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調味料

「酵母菌が上手くいったらピザもやってみようよ」

林檎を洗って切り刻んで瓶に入れながら碧が提案してくる。


「う〜ん、まあ試しにやってみても良いけど、それよりは先にトマトソースかな。

なんかペタンコなピザって難しそうだし、ふっくらした生地だったらピザパンでいい気がするし、メインはトマトソースとチーズじゃない?」

と言うか、何はともあれこの酵母が必須だよなぁ。


無かったらパン系は全滅な気がする。

ネットで調べてみても、ドライイーストか酵母菌を使わないパン系って基本的に重曹やベーキングパウダーが必要なレシピばかりだ。今ならスーパーに行けば良いけど例えば前世だったら重曹なんてどこで入手出来たのか、分からん。


掃除用の重曹と食用の重曹の違いも不明だし。

掃除用のから篩でゴミを退ければ良いの?それともなんか人の目では分からない様な不純物を除かないと危険なのかね?

つうか、百円ショップで買った掃除用重曹でもゴミっぽい物が混じっている様には見えないから、どうすればあれを食用に出来るか分からない。

そう考えると、来世でも食用重曹を自力でゲットするのは絶望的だよねぇ。


「じゃあ、トマトソースを作って昼はピザパンにでもしてみる?

そう言えば、考えてみたら凛の前世ではトマトってあったの?

地球でも南米が原産地で南米大陸が見つかるまではヨーロッパでも無かったらしいけど」

ふと碧が言った。


「・・・確かに、トマトって無かったかも?

あまり意識した事が無かった・・・!」

少なくとも寒村時代には無かった。


黒魔術師時代は学生の頃からずっと料理は『食堂で出される物』だったから、トマト料理があったか否かなんてあまり意識して無かったが、確かに食べていない気がする。

「あんまり生の植物をサラダとして食べる社会じゃ無かったし、シチューとかスープに何が入っていたかも意識してなかったわ」


うっわぁ〜。

これって今世で色々料理法を覚えても、来世で食材とかが全然違ったら一から味や食感を確認して試行錯誤しなきゃいけないって事?!


「まあ、色んな地域で色んな食材があるんだから、それこそ中世の地球に生まれていたって色々と食材が限られていただろうからねぇ。

移動が難しい世界だったら食材の種類が地域限定的になるのは当然だね、考えてみたら。

そうなると『自分が好きな物』じゃなくって、『各地の伝統料理でそれなりに口に合う物』を探してマスターしていくのが正解かも?」

碧が提案した。


「醤油や味噌が異世界な来世であるとは思えないんだけど・・・。

かと言って塩だけで作った日本料理ってかなり絶望的じゃない??」

地球の未来に転生するなら醤油や味噌がありそうだが、数百年後の地球に人類は生き残っているかはかなり怪しい気がするからなぁ。


日本そのものだって平地のかなりの部分が温暖化で海水面が上がって水没してそうだし。

もしかしたら数百年後だったら人類の大部分はどっかの宇宙コロニーに住んでいるかも?

宇宙空間に魔素があるのかとか、悪霊がいるのかとか、ちょっと興味がある。

白龍さまもどうなってるかなぁ。

地理的にはあの諏訪神社も聖域も水没していないだろうけど、数百年先に藤山家の子孫があの地域に暮らせているか、不明だよねぇ。

まあ、数百年前から住んでるんだから数百年後も住んでるかもだけど。


ディストピアじゃない未来の地球に転生したら、また日本に来て諏訪湖のそばを歩き回ってみたいな。


白龍さまが聖域で昼寝しているかもだし。


考えてみたら、地球の人類が滅亡しなかったら次に地球に転生した時はSFな世界になっているんだろうなぁ。

今までSFっぽい世界に転生しなかったのって、宇宙に出られるほど文明を進められるだけ向上心と競争心のある知的生命体は自滅率が高いからなのか、それとも単なる偶然なのか・・・ちょっと気になる。


まあ、そのうち分かるだろう。


地球から発展した世界じゃない、完全な別世界だった場合は別の転生者が醤油や味噌を開発してくれている可能性も低そう。

今までの生でも稀人《異世界人》や転生者や前世を覚えている人の話なんて聞いたことはない。

地球の日本以外で醤油や味噌が使われていなかった事を考えるとかなり難しそう。

・・・それとも中華料理って醤油系の調味料とかあったのかな?

米の生産地だったら麹から味噌や醤油が偶然が重なって自然発生する可能性もゼロでは無いのだろうか?


今度、中国や韓国の伝統的な調味料について少し調べてみよう。

ベトナム料理のフォーとかも米ベースらしいから、米の生産地って括りだったらアジア全域の調味料と調理方法を研究すべきかも。

エスニック料理系はかなり癖が強いから、気にならない調理方法を探しておくのは重要そうだ。

もっとも15歳まで前世の記憶無しに育つんだから、覚醒した時点で普通に現地料理に慣れている可能性も高いけど。


「取り敢えず。

幸いトマトがあるし、トマトソースを試してみない?

確かに塩だけの和食は私も食べたく無いや」

碧が冷蔵庫を開けながら提案した。


「だね!

まずは皮を剥くためにお湯を沸かすか」

ネットで材料も調べないと。

トマトと塩胡椒のほかに、何がいるんだ?


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