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実は(?)大物だった

「いやぁ、見事に消えましたね〜」

温泉宿で美味しい牛肉御膳と温泉を楽しみまったりリラックスして帰ってきたら、マンションの部屋の前に田端氏がいた。


『いつから居たのかな、彼?』

シロちゃんか炎華が察知して碧に知らせたかもと期待して碧に念話で聞く。


『20分ぐらい前みたい。

新宿駅で携帯を出した時点で動き始めたのかな?』

碧から返事がきた。


マジか〜。

やっぱり携帯のGPSで現在位置を調べてるんだね。

犯罪者以外ではそう言うのってやったら違法なんじゃないのかね??

まあ、問い詰めても偶然だって主張するんだろうけど。


「ちなみに、カード会社の情報も携帯電話のGPSと同じで筒抜けなんですか?」

碧が玄関の鍵を開けながら尋ねる。


「滅茶苦茶古い、ガチャンって機械を上で動かしてカーボンコピーを作るタイプのカードの機械だったらその写しが郵送されて入力されるまで情報は流れませんが、よっぽどのど田舎の小さな店とかじゃ無いと今時オンラインで繋がっていないカードの機械はほぼないですからねぇ。

暗証番号とかはまだしも、利用状況はほぼリアルタイムで筒抜けと思って良いのでは」

あっさり田端氏が答える。


そっか、カード番号とかは重要な個人情報だけど、物理的にどこで使った程度の情報ならカード会社もそこまで神経質に守らないのかな?

まあ、プロが本気になれば買った際の担当店員もカード番号も暗証番号も利用残高も全部ダダ漏れだろうけど。


玄関を開けたら源之助が出迎えに来てくれていた。

突然の留守番で寂しかったのかな?


「ただいま、源之助〜。

お留守番させちゃってごめんねぇ」

猫撫で声を掛けながら碧が源之助を抱き上げて家の中へ入っていく。


「・・お茶でも飲みます?」

『ご同行下さい』と問答無用で車に押し込まれなかった事を考えると、事件は解決しているか、少なくとも碧の関与は必要とされない状態になっているんだろう。

どうなったのか聞きたいし・・・態々携帯をつけたら直ぐに来た様なのだ。

田端氏もそれなりに碧と話をしなければ帰れないだろう。


「是非。

すいませんねぇ」

にこやかに田端氏が碧に続いて家に上がって行った。


「それで、誘拐の危険があるのにコンサートに行こうと抜け出して誘拐されたお嬢さんはどうなったんですか?」

ソファの上に座りながら碧が尋ねる。


お湯を沸かしに台所に行き、ついでに手を洗いながら私も耳をそばだてた。


「幸い、誘拐犯側が中国人とさらに露骨に外人な見かけの連中だったお陰で比較的目立っていたから場所の特定が早く、昨晩遅くに無事救出されました」

田端氏が教えてくれた。

温泉宿のテレビでさっと確認した朝のニュースには報道されて無かったけど、アメリカの威信に掛けてそんな話は流させないか。


にゃぁ〜。

どうやら碧に暫し抱かれて満足したのか、源之助がソファから降りて台所におねだりに現れた。

そう言えば、昨晩はウェットフードを貰い損ねたんだよね、源之助。

ドライフードはシロちゃんが念動でタッパーの蓋を開けて餌のトレーに出せるけど、ウェットフードのパウチを開くのは難しくて、出せない。


炎華だったら嘴で突いて穴を開けられるが、嘴で中身を綺麗に出すのは難しく、台所の床がべちゃべちゃになるので基本的に留守番時はドライフードだけになるのだ。


「は〜い、ちょっと待ってねぇ。

昨日の分のパウチを出してあげるから」

思わず猫撫で声を出してすりすりと足に寄ってきた源之助に話しかける。


何故か猫に話しかける時って猫撫で声になっちゃうんだよねぇ。

人に見られるとかなり私の普段の言動からギャップがあると言われるので止めようと思っているんだけど、中々やめられない。


「あ?!

私が出す!!

源之助の愛は私のモノよ〜〜〜!!」

なんかアホな事を叫びながら碧が台所に突進してきた。

いやいや、たしかに猫の愛情って餌にも直結している気はするけど、一度ぐらいのウェットフードでどうこうなる程の薄っぺらい関係ではないでしょうに、あんたら。


「手を洗ってからね」

まあ、床を歩いた肉球をしょっちゅう舐めている猫だったらちょっとやそっとの雑菌なんて物ともしないだろうけど。


「で、結局碧に犯罪グループからの救出現場に出てこいなんて間抜けな事を言い出した副大統領は落ち着きました?」

これ以上イチャモンつけてくる様だったら白龍さまの天罰が海を越えても届くかの良い実験になるかも?


「ああ、あれはうちの上司がアメリカに忖度しようと暴走しただけで、あちらは藤山さんの事はちょっと軽く言及した程度だったんです。

流石に日本でも数の限られるクラスの回復術師に危険なテロリスト集団のアジトへの突入に同行しろなんて、同盟国だろうと他国の政治家が要求できる事ではないですからね。

藤山さんが姿を消してうちの部署でもそれなりに大騒ぎになって、勝手に私の携帯を使った上司は閑職へ左遷が決まりました。

情報漏洩されても困るので外へは出しませんが」

私が出したお茶を受け取りながら田端氏が教えてくれた。


おや。

碧を怒らせた事が大問題になったのか。


まあ、あと3年弱で変わる可能性が高い副大統領よりも、下手をしたらあと100年ぐらい出てこないかもしれない貴重な氏神さまの愛し子を危険に晒そうとして怒らせる方が問題だよね。

今の副大統領ってあまり人気が無いから次の大統領選に立候補しても無理だろって話みたいだし。


しっかし。

ウチらが携帯を完全に遮断したって政府側がすぐに把握したって言うのはちょっと気になるけど。

意外としっかり碧の動向に目を光らせてるのかね?



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