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ちょっと意外な黒幕

白魔術も黒魔術も遠距離攻撃には向いていない。


まあ、黒魔術師は死霊使い(ネクロマンサー)として動くなら場合によっては国単位で対象を滅ぼすのも可能だけど、家を壊さずにそこの中にいる2人の人間を遠距離で無力化っていうのは難しい。


第一、材料となる死体が無いと何をやるのも魔力を食うし。


「銃で撃ってきたりせずに近距離で襲い掛かってくると期待するしかないね〜」

家の中に入りながら碧が溜め息混じりに囁く。


そう言えば、白龍さまってそう言う点どうなんだろ?

物理的に銃弾を止めてくれたりするのかな?


まあ、どちらにせよ殺す気は無いとしたら銃弾の心配もいらないと思うけど。

相手は後ろから殴って悪霊にやられた様な振りで外に放り出しておくんじゃないかと思うんだけど、どうかなぁ。


殴る距離に来てくれれば昏倒用魔道具カードでピシっと相手を倒せる・・・と思うんだけど。

蹴られた場合はちょっと難しいかな?


一応合気道も習ったから近距離戦闘もある程度は対応できると思うんだが、殺気混じりのプロ相手の実戦経験はないからねぇ。


『近づいてきた』

念話で碧に伝える。


『だね』

ゆっくりと動いているし、意外と何とかなりそう?


和風に障子や襖で区切られている空間を使ってそっと後ろから近づいてくる不審者に気付かない振りをしながら奥の悪霊がいるらしきスペースに向かい・・・

「よっと」

首の後ろに手刀でストンとやりに来た手を避けて、そのままぺシリと魔道具カードを触れさせる。


どたん。ばたん。

ほぼ同じタイミングで碧の意識を奪おうとしていたもう一人の不審者も倒れ、短い間に一気に二人の不審者が床に転がる結果になった。


碧も中々スムースに動けるんだねぇ。

私だけじゃなく、碧もなにか護身術を習っていたんかな?

考えてみたら、子供の頃から退魔師として出歩く可能性が高い事は分かっていたんだ。

あのお父さんが愛娘にそこら辺の訓練を施さない訳はなかったか。


「どうしようか、この二人?」

倒れる男を避ける為に一歩下がった碧が聞いてきた。


「取り敢えず誰の命令で何しに来たのか調べようか。

悪霊退治している間に逃げられて何も分からなくなるのも癪だし」

ウチらの魔道具カードの昏倒効果は半日は続く筈だが、この悪霊憑きな家の中で半日近く(多分)待機できるだけの装備か訓練をしている相手なのだ。

早く復活して逃げちゃう可能性もゼロではない。


情報を抜き取った後だったら場合によっては下っ端に逃げられても構わないけど、除霊することで誰かに恨まれるなら、対処する為にも出来れば詳細は知っておきたい。


私を襲ってきた方の男に触れて精神を調べてみるが・・・マジで何も知らなかった。

と言うか、珍しく霊感がゼロかつ霊からの干渉も受けにくいタイプらしく、悪霊の存在も信じていない男だった。

悪霊憑きの場所でも気にせず仕事をすると言う事で業界ではそれなりに有名らしいが、本人は迷信深い変人から金が沢山貰えるとしか思っていない破落戸だった。

持っている情報も、単にもう一人に誘われた現金払いの依頼と言うものだけ。


なるほど、霊感が無く、何も考えない脳筋タイプだと霊からの働きかけも完全にスルー出来るんだねぇ。

霊感がなくてもそれなりに霊から接触されると一定の方向性をもった思考が増えてちょっと悩みがちになったり変な夢を見たりする様になることが多いのだが、基本的に何も考えていない単細胞だと悪霊の思考誘導も効かないのか・・・。


ある意味、思考能力の増す進化が必ずしも優れていると言う訳ではない証明かね、これ?

微妙だ。

下手したらゴブリン並みの思考力じゃない??

いや、ゴブリンですら悪霊を恐れるだけの感知力はあったから、ゴブリン以下??

普通に人間社会で生きていけるだけの知力があるのに、こうも何も考えない人間が居るとはちょっと驚異だ。


この男の存在そのものはびっくりだったが、役に立つ情報はなかったのでもう一人の方に触れる。

「お。

なんだ、除霊の依頼を出した次男が手配した・・・っぽい?」

除霊に反対している他の親族が手配したのかと思ったが、所有者に頼まれて退魔協会に依頼を出した本人が邪魔をしてくるとはちょっと意外だ。


しかもこっそり後ろから襲って意識不明にしたのを悪霊の逆襲のせいにしろなんて、無理がありすぎな気がするんだけど。


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