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ヤバい情報?

と言う事で、慰霊碑の除霊へ。

だがその前に。

「コムギ君は元気にしていますか?」

ついでなのでそっちからも情報収集しよう。


「はい!

治していただいて本当にありがとうございました。

ここのところ忙しくて散歩にも碌に行けず、庭で走り回させている事が多かったのですが・・・多分そのせいで不調が起きたんでしょうね。

取り敢えず、ちょっと挨拶に連れてきますね」

嬉しそうに山崎さんが応じて部屋から出て行った。


こんな豪邸のお嬢様だったら執事なり家政婦さんなりに命じて連れてくるかと思ったけど・・・犬関連は使用人の職務外なのかね?


『コムギ君がきたら、庭で何か食べたか、変なモノの側で寝たとかしたのか聞いてみて』

クルミにお願いする。

霊を相手にした場合程では無いけど、生きている動物相手でもクルミでそれなりに意思疎通が出来るから、何か分かると期待したい。


『了解にゃ』


「コムギちゃん、こないだお世話になったお二人よ〜」

嬉しげに犬を抱っこして山崎さんが現れた。


犬は歩かせた方が良いんじゃない?

あまり甘やかして抱っこ癖をつけない方がいい気がするし、運動不足は良くないぞ〜。


まあ、先日までぐったりしていたからその時の習慣が残っているのかもだけど。

そんな事を考えていたらコムギ君が山崎さんの腕の中から飛び出して、尻尾を振りながらこちらに走り寄ってきた。


「元気そうね〜。

お久しぶり」

しゃがんでバッグから外したクルミをオモチャの様に振ってコムギ君の注意を引きながら話しかける。


『こりゃ、噛まなくて良いから!』

じゃれついてきたコムギ君にクルミが抗議の声を上げる。

ちょっとびっくりしたのか、コムギ君が足を止める。


動物でも霊感に違いがあるのか使い魔で話しかけた際の反応度に違いがあるのだが、コムギ君はしっかりクルミの声が聞こえているようだ。


わしゃわしゃと私と碧がコムギ君を撫で回している間に話が聞けたのか、やがてクルミが報告してきた。

『どうも、庭で虫の死骸を食べてから具合が悪くなったみたいにゃ』


なるほど。

犬って庭に放すとバッタとか蝉とかを食べるのかぁ〜。

考えてみたら源之助だって虫を見たら襲い掛かるけど・・・もしかして、止めなければアレを食べるの??

Gは家の中には居ないが・・・ベランダとかで風に飛ばされて入ってきて結界に当たって死ぬ様なのが居たとしても、源之助が食べたりしない様に気をつけないと!

ベランダには元々源之助を出す習慣は無いが、うっかり植木の水やりなんかの時に一緒に出てこない様に更にしっかり注意を払わねば。


『どうも庭で虫を食べたせいで瘴気を吸収しちゃったみたい』

碧に念話で伝える。


『なるほど。

そうなるとマジで男性家族しか狙って無い感じだね』

山崎さんについていた瘴気もコムギ君から付いたのと、庭に出た際に付着した程度だった様だ。


コムギ君が具合が悪くなってから外に連れて行かないで庭で散歩を済ます様にしたせいで余計にどちらも瘴気を吸収しちゃったのかも。


「では、除霊に行ってきますね。

慰霊碑の場所を教えて下さい」


「ご案内しますね」

さっと山崎さんが立ち上がる。

フットワークが軽いねぇ。


正面の横から進むと裏に大きな庭があり、後ろの右側に林っぽい木の纏まりが見える。

「あの林のところにあります」

山崎さんがそちらを指しながら言った。


「ありがとうございます。

では、終わったら玄関に行きますので」

側に立って見物されても困る。


「そうですか?

立ち合いした方が宜しければ待っていますが」

山崎さんが立ち去るのを躊躇して聞いてくる。


「いえ、もしもの時に無防備な方が側にいる方が問題が起きやすいので」

邪魔です。

とは言えずにそれとなく断る。


「分かりました。

ではお願い致します」

流石に『無防備』と言われたら反論出来なかったのか、山崎さんが諦めて家に戻っていった。


「やっぱり殺されても自分の娘を嫁に迎えたから、娘は許したのかね?

姪と結婚なんて気持ち悪いと思ったけど」

碧が林に向かいながらコメントした。


「娘でも息子でも同じだけ血を引いているんだから、先祖の悪業のせいで祟られたらどちらにせよ可哀想な気がするけどねぇ。

私としては、忘れ去られていても大丈夫だった慰霊碑なのに壊した途端に祟りまくりって不思議〜」

慰霊碑ってそれなりに祀らないと霊が怒りを溜めてくる事が多い様なんだが。


しっかし。

今だったら(昔もだけど)トランスジェンダーな人やゲイな人だっているのだ。

X染色体があるから祟らないなんて、差別じゃん。


まあ、祟っているのが大昔の男女差別アリまくりな時代の霊だからそんなものなのだろうだけど。


「ちょっと情報収集してみるね」

3分の1ぐらい割れて横に破片が置いてある慰霊碑に手を当てて、霊の存在に集中する。


『呪ってやる・・・』

ブツブツと呟く様な感じで悪霊の念が聞こえてくる。

おや。

意外と静かな感じだね。

もっと荒れ狂ってるかと思ったんだが。


流石に江戸時代からじゃあもうあまりエネルギーが残ってないのかな?


「一気に2人も殺したんだから、十分じゃない?

もう何百年も経って遺伝子的にも貴方を殺した弟とほぼ赤の他人でしょうに」

世代毎に遺伝子の半分は赤の他人になるのだ。

今では近所の知り合いとほぼ差がないレベルだろうに。


『娘を大切にして、我らをしっかり祀ると約束したから眠りについたのだ。

なのに存在すら忘れて慰霊碑を割るなど!!

許さん!』

ぶわっと悪霊の怒りが盛り返してきた。


寝てたのか。

忘れ去られるぐらい平和に寝ていたんだから、そのまま寝てれば良かったのに。

まあ、碧がこれから除霊するから嫌でも昇天する事になるけど。


「色々この国も大変だったんだよ。

残った娘さんがこれからは真面目に祀ってくれるだろうから安心して昇天して?」

そのうちこの土地だって売る必要が出てくるだろうから家の中で祀る事になるだろうけど。

こんだけ大きな土地付きの豪邸をキープしてきたんだからこの一族は代々遣り手だったみたいだけど、一気に当主と跡取り息子が居なくなったらこれからは大変だろう。

相続税対策をする暇も無かった可能性が高いし。


寝たきりの息子はこちらを除霊したら回復するんかね?

物理的に怪我が原因で寝たきりになったのだったら山崎さんもこれから大変そうだ。


『もう直ぐ一族の最後の人間もこのまま目覚める事なく死ぬ。

ザマアミロ』

暗い悦びが滲んだ念が悪霊から流れてきた。


あれ?

最後の『人間』?

『男』でなく??

山崎さんが数に入ってない?

・・・もしかして、山崎さんって連れ子??

じゃなきゃ浮気して出来た子だったり???


しかも娘の血筋でもあることより復讐優先かぁ。


・・・何も聞かなかったことにして、さっさと碧に除霊して貰おう。

金持ちの遺産相続争いなんぞに関わる気はないぞ。




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