ヤバい??
「あれ?」
リビングでお守りを作っていたら洗濯機から音がしたので洗面所に行ったら・・・変な感じにディスプレイが光っていた。
「E6??」
普段だったら起動中は洗濯・濯ぎ・脱水のどれかの文字が光っていて残りの時間がディスプレイに表示されているか、終わっていたら全部の電気が消えている。
が。
今回は不吉な感じに見慣れない文字がディスプレイ上で点滅していた。
中を覗くとまだ洗濯物に泡が付いたままだ。
「マジか〜」
横に棚に置いてある使用説明書を手に取り、エラーメッセージのページを探す。
「どうしたの?」
碧が後ろから覗き込んできた。
「洗濯機が故障したっぽい」
使用説明書には電源を消して付け直しても上手くいかなかったら修理用の電話番号に連絡してエラー番号を伝える様にと書いてあった。
コンセントを引っこ抜き、1分待ってからもう一度挿して電源ボタンを押してみるが、エラー番号をが点滅している事に変わりはなし。
「この洗濯機って碧の?
それとも家に着いていたんだっけ?」
自分で買った記憶は無いけど、どっちだったっけ?
「備え付け。
青木氏に連絡だね」
碧が答える。
そっか、浴室乾燥が無い代わりだったね。
携帯を取り出して青木氏のオフィスに電話する。
「備え付けだった洗濯機が壊れました〜」
◆◆◆◆
「洗濯機の修理って同日どころか翌日でもないんだね・・・」
青木氏が馴染みの業者にゴリ押ししてくれたらしいが、それでも修理の人が来るのは明後日となった。
どうも人手不足が厳しいらしい。
ベテランは無理の利かない初老以上の年齢、若い子は無理な長時間労働を言いつけると辞めてしまうとかで、人が足りないのを残業で何とかする慣習は既に絶えているらしい。
「まあ、コインランドリーなんて初めてだから面白そうじゃない。
最近のは色々とお洒落らしいし」
ワクワクと楽しげに碧が応じる。
濡れた洗濯物を2日も放置する訳にもいかないし、碧も洗濯したい物があったので近所にあるコインランドリーをネットで検索して試すことにしたのだ。
「コインランドリーがお洒落ってイマイチ分からないけど・・・これは昔からある系じゃない??」
辿り着いたコインランドリーの入り口を見て思わず足を止める。
なんかこう、昔実家の側にあったゲームセンターのゲーム機を取り外し、代わりに洗濯機を入れたかの様に見えるなぁと思ったが・・・考えてみたらゲームセンターの方がコインランドリーより儲かりそうだ。
それとも今時だと子供の人口密度が高いところじゃ無いとゲームセンターも生き残れないか?
学生とか新卒社員が多そうな地区だったらコインランドリーの需要の方が強いの??
少なくともここはどう考えても若い女性とか奥さんが来る様なお洒落系では無い。
「・・・もしも明後日に来る業者さんが洗濯機をその場で修理出来なかったら、次は『お洒落』と『コインランドリー』のキーワードで検索しようか」
碧が溜め息を吐きつつ提案し、扉へ向かった。
「そうだねぇ。
まあ、今日の洗濯で暫く着替えは持つとは思うけど。
何か部品を取り寄せる必要があったりしたら日数が掛かるんかなぁ」
洗濯物を外に持っていって洗うなんて面倒だ。
そう思いつつ、洗濯機に適当に洗濯物を突っ込み、お金を投入して洗濯機のボタンを指示書通り動かす。
濡れているせいで服が重くなって量が多い扱いになっているんじゃ無いかなぁ。
出来る限り絞ってはきたんだけどねぇ。
そんな事を考えながら振り返り・・・思わず動きが止まった。
『なんかヤバい人が来たんだけど!!!』
碧に念話で警告する。
物理的に襲われた場合、白龍さまが撃退してくれるのかな??
『どうしたの?』
洗濯機の使用指示の紙を見ていた碧がさりげなく体の向きを変えて入り口の方を横目で見る。
『今入って来た男に、殺された死霊が取り憑いているし・・・なんかやたらと濃厚な『死』が染み付いてる』
無精髭を伸ばしていて長く伸びた髪を後ろで輪ゴムで留めているものの、一応清潔そうな服を着ている。
とは言え、軍隊(自衛隊だけど)ですら戦闘地域に行かない日本で、これほど濃厚に死が染み付いている人なんて普通はいないだろう。
殺人鬼??
でも、そこまで殺人を犯していたらもっと悪霊が憑きまくると思うんだが。
もしかして自分で悪霊を祓える殺人鬼とか??
そこまで穢れては居ないが・・・黒魔術師だったらそれなりにそう言うのも祓えるからなぁ。
これってヤバくね??




