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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
医療行為の要請

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おしゃべりな殺人鬼

『もう少しこっち〜』

渡部さんがのんびりと指示するのを受けて、地図の上に方向を示す線を鉛筆で書き込む。


以前呪師探しに使った手法と同じ、2ヶ所から計測する三角測距の方法を活用して大雑把な場所を調べて高速道路で2つ前の山(多分)ぐらいまで来たのだが、大分と目的地に近づいたのでもう一度測定する為にサービスエリアに入って地図で方向を確認しているのだ。


ランチを食べたら少し方向をずらして進み、もう一度計測する予定。


「なんか都心から2時間程度でこんなに辺鄙な所になるんだねぇ。

こっちの方に来たのは初めてだったけど、意外だわ」

森と野原が混在している様な周囲の土地を見回しながら碧が呟く。


「だねぇ。

もっと、日本の土地って全部山か、畑か住宅地かだと思っていた。

耕作放棄が増えている問題は新聞でも読んだ事があったけど、中途半端に使っていない土地がこんなに都心の近くにあるとはねぇ」

地図を仕舞い、レンタカーを降りながら周りを見回す。


流通の良さとか天候とか、下手したら地元の農協の頭の固さ具合とかで耕作放棄の度合いって変わるのかな?


意外と農協って必ずしも農家の味方じゃない場合もあるらしいからねぇ。

まあ、一部の農家には確実に味方しているが、全ての農家の意見や利害が一致する訳ではないので、弾かれる農家は『やってられっか』と農業を捨てるのかな?


新聞で関税撤廃の話し合いなんかがあるとやたらと農業への補填とか支援が多い様に思うけど、使えそうに見える土地がこうも放棄されているのを見ると、普通に会社で働くのと違って中々農業って難しいのかなぁ・・・と思えてくる。


もっと大々的に企業レベルで効率的に出来る様に色々規制を取っ払えば良いのにね。

まあ、そうすると個人でやっている謂わば零細企業レベルな農家が立ち行かなくなるから街の商店街を大手ショッピングモールから守る様な感じで規制してるのかね?


農業を規模の経済性に任せて淘汰させちゃうと、それこそ経済性の問題で輸入品とかに負けて企業が撤退しちゃった時に国の自給率が下がりすぎるから、そう簡単に農地を手放さない個人を守っているのかも?

だがそのせいでいつまでも非効率で儲からない農家ばかりが残って、結局世代交代時にバンバン農業を放棄する様になるんじゃあ意味がない。


もう少し真剣に政府が革新的な対応策を考えてくれないと、日本の未来も暗そうだ。


それはさておき。

渡部さんの指示で探し当てた耕作放棄地は、何やら小さな倉庫っぽい建物が残っている山に囲まれた狭い平地だった。

ちょっと山の尾根が伸びている感じで、すぐそばに来ないと平地があるのすら分からない場所だ。ある意味秘密基地に良さそうな場所かな?


舗装された道はこの少し先で行き止まりのようだし、ほかに人が来る確率もあまりない場所なんだろうなぁ。

「なんか、土地が耕されててこれから何か作物を植えますって感じに見えるけど・・・あれって下に死体が埋まっているの?」

碧が微妙そうな顔で耕されたっぽい土地を見る。


『そ〜。

一度耕作放棄されちゃった土地って再開するにも土をしっかり掘り返さないといけないらしくて、それ用の耕運機を農協から安く買えるんだって』

渡部さんが教えてくれた。


「・・・もしかして、殺人犯の水野って死体を埋めながら色々と話しまくるタイプ?」

人を殺す前に色々とバラして遅れてやってきた警察とか探偵に色々聞かれて逮捕されるアホな犯人役って有り得ないだろうと思っていたけど、退魔師が関わってくると安全牌な筈の死体相手の語りも実は危険なんだよね〜。


まあ、退魔師が『被害者の死霊から聞きました』って言うだけの証言じゃあ裁判所には認められないけど。


『そう〜。

今まで会っていた時は明るくて話しやすい女性だと思っていたんだけど、実は彼女って話すのを止められないタイプなのかも?

人前では余計な事は言わなかったけど、私の首を絞めてからは殆どノンストップで話し続けてて、聞いている方が疲れちゃった』

渡部さんがため息を吐きながら応じた。

おいおい。

殺された時の話よりも辟易としている感じだぞ。


「ちなみに、なんだって人を殺しまくっているのかは言ってた?」

碧が尋ねる。


『教授に凄く執着していて、近づく人間は全て許し難いみたい?

それでも役に立って忠誠を尽くしているなら何とか許容してやっているのに、ちょっと良いポジションの話を持ちかけたらあっさり靡くようなのは生きている資格は無いって』

ええ??

教授ってあの顕微鏡を覗いていた白髪のボサボサ頭だよね?


「水野って何歳ぐらいなの?」

思わず尋ねる。

何とは無しに話の印象で渡部さんと同年代と思っていたんだけど、もしかしてあの教授の年代だったの??

転職エージェントなんて基本的に若い人間がやる仕事だと思っていたけど、違った?


『30代前半じゃないかなぁ?

ジジ専みたいね、彼女』

あっさり渡部さんが答えた。


・・・まあ、精神異常者の論理は普通の人には分からないもんだよね。


「取り敢えず、ここに死体があるのは確認できたから、田端氏に電話しようか」

かなりの数の死体が埋められているから、まずはここを掘って捜査を始めればいいんじゃないかな?


・・・退魔師の証言だけで私有地の掘り返しって許されるんだっけ?

それとも野生の動物にでも荒らされて死体の一部が出てきていましたって様子にした方がいいんだろうか?


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― 新着の感想 ―
[一言] ヤンデレかぁ。 いや、ヤンデレか? 逮捕しようとしたら、Niceboatするかもしれないな。
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