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どうやって誘導する?

だだだだだ!

どたん!


チュー助の後を源之助が追いかけ、物凄い勢いでソファを踏み台に飛び上がる。

飛び上がってもソファの横の隙間に入っちゃったチュー助は捕まえられないんだけどね。

最初は念動ジャンプを試していたチュー助だが、素のままな源之助のジャンプ力に高さも勢いも負ける事が発覚し、今では念動による浮遊は源之助が昼寝している時の散歩程度にしか使わない。

追いかけっこでは、源之助が入れない狭い隙間をもっぱら活用している。


最近はチュー助の逃げ切り率も中々悪く無く、3回に1回ぐらいしか捕まっていない。

痛く無いせいで捕まってもあまりストレスになっていないらしいし。

麻紐と綿(多分)で出来た体だから噛まれても特に壊れる感覚がないのも良いらしい。

一度、噛まれた時の感覚の確認って事でもっと硬くて割れる躯体に移して実験してみたら、ガッチリ源之助に噛まれてバキっとヒビが入った時はなんかちょっと痛い・・・ような気がすると言っていたので、麻紐の躯体は正解だったらしい。


「頑張れ〜」

ひょいっとソファの裏を回って左側から顔を出したチュー助を応援する。


チュー助がそっと静かにリビングを横切るが、麻紐がフローリングを擦る微かな音に気が付いたのか、ばっと源之助が飛び掛かり・・・また追いかけっこが始まる。


だだだだだ!

「夜はチュー助に引き出しの中にでも入ってて貰う?

こんな感じで走り回られると下の人に迷惑かも」

寝室のドアを閉めておけば私にはそれ程被害はないが、軽い猫の体重とはいえあれ程勢いをつけて走り回ったりジャンプしていたら下まで響いているんじゃないかな?


一応猫って夜行性な筈(その割に源之助って夜にもよく寝てるけど)だから夜中に走り回ったら苦情が来そうだ。


「そうだねぇ。

良い感じに脇が引き締まってきた感じだから、このまま続けられるように苦情回避策は講じておかないとね」

碧が頷いた。


「脇が締まったって・・・体重は?」

筋肉の方が脂肪より重いとは言え、流石に脂肪がぐっと減ったら筋肉がある程度増えても体重は減るよね?


「微妙に減ったけど、元が軽いから。0.1キロ単位の変動だと誤差なのか痩せたのか、不明なんだよねぇ。

人間用の体脂肪計だと猫の体脂肪率なんて測れないだろうし」

なるほど。

人間だったら体脂肪計で脂肪分が減れば体重があまり変わってなくても新陳代謝が上がったと喜べるが、人間用の体脂肪計に猫を乗せても上手く機能しなさそう。

何とか源之助を説得して動かないようにさせても、体脂肪率の計測データが人間と違い過ぎて意味をなさないだろう。

つうか、体脂肪計って両足を少し広げて足をしっかり金属部分に触れさせなきゃいけないから、猫の体型じゃあ無理かな?


碧が源之助を抱いて体脂肪率を測っても微妙な気がするし。


「なかなか難しいねぇ。

でもまあ、脇が締まって脂肪が減ったなら成功って事でいいんじゃない?

そう言えば、明日は何時から?」

明日はまたペット専門カリスマ(笑)祈祷の日だ。

ちょっと新学年の授業の登録や瘴気騒動やらでバタバタしていたのだが、やっと落ち着いてきたので予約受付を再開したのだ。


「明日は午後に4組入っているから昼食後すぐって感じかな?」

碧がタブレットのスケジュールアプリを見ながら答える。


「ちなみに退魔協会関連っぽい人はいる?」

うっかり退魔協会の関係者に意識誘導の術を掛けているのがバレないよう、ちゃんと今ではその点だけは予約を入れる際に確認するようにしている。


「今回は青木さん経由が3組と・・・黒崎さんから紹介された以前の依頼者からの紹介だね。

退魔協会では働いていないようよ」

退魔協会で働いていない見習いと言うケースもありうるんだけど、願わくは未熟な見習いだったらそっとかけた意識誘導の術には気付かないと期待しておこう。

青木氏に紹介だったら身元確認は問題ないと思うけど、紹介の紹介となるとね〜。

情報はかなり不確実になる。


しかも、前世と違ってこっちでは見習いからの卒業が熟練度だけじゃなくって師匠側の節税計画タックスプラニングに依存するから、見習いなら絶対安心って訳じゃあないんだよねぇ。


まあ、何とかなると期待しておこう。


◆◆◆◆


青木氏からの紹介者は誰1人意識誘導に気付く様子もなく、元気になったペットを抱いて問題なく嬉しげに帰って行った。

どの患者も完治が露骨に有り得ない様なケースでは無かったし。


そして。

最後の1人も、明らかに退魔師ではない様だ。


4時ちょっと前に現れた依頼者と抱っこされてきたテリアっぽい犬を見て、碧の顔がちょっと引き攣る。


凄いねぇ。

こないだのサークルで見かけたら瘴気塗れな連中よりも更に酷い。

見習いだとしても、これだけ瘴気が憑いているのに気づかないのは本人も師匠も退魔師失格だろう。

ワンちゃんの病気も瘴気が原因でしょ??


う〜ん、これって退魔協会に調査依頼を出して除霊か穢れ祓いを頼むべきだと思うけど、退魔師の事を知っている人なんだろうか?


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