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嘘は泥棒だけじゃなくて全ての始まり?

「!!・・・マジかぁ。

もう既に婚約してるらしい」

この際だから社会経験も兼ねて青木氏に紹介してもらった興信所に更に詳しい虐待主(名前は下浦 美月と言うらしい)の家族構成や現在の交際相手、勤務先諸々を調べて貰った。

その報告書が来たのだが・・・中身を読んで、思わず溜め息が溢れた。


「ありゃりゃ。

こう、嘘をつけない術でも掛けて、交際相手に幻滅されて破談になる様にした方が良くない?

結婚して離婚ってお金が掛かって相手にも大変そうじゃん」

碧が提案する。


「まあ、そうなんだけどねぇ・・・。

どうも出来ちゃった婚らしい?」

DNAテストはしない方向に上手く婚約者を言い包めたようなので本当に婚約者の子かは不明だが、子供が出来たと婚約者が親に説明したと興信所からの報告書には書いてあった。


そこそこ良い家のお坊ちゃんの様だから、引っ掛ける為に妊娠したのかな?

良い家なら婚約時に興信所に調べさせたら民事訴訟で係争中だってバレるだろうから、反対されない様に態と避妊に失敗したかも。


興信所はどうやって婚約者と親の会話の内容を知ったのか、非常に興味がある所だけど。

聞いたら教えてくれるのかな?


それこそ、アメリカのドラマに出てくる小さなパラボラアンテナみたいので窓ガラスの振動から部屋の中の会話を盗聴する機械とかって日本にもあるのかな?

携帯電話にウィルスを仕込んで盗聴器に変えることも可能だって聞くけど、流石にそれはちょっと露骨に違法行為だよね?


家の外から盗み聞きするのならまだグレーな気がするけど・・・どうなんだろ?


「う〜ん、妊娠できない様にするのはまだしも、流石に既に宿っている命を堕ろすのはちょっとねぇ・・・。

子供が出来ているなら下手に破談にさせない方が、生まれてくる赤ちゃんの生存率が上がりそうだよね」

碧が報告書を横から覗き込みながら呟く。


「お金があってお手伝いさんとかを雇って家の中に人の目が入る事になれば子供の虐待もしにくいだろうし、質の良い保育園に預ければ虐待のサインがあったら当局に連絡してくれるかもだし・・・下手に手を出さない方が良いかなぁ」

現時点でペットを飼っていて虐待しているなら助け出してあげる程度しか出来ないかな?


「明日にでも様子を見に行ってみようか?」

碧が提案する。


取り敢えず、それしか無いよね。


◆◆◆◆


「うわぁ、生き霊と死霊両方が憑いてる・・・」

虐待主《下浦美月》のマンションの斜め向かいにある喫茶店で張っていた私は、写真にあった女が視界に現れたのを見て思わず小声で呻いた。


やっぱり色々と虐めてきたらしく、幼い子供から大人まで、数人の霊(一人はまだ死んでないが)が後ろを漂っている。


普通だったらあの数の霊に取り憑かれたらそれなりに不調が身体にも現れるのだが、どうやら虐待主は人一倍しぶといのか元気発剌な感じだ。


上手なメイクと相まって、幸せ一杯な結婚間際の女性っぽい姿である。


「・・・あれ?

妊娠してないよ?」

クッキーを追加購入しに行って戻ってきた碧が外を覗いて言った。


「おやぁ?

結婚話をすすめている間に流れちゃったのか、それとも最初から妊娠してなかったのか。

どちらにせよ、ラッキーだね」

妊娠していないならこのまま一生妊娠しない様にして、ついでに嘘をつけない様にでもして本性を婚約者と周囲の人間にバラす様仕向けるか。


しっかし。

嘘つきは泥棒の始まりっていうか、虐待やイジメの始めでもあるんだなぁ。

と言うか、全ての悪事に嘘は必須なのかな。

嘘をつけなくしたら悪事を出来なくなるんだろうか?


「そうだねぇ。

もう少し人通りが減ったら家に忍び込んで色々やっちゃおうか」

碧が提案する。


既に日中に虐待主の部屋は一度行ってみて、碧が玄関の鍵を開けられる事は確認してある。

引越しが多いせいか元から付いている安物な鍵しか無かったので、10秒も掛からずに開けられていた。


ペットも現時点では飼っていないし。


「ついでに記憶を読み取って何か不法行為をしていないか調べてみるか。

このまま野放しだったらいつかペットを飼いそうで怖い」

ペットショップに近づいたら蕁麻疹が出るような暗示を掛けるのも可能だが・・・道端で捨て猫や野良猫を拾うのは止められないんだよねぇ。


「だったら猫と犬にアレルギーになる様ちょっと体質を変えたらどうかな?」

クッキーの袋を開けながら碧が提案する。


おお!

「良いじゃん、それ!!

蕁麻疹が出るだけじゃなくって酷い花粉症と同じような症状が出る様にすれば、流石にストレス解消の為と言えども家に持ち込まないでしょ!」


私も大学に入る直前位から花粉症の症状が出てきてあれは中々辛かった。

家の中に出来るだけ花粉を持ち込まない様して、更に空気洗浄機をガンガン使う事でなんとか眠れたけど、碧に体質改善してもらうまでは本当にうざかったのだ。


あれの原因を自発的に家の中に持ち込むなんて、絶対にしないだろう。

新しいアレルギーに気付くタイミングによっては買った猫を捨てるぐらいの事はするかも知れないが、買ったばかりの子猫だったら捨てられていても拾った人が飼ってくれる可能性が高い・・・と期待したい。


ペットショップに入ったらくしゃみが止まらないぐらい酷いのにして貰おう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 悪さをしてるから好きなだけ報復して良い、という倫理観の主人公たちは誰にも裁かれないわけか 昭和のコミックならそんな感じが当たり前か
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