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心霊スポット??

「近所の心霊スポットを回って憑かれたから除霊、プラス当たりだったスポットがどれだったか確認してそこも除霊して欲しい??」

退魔協会から掛かってきた依頼の電話を受けた碧が素っ頓狂な声を上げた。


はぁ?

心霊スポット??

『慶貴大学の学生さんが、サークルで魔力とかの研究をしているらしいんですよ。

心霊スポットはパワースポットの一種だろうと身を張って色々回ったら、ある意味本人のご希望通り取り憑かれたのでまずは除霊、その後は原因だった心霊スポットを除霊してもらって研究したいそうで』

疲れたような声が電話の向こうからしてきた。


「退魔協会に依頼できるって事は退魔師とも伝手があるって事なんでしょう?

そんな変な事をせずに大人しく退魔師に弟子入りしたらどうなんです?

才能がないなら退魔師に研究の協力を頼むとか」

碧が呆れたように提案する。


金持ちが心霊スポットの除霊に金を注ぎ込むのは社会と悪霊化した霊にとっては良いことかも知れないけど、それで研究したいって言うのはねぇ・・・。

まあ、金を払ってもプライドの無駄に高い退魔師が研究に協力してくれるかは知らんが。


『才能が無いのは既に確認済みなので、外部的な魔力や霊力っぽい物を求めて心霊スポット周りをしたようですね。

調査部が確認したところ、どの心霊スポットにも悪霊はいるとの事なのでどこを除霊するかは依頼主と要相談になります』


なんかなぁ。

確かに前世の自然発生的ゾンビやスケレトンは基本的に魔力溜まりに発生したから、現世で死霊が集まりやすい場所もこちらの世界にしては魔素が濃い場所なのかも知れないが・・・悪霊って基本的に恨みをエネルギー源にしてるからなぁ。

もっとも、この場合の『恨み』が正確にはどうやってエネルギーを作り出しているのかと言うのはそれなりに要研究かもだけど。あれってもしかしたら死んだ後の次の転生での『格』を削り取って消費しているんじゃないかと私は思っている。


だから悪霊として長く現世にしがみつきすぎると、来世は畜生か虫ケラになる、みたいな感じかも?

まあ、悪霊になって悪事を働くとその分悪いカルマを溜め込んで転生先が悪くなるので、因果関係は微妙なとこかもだけど。


魔素が多いスポットだったら死んだ霊が現世に不自然な形で存在し続ける為に消費しなければならないエネルギーが少なくて済むのかもだけど、このエネルギーって素人が研究して何とか利用出来るレベルじゃあないだろうに。


魔道具は魔術師じゃなくても魔術的効果が得られる道具ではあるが、使うのにも多少は魔力が必要なのだ。

ましてや作るとなったらガッツリ魔力が必要だ。


才能なしと退魔師への弟子入りを断られた人間が幾ら研究しようと、どうしようも無い気がするよ?


「ちょっと待って下さいね」

碧が電話の保留ボタンを押してこちらに顔を向けた。


「こう言う若い研究熱心なラノベファンもどきと仕事をすると粘着されそうで嫌なんだけど、断って良い?

以前心霊スポットを回って憑かれた高校生の除霊をした時も、滅茶苦茶しつこかったんだよねぇ」

余程不快な記憶だったのか、顔を顰めながら碧が聞いてくる。


若い子供の興味深々な粘着だと流石の白龍さまも対応に苦慮したのかな?


「良いよ〜。

下手に身バレしてウチらの大学の方に来られたりしたら大学生活が台無しだしね。

断るのが正解だと思う」

社会人になってからだったら退魔師だと知れ渡ったところで極端にダメージはないが、在学中に大学で情報が漏れたりしたら・・・好奇心一杯なラノベファン層には粘着され、退魔師なんて信じていない連中からは詐欺師扱いで遠巻きにされる悲惨な大学生活になる将来しか見えない。


下手に依頼主に金があると、金に明かしてウチらの情報を調べさせそうだし。


「お待たせしました。

プライベートな方に支障が起きかねないので、学生の間は同年代の依頼人からの仕事は全てお断りさせて頂きたいと思います。

別の方に回して下さい」

保留を解除して碧が退魔協会の職員に伝える。


『出来れば若い方をお願いしたいと言うのが依頼主の希望なのですが・・・』

困ったような声が向こうから聞こえてくる。


「京都の旧家の若い人にお願いすれば、今後の仕事付き合い上のコネも出来てお互いにウィンウィンな状態になるのでは?

若い退魔師が我々だけでは無いのですし、粘着することを既に予告しているような相手の依頼を若い女性である我々に持ってくること自体もどうかと思いますね。

では、また別の依頼があったらご連絡ください」

キッパリ職員の言葉を切り捨て碧が電話を切った。


「魔道具なんて自力で研究したところで現代の機器でどうにかなるとも思えないけどね〜。

金があるなら、それこそ退魔協会と共同出資で研究でもすりゃあ良いのに」

少なくとも魔力が視える人間が参加しなければ、話にもならないだろう。


「退魔師なんて古さと歴史を誇る骨董品のような連中が殆どなのよ?

近代的な研究なんぞに協力する訳がないじゃん」

碧が私の言葉を鼻で笑った。


「あ〜。

そっかぁ」

でも、そう言う研究したがる人間がいるって事は・・・今後の依頼で出かける時は少し変装でもした方が良いかも?



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