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調べてもらおう

『取り敢えず、ヤバい人ならそっちを見ない方が良いんじゃない?

防犯カメラとかあるだろうから、コインランドリーの中で突然襲ってくることはないでしょ』

半ばパニックになって入口の方を向いてフリーズしていた私に碧が忠告してきた。


確かに。

目を付けられなければ相手が何であろうと狙われないだろうし、ここで見境もなく襲ってくる様な人間だったらさっさと昏倒させるか・・・殺されるかの二択しかない。


下手に目を付けられる様な行動をしないのが正解だろう。

ここを出た後、暫く隠蔽型クルミにあの男を見張らせるけど。


「コインランドリーってこんな感じなのねぇ。

鍵が掛からないから、洗濯が終わった段階で取りに来てない場合は下着も含めて服を盗まれても自業自得なのかな?」

碧が周りを見回しながら微妙なコメントをする。


「・・・下着泥棒を心配する人はコインランドリーで下着の洗濯はしないのかも?

若しくは洗濯が終わるまでその場から離れず見張っているか。

盗まれたら自己責任ってあちこちに貼ってあるしね」

さらっと見回しただけでも狭い店内に4枚は『洗濯に持ってきた衣類、その他の所持物が盗まれても自己責任です!店は責任を負いません!』と言った旨の注意書きが貼ってある。


それだけ盗難が多いんかね??


まあ、ちょっと薄暗いし狭いしで中で座って待ちたい店じゃあ無いから、洗濯が終わるのを待つ間は外に行っちゃう人も多いんだろうなぁ。

日本でそれほど服を盗む人が多いのかって言う点には疑問を感じるけど、盗める状態の物を放置していて持ち去られて店に責任を問われても困ると言うのは分かる。


取り敢えず。

私一人だったら服が盗まれるリスクを容認してさっさと避難していたと思うが、碧も居る事だしそのままスツールに座って待つ。

ナイフで襲ってきても、私が体で刃を止めて昏倒させれば碧が治してくれるからね。

碧が携帯を取り出したので自分も取り出し、調べ物をしている振りをしつつ魔力視を集中させてヤバい男の方を観察する。


う〜ん、死がやたらと染み付いているけど、穢れや恨みはあまりないなぁ。

穢れならまだしも、穢れ未満の恨みって却って落としにくいから黒魔術師でも大量殺人を犯していたらそれがこびり着いている筈なんだけど。


だとしたら・・・腕が悪くて大量に患者を死なせている外科医??

医者って雰囲気ではないんだけど。

第一日本だったらそんなポンコツ、直ぐに部署移動になりそう。

もしかして、それこそ紛争地域でボランティアしている『国境のない医師団』とかの人間かね?

紛争地域だったら大量に人が死んでいても不思議は無いが・・・まあ、紛争地域なんてトンデモな条件を含むなら傭兵とかもあるかね?


今時の傭兵が人を大量に殺しているのかは知らないが。

兵士同士の殺し合いなら恨みや穢れは付かないが、一般市民とかを虐殺すると一気にどちらにも塗れる事を考えると、人が沢山死ぬ所に行くような傭兵でも条件に合わなそうだが。


取り敢えず。

良く観察してみたら、私らみたいな一般市民は殺さないタイプな可能性が高そう?

疲れてはいるみたいだけどそれ程ストレスが溜まっている様でもないから突然キレて周りを襲い掛かる事も多分無いだろうし。


「あ〜、やっぱりここってお洒落じゃない分、安いみたい?

『お洒落 コインランドリー』で検索して出てくる場所と値段がそれなりに違うわ」

碧が携帯から目を上げて教えてくれた。

そんな事を調べていたんか。


「ある意味当然だよね。

利用者だって値段が同じだったらお洒落で綺麗な所に行きたくなるだろうし。

まあ、洗濯機が早く修理される事を期待しよう。

でも考えてみたら、大きな洗濯機がある所だったら布団とかを丸洗いするのに使ってみても良いかも?」

今までは実家で母親が布団をしまっていたからなぁ。

しまう前にどうすれば良いのか、微妙に不明だ。

洗濯すべきなのかね?


「布団は大きいから持ち運びが大変だよ。

ダニを殺すなら洗濯よりも布団乾燥機でガッツリ熱するのが正解らしいから、ガッツリ熱してから外で干して少し叩いて埃を払えば良いんじゃない?」

碧が提案する。


「・・・布団乾燥機なんてあったっけ?」

マンションの中って24時間換気のせいか冬はかなり乾燥しているから、布団乾燥機なんて使おうと思った事もないんだけど。


「レンタルできないか、調べてみよう」

碧が提案する。


「だねぇ。

お、乾燥も終わったし、帰れそうだね」

量が多くなかったお陰か、意外と早く終わった。

コインランドリーの機械の方が家のよりパワフルで早いのかな?

まあ、家で洗濯する時にどの程度時間が掛かっているかなんて意識していないから、家のも実はそれ程長くないのかもだけど。


洗濯物を回収し、さあ帰ろうと言うところで碧が徐に携帯を壁に向けて写真を撮る。

「一応値段の記録を撮っておこう。

これで次にコインランドリーを探す時に参考になるし」

『あのヤバいって言う男の写真も撮れたから、後で田端氏に一応確認しておこう』

碧が念話で提案してくる。

おお〜。

カメラを自撮りモードにしたのか。

あれだったらこっそり撮ってもバレなそう。


確かに、穢れや恨みが付いてなくても違法に人を殺している可能性はあるよね。

少なくとも近所に住んでいるらしき人間が要注意人物では無い事は確認しておいて損は無い。


『クルミ、隠蔽型の方であの男をそれなりに距離をとって監視しておいて。

穢れや悪霊に憑かれている人に会っていたり、ウチらのマンションの方に近づいてきたりしたら即座に教えて』

何が原因であれほど死が染み込んでいるのか分かればまだ安心出来るんだけどねぇ。


『了解にゃ!』


田端氏から何か安心できる情報が入ることを期待しよう。



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