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ボランティアの可否

「もうこれで終わりかな?

中々やりごたえがあって楽しい1日だったね!」

山の方からゆっくり現れた最後らしき悪霊を水鉄砲で瞬殺(当たってから消えるまでは『瞬間』では無かったけど)した碧は暫し待ったあと、水鉄砲をバッグに突っ込み思いっきり伸びをした。


「悪霊の総数的にはあの病院に匹敵したよね?

今回は碧の欲求に合致していたから良いけど、普段だったらこうも次から次へと出てきたらクレームもんじゃない?」

敷地に結界を張ってやったらもっと数は少なかっただろうが、普通の退魔師だったらちょっと厳しかったよね??

それに、これじゃあ除霊が終わって帰っても、暫くしたらまた悪霊だらけになっていただろう。


まあ、大きな工場を作るんだったら敷地に退魔の結界を張っておくべきだったと言う説もあるが。


「今回は私が多めな不特定多数で良いって言って請けた依頼だからねぇ。

退魔協会としては事前調査した際に近くから悪霊が流れ込んでいる可能性があるとは報告していたらしいし」

そう報告されて、FPSをやりたがる碧が希望するまで依頼を請ける人が居なかったと言う事は・・・その近所の悪霊源に関して依頼主は金を出す気はないと言うことか。


まあ、一度綺麗にさせて、急いで個々の設備を取り壊しした後に新規設備に退魔結界を設置すれば問題は多分無い・・・筈?


でもねぇ。

峠道だからなぁ。

流通センターとなったらトラックとかが夜間にも走ることになって交通事故が多発しそうな気もする。

ネットで何かを買った際に『配達状況』を見ると、朝の4時とか5時に『何ちゃら流通センターに到着』とか書いてある事が多いからなぁ。


飛行機や貨物列車で到着って事も多いだろうけど、空港なり駅なりから流通センターまでを繋ぐのはトラックだ。

つまり流通センター周りだと、夜明け前に動くトラックって多くなるよね?


「ちょっとあっちの辺まで歩いてみない?」

碧がFPSモドキを楽しんでいる間に確認していた悪霊の流入元の方を指しながら碧に声を掛ける。


「敷地外だったら多分誰も依頼を出さないよ?

例えトラック事故が多発しても、夜間に疲労が酷い状態で運転させた運送会社が悪いって事になってそっちの安全対策が見直されるだけだろうし」

碧が車のトランクにキャリーカートを仕舞いながら指摘した。


「まあねぇ。

ある意味、運送会社のブラックな労働環境が改善される機会を奪うのは良くないかもだけど・・・これだけ悪霊が溜まる場所を無視するのもちょっと気が引けるし」

これで近いうちに新しい依頼が入ると予想されるなら態々依頼を潰すような事をする気はないが、それこそ大量に人が死ななければ企業も自治体も腰を上げなそうな状況なのだ。


偶には暇潰しにちょっとしたボランティアをしても良いだろう。


「正義感で依頼になりそうな悪霊とか溜まり場を報酬ゼロで潰して回ると、協会に睨まれるんだけどねぇ。

まあ、ここは数年単位は確実に依頼に繋がらないだろうから、大丈夫かな?」

バタンとトランクを閉めながら碧がこちらに来た。


なる程。

ある意味、金さえ取れば協会を通さなくても除霊をする事自体は良いのか。


ボランティアでやってくれる退魔師が居るという噂が流れるのが不味いんだろう。


もっとも、これだけ悪霊が溜まるまで金をケチるんだから、持ち主も自治体もそれ程本気で霊の存在を信じていないんだろうけど。原因がいつの間にか無くなっていても単に元々気のせいだったと思う気がする。


10分ほど廃工場から山の上の方に歩いて行ったら、ちょっとした細い横道が見つかった。

まあ、見つかったと言うよりも、あの血色な温泉の石碑と同じで悪霊の圧で植物が育って居ない箇所があったって感じ。


機械をすり抜けられるのに、何故か霊って岩や木をすり抜けずに道沿いに進むことが多いんだよねぇ。

お蔭で車道から歩いて入れる雑草の生えていない道があって、歩き易くて助かったけど。


「暴走族の連中がふざけて壊したのかな?」

幾つかの破片に割れている石碑を見て碧が呟く。


「明らかにあの廃工場に集まって来ていたから、暴走族が壊したんだろうねぇ」

今日は碧が除霊しまくったせいか、霊は残って居ないが・・・瘴気が一面に漂っていて地面にも染み込んでいる。


よっぽど恨みの篭った連中を封じていた石碑だったんだなぁ。

「取り敢えず、瘴気を祓っておくね」


除霊だと碧がやった方が優しいのだが、瘴気祓いなら私が大雑把にやっても問題ない。

これで今後も悪霊溜まりにならない・・・筈。


今日の私の善行ってやつだね。


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