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尻尾

「なんかさぁ、猫の尻尾って魅了の術でも掛かっているんじゃないかと思うぐらい魅惑的だと思わない?」

チュー助をじっと見つめながらお尻を細かく左右に振りながらユラユラと尻尾を揺らす源之助を見ていた碧が突然声を掛けてきた。


碧の親バカ丸出しな台詞に源之助を改めて見つめてみる。

「確かにあのしなやかさとふわっとした動きは魅惑的だよね。

触らしてくれないところも禁断の楽園っぽくって余計に魅力的だし。

でも、肉球も良く無い?」

確かに動いている時は尻尾が一番だが、だらーんと寝転がって寝ている時なんかは尻尾よりも肉球の方が可愛い気がする。


「確かに!!

ふわぁ〜って欠伸する表情も可愛いし、猫って本当に魔性の存在だよね!」

碧が大きく頷きながら返した。


「とは言え。

碧、最近源之助の魅力に負けておねだりされたら餌をあげてない?

チュー助とあれだけ走り回っているのにちょっと太ってきたよね、源之助?」

首周りも以前のすっきりした感じではなくちょっと弛む時があるし、胴のラインもまだぽっちゃりとまでは行っていないが、かなりギリギリな感じになってきている。


「う〜。

だって、物凄く悲壮そうな声でおねだりするんだもん。

お腹が空きすぎてたら可哀想じゃん!!」

碧が開き直って主張した。


「太り始めるぐらいカロリーは摂取してるのに、なんだってあんなに悲壮そうな声をあげておねだりするのか不思議だよねぇ。

すぐにがっついて食べる犬と違って、猫ってゆっくり気が向いた時に食べるから満腹中枢がしっかり機能して食べ過ぎないんじゃなかったんかね?」

昔近所のお姉さんが猫を飼い始めた時に教えてくれた話を思い出しながら首を傾げる。


でも考えてみたらネットにアップされてる猫動画の猫ってデブなのが多いから、今時の甘やかされている家猫って満腹中枢が満たされるまで好きなだけ食べさせると高い確率で肥満体型になるのかな?


認識阻害結界で台所のカウンターや棚には飛び乗らないようにしたものの、私や碧が台所に近づくと源之助がおねだりに駆け寄ってくる。

流石に私達自身に認識阻害の術は掛けたくないから、『餌の出てくる場所に下僕が近づいた!』って言うのは分かっちゃうんだよねぇ。


おねだりされると無視するのは可哀想なので、私はそっと満腹中枢に干渉して満腹になったつもりにさせて騙すのだが、碧はそれができない。

下手に猫の新陳代謝を弄る術とかをかけると寿命が縮むかもと基本的に何の術も掛けようとしない碧なので、おねだりに負けているっぽいな。


ちゃんと毎食あげる餌の量を測って管理してても、間食ありまくりじゃあダイエットに失敗するのは当然だね。


満腹中枢が満たされたと誤解させる魔法陣をカード化して碧に渡すかなぁ。

つうか、考えてみたらこれって自分のダイエットにも使えそう。


最近は碧に色々助けてもらっているんで体重は良い感じに推移してるんだけどね。


ダン!

バタバタバタバタ!

チュー助に源之助が飛び掛かり、逃げられて寝室の方へ2匹とも爆走していく。


「あれだけ走り回っているのに太るなんて凄いよねぇ・・・」

碧が呟いた。


「まあ、私が時折ジムに行って30分自転車漕いで30分筋トレしても痩せないのと同じで、生半可な運動じゃあ食べすぎて摂取しちゃった余剰カロリーを燃やし尽くすのは難しいんだろうね」


そう考えると猫の新陳代謝を上げたら寿命が縮むのか、マジで知りたい。

ダメなら頑張って食事摂取量を何とかして減らす必要があるし、大丈夫なら少しギアアップして余分の脂肪を燃やしたいとこだ。


普通の猫だったら新陳代謝をあげてダイエットしたら肥満からくる健康被害を回避できるから確実に寿命が増えそうだけど、源之助の場合は健康そのものに関しては碧が付いているから心配は要らないので弊害だけが残るので迂闊な事はやれない。


それに新陳代謝をあげた猫の平均寿命がどうなるのか、追跡調査をしても結果が出るのは数年から十数年先だしなぁ。


難しい。

取り敢えずは満腹中枢を騙す魔術カード版魔道具でも作るか。



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