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認識障害の術

(辛い〜!!)

ラノベ好きはそこそこ数が多いらしく、転生に備えた研究をするサークルに対する興味もそれなりにあるのか、今年も新入生をそこそこ呼び込めた。


去年の事件もなまじ大事になったし性的な側面もあったせいで実名報道もされなかったし、新入生には知られていなかったのかも知れない。


で。

歓迎会である。

いつの間にか正式にサークルから脱会していた碧は来ていないが、私は一応参加した。

瘴気源を探す為に手伝っていたとは言え、私が勧誘した新入生もいるからね。

流石に顔を出さないのは微妙だと思ったのだ。


今後に関してはグループチャットで面白そうな事をするって書いてない限り出てこないつもりだが。

新しい人が入る事で去年思い付かなかった新しい修行モドキが提案される可能性はあるから、役に立ちそうだったら参加するのも吝かではない。

何と言っても私はまた転生する可能性が高いからね。


いくら魔術技能付きで一般より恵まれた状態でのスタートの可能性が高いとは言え、魔術を学べる環境に居なかった人間が熟練の技能を持っていたら怪しまれるし、場合によっては魔術は特権階級の技術として何らかのギルドにでも入っていないと使う事自体が違法な可能性もある。


どうしようもない状況だったら黒魔術の意識操作を活用させて貰うつもりだが、変な事をして足がつくよりは出来ればちょっとした便利グッズとかで小金を稼いで生活基盤を築き上げて目立たぬ様に金を稼いでいきたい。


それはさておき。

歓迎会の幹事が『安いのにマジで本格的!!』と絶賛した店はタイ料理店だった。

異国風味満載なオンボロ感が本格さなのかも知れないが・・・やたらと料理にスパイスが効いている。

料理によっては美味しく感じるのでスパイシーなのも平気な人には美味しいのかもだし、周りの人間にはそれなりに好評なのだが・・・私には辛すぎる。


前世の料理はエスニック料理系と言うよりはフランス料理系に近かったので、私の味覚は子供の頃からの和食、なんちゃって洋食っぽいの、及びフランス料理っぽいちょっと複雑で繊細な味に適正化してるのだ。


スパイシーは苦手である事が今日になって判明した。

今まであまり辛そうな店に行ってなかったのってそう言うのを無意識に察していたからかも。


とは言え、流石に何も食べない訳にはいかないんだよねぇ。

どうしよう・・・。


新入生に話しつつ、進められるお皿から味がまろやか系そうなのを選んでお皿に取る。

赤いのは避けてるんだけど、タイ料理って緑のハーブっぽいのでも辛いのがあるから色だけで判断出来ないんだよねぇ。


ううむ。

それなりに辛いのが苦手な人間もいるのか、もしくは腹ペコ人員が多いのか、比較的安全なガパオ系のお皿は既に全部空だ。


(そうだ!)

ちびちびと取り皿の食事を食べつつ悩んでいたら、良いアイディアを思いついた。

認識障害の術の亜流で味を変えるモノがあるのだ。


前世は魔物の脅威や他国の戦争がそれなりにあり、貴族や王族が魔術師として戦場に立つのは当然の義務だった。

まあ、そうは言っても危険な前線には基本的に下位貴族か、大きな魔力を買われて高位貴族に養子入りした人間が行っていたけど。


それはさておき、名目上は戦場への呼び出しがいつあってもおかしく無い社会だったので肥満は貴族として恥と見做されていた。

ある程度歳がいって統治者として働くようになると太ってても『貫禄がある』と言い抜けられたが、少なくとも20代半ばまでは自力で馬に乗って移動できる程度の体重に抑えないと馬鹿にされた。


なので王族であろうと子供は好きなだけ甘いものを食べられる訳では無かったので・・・ある時、色々と無茶振りされた黒魔術師が野菜をケーキの味に誤認させる術を編み出したのだ。


元々は野菜をカロリー値を変えずにケーキの味にしろと言う命令だったのだが、『ケーキ味に感じられればいいよね?!』と言う開き直りで認識障害の術を捻って子供の我儘に対応したのだ。


これは非常に人気で、それ以来王宮に勤める黒魔術師が覚える必須な術の一つとなった。

寒村時代には食べ物がない時にエグ味が強い草の根をもう少し食べやすい野菜味に変えたりするのにこっそり使ったこともあったが、今世ではそこまで食べ物に困った事がなかったので忘れていた。


よっし!

ブレスレットに術を付与して、辛いのに当たったら全部こっちの無難なスープ味で上書きだ!!


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