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秘密になってるよね??

「実はあの二人、兄妹だった」

数日後、田端氏がウチらのマンションに訪れてあの事件の顛末を教えてくれた。


ちなみに、お詫び予約でフルに2時間楽しんだスイーツブッフェは素晴らしかった。

頑張って胃に詰め込み過ぎたせいで、翌日はほぼ動けなかったが。

いやぁ、腸に食べ物が詰まり過ぎていると色々と苦しいんだね!!

幸い、カロリーは吸収されなかったので田端氏が来た頃には体重も体調も元に戻っていたが。


「兄妹??

姉妹じゃなく??」

最近は時々どう見ても女性にしか見えない男性芸人がいるが、あの派手目な美人はそっちの人だったのか??

と言うか、ああ言う女装している人たちは男性と言ってはいけないのかな?

最近のアンケートとかでは性別を尋ねられる際に、『男性、女性、その他』とか『男性、女性、答えたく無い』とか書いてある事が増えた。

アンケートなんだから自分が好きな性別で答えれば良いだろうにと思うんだが、色々世の中は変わってきたよねぇ。


それはさておき。

先日の事件だ。

いつ『犯人が捕まった』と犯人の確認の為に呼び出されるかとちょっとドキドキしていたのに、加害者と被害者が肉親者であるって言うのは少し想定外だ。


「え、じゃあお兄さんがお姉さんの格好をするのが気に入らなくて妹があんな攻撃をしたの?」

碧が呆れた様に声を上げる。


「それもあるかもだけど、お互いに強烈に仲が悪くて攻撃と嫌がらせの応酬がもう何年も続いているらしい。

被害者の方も女装を始める前から、妹の事を馬鹿にしたり虐めていたりしていたらしいし、妹の方も被害者の部屋を荒らしたりSNSで色々暴露したり、中々壮絶な争いを続けていたって言うのが周囲の人間の話から出ている」


うわぁ。

なんかこう、性同一性障害の人って優しくて周囲に害を与えない人が多いと思い込んでいたが、考えてみたら男だって女だって、残虐な人間はいくらでも居る。

自分の性認識が肉体と一致していないからって性格が穏やかになるとは限らないんだね!


しっかし、そう考えてみたら人間の攻撃性ってホルモンとか性別にはあまり関係ないんだなぁ。

男性ホルモン過多だと暴力的になるとどっかで読んだ記憶があるが、考えてみたら女の虐めの方が陰湿でキツイ気がするし。


「家族だったら話を大きくしたがらないかも知れないけど、傷害罪って親告罪じゃあないですよね?」

田端氏に尋ねる。


家での嫌がらせだったらまだしも、ああも派手に人目のあるところでやっちゃったら警察が介入し無い訳にはいかないだろう。


「そうなんだけどねぇ。

元々、陰陽師の旧家の人間で二人とも退魔師の見習い中なんだ。

で、使われた発火の符は今回の被害者が妹の机の上に設置していたのを妹が解除して再利用したらしい。

お陰で傷害罪そのものはまだしも、どちらの力を封じるべきかって話が複雑になっていてね。

取り敢えず、どちらも今回の事件に関する関与は否定していないから長谷川さんに証言して貰う必要は無さそうだとだけ知らせようと思って」

田端氏が教えてくれた。


なんと。

「家の中であんな発火の符を使ったら火事になって危険でしょうに」

碧が呟く。


だよねぇ。

同居していないにしても、周囲の人が火事で被害を受けたら困るし危険だ。


「いや、妹の部屋に設置された時は単に周囲の紙やバッグに焦げ目がつく程度の出力しかない様に作ってあったらしい。

それの出力を上げた上にマグネシウムを巻き付けて、派手に閃光が出る様にしたのが妹の仕業。

爆発したのは偶然被害者のバッグの中にあったヘアスプレーが高熱で着火したからだと調査班は言っている」


田端氏の説明に思わず乾いた笑いが漏れる。

最初の嫌がらせも行きすぎな気がするが、閃光で脅かそうとしたのもまあ分かるけど・・・高熱が出るマグネシウムを発火させるのは危険だろうに。


「危険な代物を武器化したのは妹の方としたにしても、符を作ったのは被害者だから妹の力は封じるべきでは無いって事になりそうなの?」

碧が首を傾げながら聞く。


「まだ妹は自力で発火する符を確実に作れるほどの腕が無いらしくてね。

被害者の方は人を傷つける為に使った訳では無いと両親も弁護士も言っているし、実際に被害も出ていないしで、話が色々と複雑になって・・・」

溜め息を吐きながら田端氏が答えた。


「ちなみに、その兄妹ってお互い以外にはどんな感じなんです?」

お互いに示している攻撃性を他者にも示しているなら危険性は高いと思うが。


「不思議なことに、お互い以外にはごく普通な人達らしい。

お互いに対してだけ、何でああも攻撃的なのか周囲も分からないって話だ」


2人とも家族にだけ攻撃的って事はまず無いだろうけどねぇ。

どちらかは猫を被っていて、現時点ではその残虐性が家族の一人にだけ発露しているのだろう。

反撃している側は基本的に攻撃的ではなく自己防衛なのかも?

まあ、家族で同じような環境で育ったならどちらも猫に隠れて攻撃的な可能性もあるけど。


二人を完全に引き離して攻撃対象を取り去ったら、猫を被っている方が周囲にいる別の誰かへ攻撃性を示す様になるんだろうなぁ。

とは言え、今度は『兄妹だから仲が悪い』では済まなくなるから発覚したら誤魔化しは効きにくくなるだろうが。


「まあ、私が証言しなくて済むのはありがたいわ。

一応逆恨みされると怖いので、二人のうちのどちらかが別の誰かを相手に事件を起こしたら教えて貰えます?」

二人がどうなるか知らないが、これからは確実に引き離されるだろう。

どっちが攻撃者なのか分からないが、どっちもどっちと言う事で旧家のコネを使って有耶無耶にした場合、そのうちまた事件が起きるんだろうなぁ。


私が狙われない事を期待しておこう。

・・・誰が最初の証言したかなんて、伝わってないよね??



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