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西洋魔術

「いや、西洋魔術ってイマイチ相性が良くないから、私が習うのは無理じゃ無いかなぁ〜」

私の提案に碧が軽く答えた。


相性が悪いのか。

「試した事あるんだ?」

イマイチどう言う術が西洋魔術として伝わっているのか分からないが、相性が悪いと分かっていると言う事は、試した事があるんだろう。


「以前、空港のセキュリティゲートをぶっ飛ばしちゃって代わりのを白龍さまに手伝ってもらって設置し直した時に、西洋魔術の便利な術もついでにやってくれないかって言われて試してみたんだけど、なんか霊力が溢れ落ちちゃう感じで全然ダメだった」

肩を竦めながら碧が教えてくれた。


ふむ。

となると、必要とされる属性がくっきりキッパリ違っていたのだろう。


人間の侵入探知系だったら白魔術の属性の術もあるのだが、そちらでは無かったのか。

「ちなみに、その時の術の資料って残ってたりする?」


ちょっと興味を感じて尋ねる。

折角西洋魔術に触れた友人がいるのだ。

情報は出来るだけ入手したい。


「術の文言は長すぎる上になんか妙な英語モドキっぽいよく分からない言語だったから覚え切れななくて読みながらやったんで記憶できなかったけど、魔法陣の方はかろうじて暗記できたから後でメモったんだよね〜」

にっかり笑いながら碧が作業机の引き出しを漁りだし、やがてファイルを取り出してきてページを捲ったと思ったら手を止めてこちらに渡してきた。


「これだね」


渡された紙に描かれていた魔法陣は微妙に見覚えのあるような形だった。

前世の魔法陣と似たような紋様が幾つかあるため、知らない魔法陣なのに何とは無しに既視感を感じさせる。

「ちなみにこれって何をする術なの?」


術の内容で属性も推測できる可能性が高い。

西洋魔術が何故か陰陽道と違って術の属性が前世と異なるんじゃない限り。

同じ世界の中で理が違うなんて事はまず無いだろうから、それこそよっぽど特殊な神(と言うか幻獣とか異界の超強力な存在だろうが)の力を借りるタイプの術じゃ無い限り、仕組みは似ている筈。


「敵意を持つ存在が近づくと警備担当の注意を集める術らしいね。

イマイチどう作動するのか分からないけど」

碧が魔法陣の書いてある紙の裏のメモを見ながら教えてくれた。


おや。

悪意に反応して注意って精神系で露骨に黒魔術じゃん。

回復師系の適性持ちの碧に使える訳が無いだろうに。


そう言う属性ごとの適性をちゃんと把握してないのかね?

それとも回復する系は『神の奇跡』って事で教会で保護して、黒魔術系の魔力持ちだけ『魔術』って呼んで弾圧してきたとか?

元素系の適性持ちも満遍なく生まれそうなものだけど、魔術が弾圧されるような社会では見つからずに使えなくて失伝したのかも知れない。


なんかなぁ。

白魔術系の適性ってどの世界でも優遇されてちょっと妬ましい。


警備用の結界だったら前世でも色々と使った。

あれらと近いから紋様も似ているのかな?

現世では『警備担当の注意を引く』なんて言う術は個人的には要らないんで試す気も無いが。

基本的に、私にとっては警戒用の結界を展開するなら自分と碧以外誰の接近も要注意って形になるからね。


「ちなみに、凛の前世だったら大規模なテロとか誘拐警戒の時に魔道具を無効化するような術ってあったの?」

ファイルをのんびり捲って見直しながら碧が尋ねてきた。


「登録した魔道具以外は無効化する大掛かりな結界は王宮に設置されていたけど、前もって準備していない状態で不特定多数の人間が歩き回っているような街中で無効化する術は無かったねぇ」

まあ、前もって大量に死霊を集めて準備していたら『魔道具を持っている人間の生命力を奪い取って敵を無力化する』と言うタイプの術はあったが。


あれは最低でも3割、下手をすると7割ぐらいの対象者が死ぬって話だったし、敵味方の識別も出来なかったので町中の人間を無差別に殺したいような歴史の中でも特に悪名が高いキチガイしか使わなかったが。


術の詳細が禁書に書いてあったのを王宮図書館で見つけて、資料を本棚の後ろに隠したものである。

あの時の担当だった王族はそう言う殺傷力の高い術の存在を知ったら、下手をしたら悪戯半分にちょっとした事件があっただけでも試せと命令しかねない人格破綻者だったからなぁ。


「まあ、テロ攻撃対策なら警察や公安やアメリカのシークレットサービスが慣れているよね。

誘拐対策は出来るだけ外出しなきゃいいんだし」

碧がパタンとファイルを閉じながら言った。


「だね〜。

下手に何か手伝おうなんて言っちゃったら後が怖い」

絶対に公安とかに私の存在を認識させたく無い。




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