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ちょっとホラーかも

「・・・何やってるの?」

碧が手元を覗き込んで聞いてきた。


「なんかこう、魔力を保持できて燃えない素材って出来ないかな〜と思って、ネットで調べたら防火スプレーとか言うのがあったから、取り敢えず適当な布にそれを染み込ませて、魔道具として使う為に髪の毛で魔法陣を形成したらどうかな〜と思って縫ってみてるの」

健康な毛がいいかと思って、直接引き抜きつつやっている。

流石に何本もまとめて刺繍糸みたいにするのは難易度が高すぎたので、一本ずつの毛でちょっとずつ縫っているのでかなり手間がかかっている上に見た目はショボイが。


「・・・そんな細い髪の毛一本で魔法陣として機能するの??」

碧が微妙そうな顔で聞いてきた。


「怪しいかなぁ・・・。

長さが足りないから重複させて重ねる事で連続性を持たしているけど、考えてみたら線の太さがガタガタに変わる魔法陣なんてダメっぽい気がしてきた」

2時間近く頑張ってきたんだけど、諦めるべきかも?

このままじゃあ実用性があるか調べる為にちゃんとした魔法陣を縫い終われるのに数日かかりそうだ。

この出来では上手くいかなくても縫い方が悪いのか、線が細すぎるせいなのか、線の太さの不均等性が悪いのか、素材の魔力保持性が足りないからなのか、原因が分からず何度も試作品を作る羽目になりそうだし。


十分検証できるほど時間を掛けて試行錯誤する気も起きない。

裁縫ってあんまり好きじゃあないんだよねぇ。

しかも髪の毛って普通の糸より硬いせいで中々扱いが難しいし。


錬金術師の才能があったら、散髪した時の毛を集めて変質させて板なり布なりに変えさせられたかも知れないのになぁ。

残念だ。

まあ、普通の錬金術師だったら奴隷まがいに王宮でこき使われて逃れる為に得体の知れない古代の魔法陣なんぞを試すなんて事にならなかっただろうから、過去の記憶を保持したままの私が現世に転生する事も無かっただろうけど。


「つうか、和紙に防火スプレーじゃダメなの?」

碧が首を傾げながら聞いてきた。


「紙って燃えやすいみたいで、少なくともあの厚さの和紙だと防火スプレーしてもダメだった。

だから厚いめの生地に髪の毛でどうかと思ったんだけど、言われてみたら数本の髪の毛程度で保持できる魔力量なんてたかが知れてるね・・・」

考えてみたら、いくら魔術師の毛髪であろうとそれが魔物の皮並みに効果があったら前世でも錬金術師が髪を回収して利用していただろう。


少なくとも魔術学院や王宮の書庫で学んだ範囲では、過去に出てきた色々狂った魔術師や錬金術師でも本気で人間の皮を魔道具の素材にしようとした人物は出てこなかった気がするので、考えてみたら人体ってイマイチ魔力の保持性が悪いのかも?


現時点で縫った範囲に魔力を込めても殆ど留まってないし。

・・・駄目じゃん。


「質量的にも皮と糸じゃあ何百倍も違いそうじゃない?

かと言って、火傷の治療じゃああるまいしお尻や背中の皮膚を切り取って使う訳にもいかないし。

やっぱり昨日話していた警報システムっぽいのでうっかりを防ぐしか無いんじゃ無い?」

碧が言った。


「考えてみたら火傷の患者が自分の皮膚を移植する為に別に所から剥ぐなんて、めっちゃ痛そうだね。

大体ああ言うのって薄皮一枚剥ぐ感じなんじゃないのかね?

それとも動物の皮みたいにガッツリ厚みがある皮を剥ぎ取るんかなぁ。

なんか考えるだけで寒気がしてきた」


まあ、人間の皮の剥ぎ取り詳細はともかく。

人間は魔術師でも退魔師でも死んだ時に魔石は出てこない。

魔物や幻獣だと魔石が残ることを考えると。人間の体って元々魔力が素通りして抜けやすい性質を持っているのかも知れない。


風鼬の素材を手放した悔しさから素材を自力でなんとか出来ないかと意地になって知恵を絞ってみたが、意味が無かったかな・・・。


「ちなみに血文字とかってホラー映画とか小説では偶に出てくるけど、そっちも駄目なの?

血を抜いて私が癒しで造血する方が毛でちまちま縫うより楽かもだよね?」

碧が提案してきた。


「血はドラゴンクラスなら薬とかにはなるけど、魔道具に使えるとは聞いたことはないねぇ。

第一、持ち運ぶポーチが血の臭いがするのは微妙だし。不衛生だよ。

しょうがない、探知と警報システムの方に注力するか」


半日無駄になってしまった。

ネットで買った防火スプレー、何かに使えるかなぁ?


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