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日頃の行い?

「ただいま〜・・・?」

実家の帰って、思わず挨拶の最後が疑問符になった。


何これ!!!???

家の中が瘴気だらけなんだけど!!


慌ててリビングに駆け込むが、そこで座ってテレビを見ていた両親は普通だった。

ちょっと疲れた顔をしているけど。


いや、考えてみたら年末の大掃除もせずに座り込んでテレビを見ている事自体がちょっと普通じゃないかも??

午前中に快適生活ラボの年末の締め作業をやっていたせいで帰宅が遅れたが、まだ午後の3時ぐらいなのだ。

28日の午後だったら今までの経験だと両親は年賀状のコメントを必死で書いているか大掃除しているかなのに、ぼんやりとテレビを見ているのはおかしい。


机の上に置いてある年賀状は書きかけのようだし。


兄や私はメールやチャットアプリで済ませているが、両親は未だに年始の挨拶として年賀状を毎年出している。

母のはクリスマス前ぐらいに投函され、父の分は仕事納めの翌日に突貫作業で終わらせて出す事が多いのだが・・・。

瘴気のせいで疲れちゃったのかな?


つうか、なんで家の中がこんなに瘴気だらけなんだ??

「どうしたの?

なんか随分と疲れてるみたいだけど」


取り敢えず何が原因か分からないので適当に声を掛けてみる。


「う〜ん、なんかちょっと頑張り過ぎたのか、昨日からやたらと疲れた感じがしちゃって。

誰かが来るわけでも無いし、寒い最中に大掃除しなくても良いかと休む事にしたの」

母が開き直った感じでお茶を飲みながら答える。


まあ、母は強い人だしね。

瘴気の影響も暫くしたら跳ね除けるだろう。

と言うか、母がガッツリ掃除したらかなりの分の瘴気も負けて出て行くんじゃないかな?

退魔の才能って程の力は無いけど、流石に今世の私の遺伝子の元らしく母は霊に対して抵抗力が強いタイプだ。


「お父さんは?

年賀状が残ってるよ?」


溜め息を吐きながら父がペンを手に取った。

「なんか肩が凝るんで一休みしていたんだが、確かに今日中に投函しないと仕事始めに間に合わないかも知れないな。

もう一息だ!」


取り敢えず、二人は瘴気の原因では無い様子。

ちょっと慣れない瘴気に疲れてるだけっぽい。

となると、上の兄の部屋に寝ている奴が諸悪の根源かな?

「兄貴が帰って来てるの?」


「頭が痛いとか言って、昨晩帰ってきてからずっと寝てるわね」

チラリと上を見ながら母が答えた。


ふむ。

どっかで何か拾ってきたのかね?


少なくとも兄貴には自覚症状があるだろうから、退魔師の存在を信じて貰えそうかな。

悩んでいた私の問題が部分的にでも解決されるなんて、私の日頃の行いが良かったのかね?

それとも兄貴の日頃の行いか。

悪霊に憑かれるなんてダメダメだが、それを祓える人物がいる家に帰ってきたって言うのは運が良いとも言える。

両親にはとばっちりだが。


さて。

退魔の才能がありそうなのが分かって見習いみたいな感じで碧から教わってるって言おうかな?

除霊は・・・この段階で私に出来ちゃうとちょっと有り難みが薄れそうだ。

まあ、自業自得なのか被害者なのかを確認してからどうするかを決めよう。

あまり状態が酷くないなら新年になってから碧の実家に遊びに行くって形にした方が自然だし。


「ただいま。

年末に帰って来るなんて珍しいね」

兄の部屋に首を突っ込んで声を掛ける。


北海道の大学に行って就職まであっちの企業を選んだ兄は、冬休みや連休は基本的にスノボに過ごすので私が覚醒する前から年末年始に帰ってきた事はない。


具合が悪くてスノボどころじゃあなかったんだろうが、ある意味良くぞ飛行機に乗って帰ってきたものだ。

悪霊に取り憑かれたら気力を無くして家で寝込んでいる事が多いのだが、年末で心細くなって家族の元に帰って来ることにしたのかね?


「凛か。

ちょっとここんところ色々問題があってな。

お前に相談したい事があって帰ってきたんだ」

ちょっと呻きながら兄が布団の中から頭を出して応じた。


おやぁ?

私に相談?

まあ、原因は頭の上に座っている悪霊だろうけど。


「どうしたの?

借金の申込みはお断りだよ?」

流石に社会人の兄貴が大学生の妹から金を借りようとするとは思わないが。


「お前、夏あたりからどっかの神社の娘とハウスシェアしているんだろ?

神社のお祓いって効き目があるのか聞いているか?」

ちょっと弱々しい声で兄が聞いてきた。


おや。

意外だ、私がハウスシェアしている相手のことなんて覚えていたんだ?


「由緒正しい神社なんだからそれなりに効果があるんじゃない?

なんかお祓いが必要になるような罰当たりな事、やったの?」


ホラー話が特に好きって訳じゃ無いから、ヤバいホットスポット巡りなんぞして悪霊を拾うなんて事は無いと思うが。


「スノボでコース外滑走をしていて、一緒にいた奴がなんかの石の塊に突っ込んで崩したんだ。

特に何も思わなかったんだけどそいつも俺もその晩から体調を崩して・・・地元の人に聞いたら、俺たちが滑って居た辺に昔の大雪崩で無くなった人達の慰霊碑があったらしいって。

あそこら辺で悪戯すると祟られるって有名らしい」


おやま。

普通の雪崩の被害者の石碑程度だったらそこまで恨みが募ることなんてないんだけどなぁ。

実は飢饉とかの餓死者の慰霊碑も混ざっているか・・・普通じゃない状況で出歩く羽目になって雪崩で亡くなってしまった人たちなのかな?


取り敢えず。

霊の存在を信じてくれそうだから、これはちょっと利用させて貰おうか。




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[一言] 慰霊・鎮魂の石塔粉砕はマジィべ。
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