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テスト、ですか

「はぁ?

昇級テスト、ですか?」

碧が退魔協会からの職員の話の内容を聞き返す。


『ああ、そちらのチーム及び長谷川さんと藤山さん個人のランクをもうそろそろ上げても良いだろうと内部評価の結果で決まってね。

ある意味藤山さんにテストは全く必要ないとも言えるが、特例扱いするよりは全部一気にやってしまえば手間が省けるだろうと言う事で次の仕事をテストとしようと提案したい』


何やら電話をかけてきた退魔協会の比較的偉いらしき人の声が電話のスピーカーから流れてくる。


確かに碧に昇級テストは要らないよねぇ。

碧がいるチームもテストは要らなそう。

ぶっちゃけ、退魔協会にとって能力をテストして確認する必要があるのは私だけだよね。


多分折角の白龍さまが認めた碧のパートナーがうっかり死んだりしたら困るから、遅ればせながらも能力レベルを確認する為に頼んでもいない昇級テストを持ち出してきたんだろう。


まあランクが上がれば報酬額も上がるし、都合が悪ければ依頼を断って良いのに代わりはないらしいから、良いけど。


『どうする?』

碧が念話で尋ねてきた。


『報酬額が上がるんだし、ここで断ったら実力が足りないのに友情を悪用して碧に寄生する見習い扱いされそうだから、諦めて受けるよ』

あまり退魔協会の職員の前で力を使いたくないんだけどね。

普通に大規模案件みたいのでちょろっと見ている程度ではなく、テストとしてガッツリ注目されていたら力の使い方に違和感を抱かれそうでちょっと心配だが・・・何か聞かれたら、白龍さまにちょくちょく奥義っぽく力の使い方のコツを教わったと言う事にしよう。


碧と白龍さまの口止めもしておかないとね。

とは言え、どれだけ口止めしようと黒魔術の適性持ちである事はバレるだろうが。


元素系の力を使えず、碧の様に白魔術師での特効除霊も回復も出来ないとなったら、残るは黒魔術師か特殊魔術系となる。


こちらの世界では黒魔術師だったら速攻で拘束と隷属って訳ではないらしいし、そんなことをしそうになったら多分白龍さまが(激怒した碧に押されて)助けてくれるだろう。


こっちの世界で黒魔術の適性持ちの悪用方法がどの程度知られているのか、マジで知りたい。

多分白龍さまを警戒して問答無用の誘拐とか隷属魔術はないだろうけど、黒魔術師を見つけた相手の想定本気度が分からん。


しかも退魔協会って情報保持がガバガバな気がするからなぁ。

白龍さまの事を知らないか信じていない国に情報が漏れて攫われたりしたら嫌だなぁ。


黒魔術師の術ってそれこそ独裁者にとっては垂涎の能力だし。


取り敢えず普通な除霊以外はしない様に気をつけ、便利な黒魔術系の術は知らないと思わせる様頑張ろう。


元々、独学だったのを藤山家の親族とか白龍さまに色々教わっている最中と言う設定なのだ。

便利すぎる術に関しては『まだ教わっていません』とか『それの対抗術は教わりましたが術そのものは使うべからずと白龍さまから教わっています』とでも言えば良いだろう。


「分かりました。

ではテストは何時の何処になりますか?」

碧が退魔協会の職員に聞く。


『丁度北海道の方で良い感じな案件があるんだ。

それに行って欲しい』

職員の声が流れてくる。


「すいませんが今は大学で新学年が始まったばかりで色々ばたばたしているので、連休まで待ってもらえます?」

北海道じゃあ日帰りは無理だ。

向こうでの作業時間を考えたら1泊二日でギリギリ、折角行くんだから多少周囲を楽しもうと思ったら最低でも2泊三日かな?


それだけ長いならペット可なペンションにでも泊まりたいが、猫を連れての飛行機移動は厳しい。

そうだとしたら飛行機で飛ぶ北海道よりはもっとお手軽な本州の方が良さげだ。


『ああ。

慣れないドライバーにはちょっと危険かも知れない場所らしいんで、時間の節約も兼ねて旭川まで来てくれたら迎えとヘリを出すとの事だ』

ええ??

なんか随分と大事じゃない??

誰が依頼主なの??


アメリカならまだしも、日本だったら北海道でもヘリなんて普通の個人や企業でも持ってないよね??


「・・・天候のせいで足止めされたりすると困るので、別の案件でテストを出来ません?」

碧が聞き返す。


これって誰もやりたがらないからテストって名目で碧(と私)に押し付けようとしてない??


『いやぁ、2人の個人とチームを一気にテストするのに適した大掛かりな案件ってそうそう無くってねぇ。

申し訳ないが頼むよ』

向こうから白々しい返事が来た。


別に昇級なんて無理にしなくても良いんだけどなぁ。




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