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試作品完成!

「じゃじゃ〜ん!」

出来上がった携帯用マジックポーチを碧に見せる。


「お!

もう出来たの?!」

碧がポーチを受け取りながら中を覗き込んだ。


携帯がギリギリ入るサイズの巾着モドキの中に携帯の下部4分の1程度が入る収納袋が縫い込んである。

まっすぐ持つ分には携帯の重さはマジックポーチに支えられるので薄っぺらい巾着モドキでも支えられるし、薄くて軽いので適当に服のポケットに入れたり首からかけて服の中に入れておいても大丈夫だ。


「次元結界に1メートル以内に近づくとバチって静電気みたいな痛みを感じる様にしてみた。

10秒ごとにバチバチ痛みがくるんで、もしも次元結界のそばで立ち止まる羽目になった場合はマジックポーチの裏にあるこの魔法陣を捻れば30分程警告機能が解除される様にしたの。

ただし、外したまま忘れてセキュリティゲートに突っ込んだらポーチが発火するから気をつけてね」

使用方法を説明する。


結局、収納の魔法陣を刻んだ和紙を次元結界に接触させた際に魔法陣から発火するのはどうしても防げなかったんだよねぇ。

代わりに次元結界そのものを探知する魔法陣は比較的あっさり完成したので、痛みを感じさせる魔法陣と組み合わせて使うことにした。


マジックポーチは少なくとも私は服の中に入れて使う可能性も高いのだ。

発火なんぞしたら大怪我だし、消火のために水を掛けられるのも、消火器の白い粉だらけにされるのもゴメンだ。


・・・つうか、あの消化器の白い粉って人間に直接吹き付けて吸い込んだり飲み込んだりしても大丈夫なのかね?

なんか古い消火設備を誤作動させて作業員が窒息死したなんて記事を新聞で読んだ気がするが、手に持つ消火器は大丈夫だよね??


まあ、発火なんぞしたら大騒ぎになるし確実に携帯が壊れるだろうから、絶対にマジックポーチを持っている時は次元結界に近づかないつもりだけど。


「うわ、本当にバチっと来た!!」

マジックポーチを手に持ってテスト用の次元結界に近づけた碧が慌てて手を引く。


「まあ、実際に静電気が生じている訳じゃあないんだけど」

電気を発生させる魔法陣は黒魔術師には作れないからね〜。

なので代わりにあの痛みだけを再現している。


最初は2メートルぐらいでバイブレーション、1メートルで痛みって形にしようと思ったんだけど、携帯のバイブレーション機能程度の揺れって中途半端な感覚だから、イマイチ魔法陣で上手く再現できなかったのだ。

あれって振動を感じるよりも音で気づく事が多いし。

音はねぇ。

幻覚として聞かせる事も可能だけど、大分と魔法陣が複雑化するし消費魔力も多くなるので、バチっと一撃の方が楽なんだよね。


近くに立ち止まったままバチバチずっとやっていたら魔力切れになるかもだけど、静電気のバチってのもそれなりに痛いから、余程のことがない限り痛い場所で立ち止まったりはしないだろう。


「そう言えば、碧の携帯もこのサイズで大丈夫か確認しようよ」

考えてみたら、メーカーが違うから受信用のアンテナが違う場所に入っているかもだし。


「うん。

じゃあまずは普通に入れて電話を掛けてみるね」

碧が自分の携帯を取り出し、マジックポーチへ入れてから固定電話でスピードダイアルの番号を押す。


元々は『自分の携帯になんぞ掛けないでしょ』と登録しなかったのだが、碧が留守の時に私が緊急な連絡を受ける事もあるかもと言う事でスピードダイアルには私と碧の携帯と実家の番号が登録してある。


今まで使った事はないけど。


が、

「掛からないね。

反対向きにしたらどうだろ?」

碧が携帯を抜き出し、上下逆さまにして入れ直す。


数秒待っていたら、携帯の着信音が鳴り響いた。

「お!

大丈夫そう」


「じゃあ、碧に携帯もこのサイズで大丈夫、と。

メーク用品とか財布用はどの程度の大きさがいいの?

ちなみに外側のバッグのサイズより露骨に大きい物は入れない方が良いと思うよ」

外側のバッグの口のすぐそばにマジックバッグの口を持ってきてあれば、直接マジックバッグに触れさせた物は収納サイズ内だったら何でも入る。


だが。

現実の話として、手のひらサイズの可愛い小さなバッグにA4のファイルがあっさり入ったりしたら周囲の目を引く。

考えてみたら収納符はあったけどマジックバッグは退魔協会の売り場にも無かったから、碧がマジックバッグっぽいのを持ち歩いていたら欲しがる人も出てくるんじゃないかなぁ。

普通のラノベファンにも粘着されるだろうし、

マジックバッグはラノベ好きには浪漫だからね〜。


それは避けたいし・・・あまり大きくすると必要魔力が大きくなるので魔石代わりに使う素材のハードルも上がる。

夏休みにでも雑草刈りのついでに良さげな石か骨を探す予定だが、ランクが十分な素材が見つからなかったらせっかく作ったマジックバッグも破棄しなければならなくなる。


「財布、メーク用のポーチ、タオルとちょっとしたお菓子かなぁ」

碧が自分のバッグから色々と物を出しながら言った。


・・・意外と嵩張るね。

お菓子は減らしても良いんじゃない?

つうか、いつもそんなにお菓子を持ち歩いていたんだ?!




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