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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
医療行為の要請

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久しぶりの普通な依頼(多分)

年度末の試験を全て終えて、最後に残っていたレポートを見直していたら電話が鳴った。


『退魔協会です。

依頼の件でお電話させて頂いております。

・・・』

留守電に声が流れる。


「はい」

セールス電話を避ける為に基本的に在宅でも電話は一度留守電に流しているのを知っている職員らしく、そのまま切らずに待っているようなので碧がスピーカーボタンを押して電話を受けた。


『白金台の方にある古い家に、悪霊化した地縛霊がいるので除霊して欲しいと持ち主の家族から依頼が来ました。

お願いできますか?』

淡々と退魔協会の職員の声が流れてくる。


「持ち主の家族って所有者本人の承諾はあるんですか?

白金台の方となったら除霊が済んだら資産価値が上がって大変なことになりません?」

碧が問いただす。


おや?

悪霊憑きだと資産価値が変わるんだ?

いや、実際問題として売れないし使えないのは分かるが、固定資産税とか相続税の時の不動産査定額がそう言った問題を考慮するとは知らなかった。


まあ、自治体の不動産関係のところは退魔協会とやり取りがあるって話だから、税務署もちゃんとそこら辺を考慮してもおかしくはないか。

悪霊の存在を否定して普通に周囲の路線価格を強要したせいで悪霊憑きの物件を物納されまくっても困るだろうし。


高層マンションの節税効果が否認されたみたいに、悪霊憑きに関しても節税を否認されたりしそうなのかな?

そう考えると相続前に除霊するのは無難なのかも。

もしくは退魔協会に除霊費用の見積もりを出させて、相続税の査定は路線価格から除霊費用を引いた額に基づかせるとか。


まあ実際に除霊できない可能性もあるから、退魔協会から『悪霊が憑いています』って証明書さえ入手したら相続時に路線価格より割引出来る方が現実的かも。

だとしたら死ぬ前に〜なんて歳のいった所有者が除霊を願っても家族が反対しそう。


でも悪霊が憑いてさえいれば節税出来るとなったら、誰かが悪霊化するまで浮浪者を惨殺するとか呪殺するとかいった悍ましい商売が富裕層に繋がった裏社会で横行しそうで怖いぞ。


まあ、誰か特定の人間を一人殺せば良いって言う訳ではなく、何人殺せば悪霊化するかも分からず、悪霊が殺人者に憑くのでなく地縛霊になる保証もない事を考えると、流石にそんなビジネスは無いか。

・・・無いよね?


『入院中の所有者様の強いご希望で次男の方が退魔協会に依頼を出しました。

こちらの調査員が悪霊に関して調べる為に、所有者様の元を訪れて話を聞いた際に意思確認もしておりますので大丈夫です。

ランクはCマイナス相当との事です』


「そうですか。

ちょっと待って下さいね」

碧が保留ボタンを押してこちらを向く。


「どう?」

「やっても良いけど・・・このレポートを提出しなくちゃならないから、明後日以降だね。

これを出し終われば春休みだから日程的には明後日以降ならいつでも大丈夫」

考えてみたら久しぶりに普通の除霊依頼だな。


碧が再度スピーカーボタンを押す。

「大学の試験がまだ終わっていないので来週になれば取り掛かれますが、それまで待てますか?

急ぎなら他の方へ回して下さい」

オンライン授業が多い碧だが、流石に試験だけは大学に行かなきゃならない。

まだ残っていたのか。


それとも単に今すぐやりたい気分じゃなかったのか。


『分かりました。

では来週の月曜日と言うことでお願いします。

鍵と地図やその他の書類を送りますので宜しくお願いします』


あっさり向こうから返事が返ってきて、電話が切れた。

「Cマイナス相当っていう事はそれ程強力じゃあ無いって事?」


旧態然とした退魔協会なのに何故か仕事のランクとそれに紐付けした報酬はアルファベット表記なんだよねぇ。

甲乙丙とかの方が似合ってそうだけど、3を超えた後のランクをちゃんと分かる人が少ないからダメなのかな?

ちなみに指名依頼とか何か特別な理由があると報酬が高くなる。

今回は何も言わなかったから普通の標準報酬なんだろう。


「う〜ん、微妙。

と言うか、人間の邪魔が入る事もあるからねぇ。

所有者が簡単な手術で入院中とかって言うなら良いけど、死にそうになっていて最後にやっと思い切って除霊するなんて話だったりすると遺産相続に関わる事もあるし」

碧が嫌そうな顔をして言った。


「人間の邪魔って?」


「どっかの成金ババアに金切り声で怒鳴りつけられたり、破落戸にイチャモンつけられたり?

雇われた暇人が敷地の周りでデモをやっていたりする事もあるって父親からは聞いた」

碧が溜め息を吐きながら言った。


「・・・そういう時って退魔協会に連絡したら何とかして貰えるんだよね?」

ウチらの仕事は除霊だ。

変な金の亡者の妨害に対処する事じゃあない。


「一応ね。

とは言っても、大抵は依頼者に連絡してそっちに対応して貰う事になるから、日程がずれ込む事が多いんだよねぇ。

下手をするとどうこうしている間に依頼主が死んじゃって遺族の間で依頼を継続するかで揉めに揉めて、数ヶ月引き摺った挙句に結局キャンセルなんて事もあるらしいし」


おいおい。

それって揉めている間は他の依頼で遠出とかし難いのに、結局報酬は無しって事にならない??


なんかちょっと嫌な予感がして来たぞ・・・。




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