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ハンディキャップ

悩みながら唸っていた碧に興味が湧いたのか、とうとう源之助がキャットタワーのボックスから出てきた。


ふんふんと碧が破壊したコントローラーの匂いを嗅いでいる。


「これはおもちゃじゃ無いんだよん」

破片を誤食したら危ないので取り敢えず撤去。

これって一応プラスチックゴミでいいんだよね??

中に金属の回路とか入っていそうだけど、流石にバラして別々にするのは厳しいぞ?


取り敢えず壊れたコントローラーをビニール袋に入れて台所にどけて戻ってきたら、丁度碧が唸り終わったところだった。

「よし、決めた!!」

碧が顔を上げて大きな声で宣言する。


おい、源之助がびっくりしてるぞ。

ニャンコに突然の大声はダメでしょう。


「魔道具を作って貰う代わりに、源之助がいる時にゲームをする!

画面の前に源之助と言う障害があるから、魔道具を使うズルを相殺するでしょ?」


良い事を言った!と言う顔でこっちを見られてもなぁ。


「まあ、そう言うハンディキャップもありかもねぇ。

でも、ガッツリ魔力を込めてパワーアップした際に物を壊さない訓練はやっておいて損は無いよ?」

焦って急ぐ時にうっかりドアノブを引き抜いたりしないで済むし。


ゲームで頻繁に使う事で魔力による身体能力アップに慣れたら、急ぐ時にうっかりパワーアップする可能性が高いと思うけどなぁ。

まあ、自分の魔力による身体強化を行わずに魔道具だけでやっていくなら、うっかり無意識に使う事も無いかもだけど。


前世では魔力での身体能力アップは魔術学院で初年度に習う初歩的なスキルだった。

戦闘職の人間も、魔力が少しでもあれば身体強化は身につける。

だから潤沢に魔力がある魔術師や、騎士とかがよく使うフロアの家具や建具は錬金術師が耐久性を強化していたけど・・・こっちではそんなの出来ないからねぇ。


錬金術師の技は『付加』さえ出来るならば、最小限の魔力を持つ人間なら誰でも修行を積めば(得意不得意な分野があるにしても)ある程度は出来るようになる技術だった。

だから私でも可能な筈なんだけど・・・権力者にとって便利な黒魔術師にそんな誰でも出来る(語弊はあるが)技術の修行に時間を割かせる訳は無く、授業ですら学ばなかったから初歩的なことも全く知らないんだよねぇ。

だから私にはどうしようもない。


強化とかの錬金が出来れば、携帯を強化して落としても壊れないように出来たのに・・・残念だ。

普通の魔術と違ってどれだけ魔導師が集中して魔力を込めても魔法陣が浮かんでこないので、錬金術は魔術ではないとすら言われていた。

試行錯誤が大量に必要だが効果は自然反応的なものではないし、魔力も使うんだから、魔術の一種ではあると思うんだけど。

系統が違う魔力の使い方なんだろう。もしかしたら前世とは違う世界から転生した人間が広めた異世界の魔術なのかも?

もしも来世で錬金術がある世界に生まれたら、是非とも身につけたいものだ。


それはともかく。


「う〜ん、身体能力を上げた状態でテニスボールでも使ってお手玉してみるけど、コントローラーを壊しまくって訓練する気はちょっと起きないかなぁ。

家具や建物を壊す様になったら考えるわ」

碧が肩を竦めて応じた。


まあ、白龍さまの事を考えると、碧が真剣に身体能力アップの訓練をする必要はないもんね。


「そんじゃあまあ、認識速度と思考速度を上げる魔道具を作ってみるか。

慣れるまでは数分で頭が痛くなるから、気をつけてね」

一応3段階ぐらいに強化の強弱も付けておこう。


ついでに集中力アップの魔道具も作っておくかなぁ。

大学受験の時にはよくあの術は活用した。

認識速度とか思考速度を上げるよりは負担が少ないから、あっちに慣れるまでは集中力アップでプレーすればいいんじゃないかね?


ある意味、集中するだけだったら他のプレイヤーだってしているんだから不公平じゃないし。


「ちなみに、肉体的な神経の伝達速度アップの魔道具は白魔術だよ?

作ってみる?

ごく弱いのにすればコントローラーも壊れないと思うけど」

人間の限界を超えた速さでコントローラーを動かしても故障するだけだから、ごく弱いのにする必要があるけど。


でも、考えてみたら神経伝達速度は白魔術師なのに、認識とか思考を早めるのは黒魔術なのって不思議だよなぁ。

認識とか思考だって肉体的に脳の神経伝達速度に依存しそうなものだが。


記憶力アップとか集中力アップは黒魔術なのに、認知症の治療は白魔術だし。

イマイチ何が肉体で何が精神に基づくのか、ミステリーだ。

白魔術と黒魔術って意外と近いのかと思う時もあるけど、黒魔術では肉体的な治療は出来ないんだよねぇ。

まあ、治ると思い込ませるプラセボ効果で体の免疫システムを騙して多少は症状を改善したり、疲労や痛みを感じさせない事で死ぬ前に最後の気力を振り絞るのを手伝ったりは出来るけど。


魔術師の適性に関する理解が進んでいなかった昔なんかは、そう言う小手先魔術で黒魔術師なのに治療師のふりをして周りを騙した人間もいたんだろうなぁ。

まあ、薬の調合とかがちゃんと出来れば黒魔術師でもそれなりに治療師としてやっていけたかもだけど。


・・・来世の為に民間治療的な薬草の知識も少し身につけておくと良いかも?

でも、来世の世界で地球に植生があるかはかなり怪しいか。


取り敢えず。

魔道具を作ってからどんな薬草があるか、調べてみよう。



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