表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
264/1365

懲りないヤツら・・・

「マジ〜?!」

階段を掃除したとの連絡を受けて夜の8時過ぎに再開発マンションへ来た。

そして3階の除霊を終えて11時半頃に駐車場に戻ってきた私は・・・車のそばに倒れてる人影を見て思わず声を上げた。


一応初志貫徹って事で今日は私の威嚇結界では無く碧の昏睡結界を車に掛けたんだけど、まさかここらの破落戸が懲りずに引っかかるとは思ってなかった。


「うわぁ、懲りない奴ら・・・。

なんて面倒な」

溜め息を吐きながら碧が携帯を取り出す。


もしかして、肝試し代わりなの??

それとも毎回違う人が来るほどここら辺は破落戸が多いのか。

確かに瘴気塗れな空気だからつい考えが悪事に傾き勝ちとは言え、一体どれだけこの車に引っ掛かってるのよ!?


今までは一度も警察に突き出さなかったから実害は無いと思われていたのかね?

お陰で今晩は睡眠不足が確定だなぁ。

まあ、これで今年の善行は完了と思う事にしよう。

・・・ついでに駐車場全体の瘴気も祓っておくか。

今のままじゃあ再開発を始めても現場でみみっちい窃盗が頻発しそうだ。


どうせ今日は田端氏にこいつらを引き渡すだけで明日は休みだし。

今年の善行って言うにはちょっと私の貢献が少ないから少し足しておこう。


「・・・何やってんの?」

電話を終わった碧が目を丸くして聞いてきた。


「ちょっとこの駐車場の瘴気祓い。

考えてみたらこいつらが懲りもせずに車やウチらにちょっかい出して来るのって、瘴気に満ちたここの空気が悪いのかなぁと思って。

まあ、今更やっても結果は分からないけど」


元々、機械式の立体駐車場があったのを撤去した場所なので面積は広くない。

あっという間に瘴気祓いは終わり、ベッドから出てくる羽目になった田端氏を待っている間、私たちは青木氏の猫部屋ライブ動画を見ていた。


「不思議なもんだよねぇ。

子猫の時はあんなに細かった尻尾がふっさふっさになってる」

短毛だと思っていた子猫が育つにつれて長毛っぽくなり、尻尾もふさふさになったのがいて、碧が熱心にその子を見ている。


「なに、源之助の奥さんを探してるの?

去勢しちゃったから子供は持てないし、1匹で寂しそうでもないと思うけど。

浮気はダメだよ〜」

ちょっと揶揄い気味に声をかける。


「いやぁ、純血種って成長してもそれほど想定外な変化はないじゃん?

この子は野良猫だったせいかめっちゃ不思議で面白いだけ!」

碧がちょっと慌て気味に浮気では無いと言い訳する。


「まあ、子猫の時のほっそいピンとした尻尾がこのふさふさになるんだもの、ちょっと不思議だよねぇ。

この仔は大分と育ってきたけど、このまま貰われずに青木不動産の看板猫になるのかな?」

ちょっと風邪をひいて隔離されたせいで貰われる時期を逃した感のある子だから、このまま残るのかな?

まあ、子猫の頃からそこそこ多くの人に遊ばれてきたせいか、人懐っこく落ち着いていて看板猫としても向いているかも。


「多分ねぇ。

青木氏がすっかり溺愛してるから、多分手放さないんじゃないかな」

笑いながら碧が猫部屋アーカイブで青木氏がニャンコたちと遊んでいる動画を見せてくれた。


オモチャを振り回して子猫達と遊ぶ青木氏の膝の上でずっと撫でられている様子はすっかり青木氏の愛し子って感じだね。


「お、やっと来たかな?」

車のヘッドライトが駐車場に入ってきたので、社用車から降りて出迎える。

寒いが、破落戸はそのまま外に転がしている。

冬物のジャンパーを着ているし、意識のない成人男性を車の中に担ぎ込むなんて無理だしね。


「本当に捕まったんですか」

車から降りてきた田端氏が呆れた様に地面に転がる奴らを見つめた。

後ろからパトカーが入って来る。

そうか、3人もいると田端氏一人では動かすのは難しいか。


「ちなみに彼らは・・・?」

「寝てます。

車に触れると昏睡状態になる様に結界を張っておいたので。

朝になったら普通に目覚めますよ。

本気で殴る蹴るの刺激を与えたら直ぐに起きると思いますが」

碧が答える。


田端氏の動きが止まった。

あれ、驚いているの??

そうか、退魔師の人みたいに襲われて撃退したと思っていたのかな?


そう言えば、ウチらを直接襲ったんではなく、車に触れただけでは逮捕するには弱いのかな?

まあ、調べればそれなりに余罪は出てくると思うけど。


「触れたら昏睡状態になる術と言うのは難しいのですか?」

田端氏が尋ねる。


「別にそれ程でも?

退魔協会でそれ用の符も売ってますし。

まあ、悪用されない様に会員以外には販売していないと思いますけど」

車や自分の保護用の符の一つというやつだ。

電撃や鎌鼬の符と違って近くにいる不特定多数を一気に倒すのには向いていないので、あまり売れないらしいが。


「実は・・・とある宝石展で海外から借りている宝冠が狙われていると言う情報があるのですが、展示ケースにその術を掛ける事は可能ですか?」

はぁぁ?


宝石展を狙う泥棒って・・・探偵モノか泥棒モノのアニメじゃあるまいに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ