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扱い

「さて、どこで鼠を捕まえるかねぇ」

デザートもしっかり食べ終わり、お茶を淹れながらちょっと考える。


「スーパーの倉庫とか?

それなりに殺されてそうじゃない?」

碧が言う。


「確かに、Gと同じで果てしなき繁殖と根絶の争いが続いてそうだよね。

でもまあ、出来れば人間を完全に敵だと思っていない相手の方が良いかなぁ」

元々、鼠ほど小さいとあまり霊として残りにくい。

しかも比較的早く死んでいると益々自我が薄くて残らない。


人間に見つかったら即、死!という生き方をしてきた鼠の霊を無理にクルミに捕まえさせると上手く使い魔にする交渉が終わる前に霊が摩耗して消えてしまう可能性もある。


「ドブネズミとかはちょっと嫌だよ?」

碧が渋い顔をして口を挟んだ。


「霊になれば菌はついてないよ?」

ゾンビだったら別だが、今回は完全に霊だけになっているのを捕まえて猫用オモチャの鼠に憑けるのだから清潔だ。


定期的に洗濯機に放り込んで丸洗いしても良いし。

と言うか、ソファの下とか冷蔵庫の後ろとか、狭くて掃除が出来ていない場所もガンガン走り回りそうだから定期的に洗濯機に投げ込む方が良いな。

鼠霊ほんにんにとってはショックかも知れないが、害は無い。


・・・最初にオモチャが入れて掃除できないところを徹底的に入って貰って掃除を頼むのも良いかも?

クイックルワイパーのシートでも腹部分に巻いておいたら更に良いかも。

鼠のおもちゃも複数準備しておいて汚れが酷くなったら次のに乗り換える形にして、最後に綺麗なのに移して使用済みのを洗濯機に放り込んで後でまた再利用したら霊もトラウマにならずにちょうど良いだろう。


「考えてみたら・・・ひたすら猫に追いかけられる為の存在になるのって可哀想じゃない?」

碧がふと躊躇してきた。


「まあ、昔源之助のオモチャ作ろうとした時はそんな事も思ったけど・・・考えてみたら、野鼠だって猫やカラスに見つかったら餌扱いで殺されるのには変わらないんだから、生きていた頃と大して違いは無いんじゃないかな。

却ってここだったら猫が通れない狭いところが多いし、お腹は空かないし、痛覚もないしで悪くないんじゃない?

魔力を多めにあげておけばちょっとは念力で飛んで逃げられるし」

クルミの動きを見るに、あまり素早く動ける訳でもないので魔力の使い所は工夫が必要だが、そこら辺は多めに魔力を与えて少し知性を引き上げ、クルミに教育させるかな。


「・・・そんなもんかな?」

碧が迷いながら聞く。


「多分ね。

あんまりにもストレス過多で直ぐに摩耗して消える様だったら諦めて、なんかそれっぽく動くようプログラムされたオモチャを買ってみよう」

モーター音をたてて人間の組み込んだプログラムに従って機械的に動くオモチャより、本物の鼠の思考で動くオモチャの方が絶対に猫の本能をくすぐると思うけどね。


「そうだねぇ。

って言うか、クルミに追いかけっこ用の大きな縫いぐるみを提供して遊んで貰うのはどう?」

ふと、碧が提案する。


「私が外に出る時はクルミを連れて行っているし、帰宅してても色々と頼み事して居ない事も多いからねぇ。

源之助の消費カロリーアップには向かないんじゃない?」

どうせ碧が家にいる間はそれなりに源之助と遊んでるんだし。


「まあ、それに源之助も同じサイズのぬいぐるみよりも小さいオモチャの方が獲物として追いかけたがるかな?」

碧が源之助を撫でながら言う。


大人になってきて源之助もブラッシングさせてくれる様になったのだが、何故かブラッシングしているとクネクネ体を動かして最終的には移動しちゃうんだよねぇ。

気持ち良さそうに見える表情や動きが多いのに、何故じっとブラッシングさせ続けてくれないのか、不明だ。


なので大人しく一緒に過ごしたい時は撫でる方が良い。

撫でる分にはあまりそのまま動かずに、ゴロゴロと喉を鳴らしてくれることが多いんだよね。

まあ、執拗にやっているとパシっと叩かれる事もあるが。


そこら辺は碧も大分と見極めが上手くなってきたし、源之助も贔屓が入るのか私より上手くやっている。


まあ、『お母さん』だもんねぇ。それとも『お姉さん』だったっけ?

私は餌を強請り取る親戚のおばさんか・・・召使い扱いだな。

朝の行動を鑑みるに、召使いか奴隷として認識されている気がする。


こう、『ご飯ちょうだい、凛ちゃん(奴隷)』って感じな、扱い。

可愛らしく擦り寄るけど、扱いは実は奴隷。


まあ、良いんだけどね。


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