表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/1360

合宿だ〜!:白龍さまの秘密?

『うむ、その通りじゃ。

昔は此方の世界にも魔素がそれなりにあったのじゃが、年月と共にどんどん薄くなってな。

幻想界との繋がりを持たぬ者は消えてしもうたわ』

碧に聞いたつもりだったのだが、白龍さまが答えてくれた。


なる程。

一体どれだけ熱烈な信者が集まったら一地方に住む氏子の信仰心で龍クラスの超常的な存在を維持できるのかちょっと不思議に思っていたのだが、幻想界との繋がりを維持しているならばそちらからエネルギーの補給が出来るのだろう。


「あれ、私たちの信仰心が養分になっているんじゃなかったの??」

碧が意外そうに白龍さまに尋ねた。

養分って・・・。


『お主らの信仰心のお陰で現世と幻想界との行き来が楽になるが、信仰心だけで大量の魔素を得られるのならばイエス・キリストとやらや預言者モハメッドとやらが信者の前に頻繁に顕現してそ奴らを救っておるじゃろうよ』

白龍さまがちょっと馬鹿にした様に尻尾をプルンと振った。


「ちなみに、イエスとかモハメッドは神族だったんですか?」

思わず興味を感じて、尋ねる。


『さあの。

この国には来なかったから何とも言えんな。

この世界の他の地に暮らす幻獣や氏神とは偶に幻想界で会うこともあるが、イエスやモハメッドと言う名の人型の神も、ヤハウェなりエホバとか言う名の神族も見たことはないぞ』

一神教の神が幻想界ではない世界にいるのか、単にあれらの宗教が思い込みの激しい預言者や信者によって立ち上げられ、救いと都合のいい自己正当化を求めた民衆と権力者によって広められたのかは不明だが、取り敢えず地球の一神教の神は白龍さまがアクセスできる時空にはいないらしい。


まあ、黒魔導師時代でもドラゴンの様な強力な幻獣はいたものの、神殿が信仰している神に会ったことがある人間の話は聞かなかった。

神界が存在してそこに人型の神が居るとしても、人間に対する興味はあまり無いのだろう。


ギリシャ神話なんかにはかなり俗っぽくお茶目な神族が多かった様だが・・・彼らは何処に行ったのだろう?


「ちなみに、幻想界って何?」

碧が手を上げて質問をしてきた。


「う〜ん、やたらとエネルギー濃度の濃い世界?

濃すぎて人間には存在すら出来ない時空で、幻獣とか神族とかが暮らしている世界と言うのが私の理解なんだけど」

黒魔導師時代には、授業で話好きで変わり者な幻獣から色々情報を集めた学者の話や理論を授業で習った。


学者に付き合ってくれた幻獣が、賢しいくせに弱い人間を揶揄うのが好きな法螺吹きや嘘つきでは無いという確証は無かったが・・・時代を超えて複数の幻獣から聞き取った記述を元に纏められた情報なので、ある程度正確である確率はそれなりに高いと思っている。


「そうなの?

そんな世界が白龍さまの故郷だとしたら、日本に居るのって怠くない?」

私の返事を聞いた碧が白龍さまの方を向く。


どうやら白龍さま昔の話はしても、他の世界の話はしていなかったようだ。

ちょっと意外。

私が幻想界の話を持ち出してしまって大丈夫だったのだろうか。

後でこっそり白龍さまに謝って、言及しない方が良い話題があるか確認しとくべきかも。


『戦うか子を成そうとするのでない限り、そこまで魔素は無くても構わん。

このサイズならばお主らからの信仰心で十分だし、手を貸した後には必要があれば幻想界に戻って補充しておるしな』

ふわんと白龍さまが波型に動きながら答えた。


「ちなみに、此方には何か理由があって来ていらっしゃるのですか?」

エネルギー濃度が足りない世界にわざわざ来る理由は何なのだろうか?


ラノベなどでは異世界の神がゲームや漫画を楽しむために地球を見に来るという設定は良くあるが、そう言うエンターテインメントが増えたのはごく最近だ。

平安時代とかそれより前からいるらしき白龍さまが此方に来た誘因では無いだろう。


『暇なのじゃよ。

幻想界の住民は死んだとしても数百年後には復活するから、基本的に顔ぶれが変わらん。

何万年も生きれば、あそこでやれる事は大抵経験してしまう。

暇でしょうがないから、此方の世界に来て人間の小さな悩みや喜びを観察しておるのじゃ』


ある意味、人間版アリの巣観察キットみたいな感じなのかな?

言葉が通じるだけ、アリの巣よりも面白いと思いたいところだね。


「ウチの神社で氏神さまをしているのも暇つぶし?」

碧が微妙に複雑そうな顔で尋ねた。


『大局的な意味では全てが暇つぶしじゃ。

もっと細かい話をするなら・・・お主の家系にはちょくちょくお主の様な面白い人間が生まれるのでな。

死に絶えないよう、手助けしておるんじゃ』

ついっと尻尾で碧の頬を撫でながら白龍さまが答えた。


これは・・・過去に、うっかり目を離した隙に気に入っていた家系に死に絶えられた事があるのかな?


昔ならばあっさり疫病や戦争で集落の一つや二つが全滅する事なんて幾らでもあっただろうから、懲りたんだろうなぁ。

今だったらそういう意味での全滅リスクは少ないだろうけど、代わりに少子高齢化で結婚できないリスクは高くなってきた。


これは白龍さまでもどうしようもないんじゃ無いかなぁ。

それとも氏神さまクラスになると、運命の赤い糸モドキな相性のいい人間同士の縁みたいのが見えたりするんだろうか?


もしも縁結び権能があるなら、今はいらないけど適当な時期になったら私の運命の人探しを碧のついでで良いから手伝ってくれると嬉しいな〜。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ