座の前段階っぽい仕草をしなければならないかと密かに危惧していたのだが、幸い碧の両親に紹介されたのは洋風なリビングだったので普通に頭を下げて挨拶をするだけで済んだ。


普通に誰かとパートナーシップを組むだけならそこまでこちらが下手に出る必要はないと思うが、碧と私の場合はやはり私が業界の常識を色々教わっている立場だし、碧にはセーフティネット的な白龍さまが付随してるし、もしかしたら碧のご両親に将来ビジネスを始める際の保証人を頼むかも知れないので、がっつり下手に出ている。


「ふふふ、末永くだなんて、まるで配偶者の紹介みたいね。

それでも良いのよ?

自分の本質は誰にも隠さずに、真摯に向き合っていくことが大切なんだからね?」

にこやかにこちらに握手の手を差し出しながら碧ママが言ってきた。


え?

もしかして、碧ってそっち系?


思わずちろりと碧の方に目をやったが、本人は『呆れた』という顔をして首を振っていた。


「お母さん、こないだ社会派LGTB主人公の弁護士のドラマを見てからやたらと『理解があるのよ』アピールしてるけど、私は同性の裸を見ても興奮しないから。

彼氏が居ないのは、単に協会が紹介してくるのが上から目線で偉そうな事を言ってくる嫌味ったらしいのばっかりなのと、近所のじーさま・ばーさま達が連れてくるのは草食系過ぎてこっちが疲れちゃうからなだけよ。

大学でもイマイチ価値観がマッチする人に会えてないけど、だからって友人関係を飛び越して性愛関係に行こうと思うほど人との触れ合いに飢えている訳じゃないから!」


おぉう。

中々面白いお母上の様だ。


「ちなみに私も女性の胸より男性のシックスパックに魅力を感じます」

一応の為、表明しておく。


「あら、凛ちゃんはシックスパック派?

私は上腕筋が好きなのよね〜」

碧ママがにこやかに碧パパに腕をパタパタと何故か自慢げに軽く触れながら教えてくれた。


「やあ、碧の父の藤山 修です。

よろしくね。

あまり最近は悪霊退治はやってないが、奥さんの為に腕立て伏せと懸垂を毎日続けている肉体派宮司なつもりだ」


「よろしくお願いします」

握手しながら、思わず碧パパの腕に目をやる。

確かに我々の父親世代にしてはポロシャツから出ている腕が引き締まっている。


「よろしく。

碧の弟でこの家で唯一常識派な藤山 翔です。

姉と一緒に悪霊退治をしてくれるとの事ですが、無理をせず頑張って下さい」

深く溜息をついた弟くんが自己紹介しながら右手を差し出してきた。


ある意味、普通の日本人なのに挨拶で握手をしようとする家族なんて珍しい。

大抵はお辞儀だけで済ますと思うんだけど。


全員と握手し終わったら皆でソファに座ることになり、私も示された場所に座った。

右側に碧が並んで座り、正面のソファに碧ママと碧パパ、左手の一人がけ安楽椅子に弟くん。


なんか、ますます彼氏の紹介っぽい雰囲気じゃない??


「日本なのに海外ばりに握手を求められてびっくりしただろう?

玲子さんは触れるとある程度相手のことが分かるスキルを持っているのでね。

初めて会う重要な人とはちょっと海外かぶれっぽく皆で握手を求める事にしているんだ。

いくら白龍さまがお墨付きを与えているとは言え、我が家の一人娘と一緒に命と収入を賭けて働く相手だから、ちょっと試させて貰ったんだ、すまないね」

碧パパが茶葉を取り出しながら説明してくれた。


宮司さんが直々にお茶を淹れてくれるとは。

なんか本当に色々と変わった家だね、ここ。


「悪霊退治ではほぼ役立たずだけど、人物鑑定は得意なの」

にっこりと碧ママが付け加える。


接触で相手の情報を読み取れるとは凄い。

黒魔導師時代でも、即刻問答無用で王家か神殿に強制的に囲い込まれたレベルの希少度だ。

「握手の慣習がこの国に入ってきて良かったですね」

昔だったらさりげなく肩の埃でも払っていたのかな?


それなりに親しくならないと日本人って基本的にボディタッチはNGだから、タッチで悪人判定出来る能力っていうのは日本では中々難しそう。

そう考えると家族全員が海外かぶれっぽく見せるのも、中々良い偽装かも。


「確かに!

まあ、いざとなれば玲子さんが躓いて倒れかかるんだけどね」

ポットにお湯を注ぎながら碧パパが答える


「それで、私は合格ですか?」

まあ、ぶっちゃけて説明しているんだから大丈夫なのだろうと思うけど、聞かずにスルーは無理だ。


「そうね。

白龍さまってお金に関してはかなり大らかだから、そこら辺を確認したくって」

碧ママが答える。


「そりゃあ、白龍さまが細かいお釣りの事とかカードのリボ払いの危険とかを気にするとは思えませんが、流石に金を騙し取ろうとかする様な人間だったら碧の周囲から排除すると思いますよ?」

金額の大小に関しては大らかでも、悪事そのものにはそれなりに白龍さまも厳しく対応するだろう。


「玲子さんはお金に対する執着心の強さを感じられるんだ」

碧パパがお茶をカップに注ぎながら愛情たっぷりな視線を碧ママに送った。


なんかやたらとイチャコラな夫婦だな。

一緒に住んでいたら子供たちは居た堪れないんじゃない?

それとも幼い頃からずっと見ていたら慣れてて平気なのかね。


「それは確かに重要で便利な能力ですね。

だけど・・・私、合格できたんですか。

ちょっと意外かも」

少なくともかなりケチだぞ、私は。


「程良い執着ってところね。

碧はお金に関しては大らかな上に潔癖な気があるから、多少執着心が強いけどそれを制御できてる人が一緒の方が、独り立ちするなら安心よ」

にこやかに碧ママが応じる。


なるほど。

金に関して大らかすぎると、収支を度外視しちゃって困窮しかねないと心配してたのか。


潔癖すぎても損をするし、金に執着し過ぎてもグレーから黒に足を突っ込みかねないし。

バランスを取れるようお互いに気をつけるのが正解っぽいね。


お金のことでしょっちゅう碧とぶつかる様になったら、碧ママに鑑定してもらって執着心が強くなり過ぎてないか確認して貰うと良いかも。






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