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ぷく〜っと。

「じゃあ、いくよ〜!」

『ほいほい〜』


通話アプリでオーストラリアの佳さん(碧の従姉妹)と繋がりながら、実験。


昔は国際電話でそれなりに普通の人間でも認識できるぐらいの遅れがあったらしいけど、今じゃあほぼ感じられないからこれで十分呪詛返しのスピードを確認出来るだろう。


考えてみたら呪詛と普通の魔術って色々違いがあるから呪詛返しのスピードが分かっても魔力の伝達速度が確認できるとは限らないけどね。

まあ、現実的な話として魔術で戦争したりする訳でもないんだから、伝達速度がどうであってもさして意味はない。


一応念話の魔道具みたいのを作れないか、頑張ってみるつもりだけどね。

念話は距離でそれなりに必要魔力量が変わる技能だから、あんまり長距離になると魔道具が起動しないだろうが。


前世だったら他の魔術師や大きな魔石でブーストして他国の人間と通信する事が可能だった・・・けど、考えてみたらあれは通信用魔道具であって念話用魔道具じゃなかったなぁ。

でも通信用魔道具だったら態々作らないでも携帯で十分だ。


人前で話さずに碧と相談する為に欲しいんだから、念話である事は必須要件なんだよねぇ。

まあ、それはともかく。


佳さんから送って貰った毛を使った呪詛人形を破く。

込める魔力量を最低限にし、簡単に起動出来る様に以前見た呪詛返し狙いの人形を参考にさせてもらった。


で、アプリの画面を見つめる事数秒。

佳さんも手元のコンパクトをじっと注視している。


『あ!

なんか赤らんできた!』

通話アプリの画像がそこまで良くないせいか、我々にははっきり見えなかったが本人にはしっかり見えたらしい。


とは言え。

体に不調を起こすタイプの呪詛だから、即効性はイマイチだった。

特にニキビだとねぇ。

他にも試した腹痛の方が反応は早かったが、通話アプリの動画場面で見える結果が欲しかったのでニキビから変更しなかったのだ。

呪詛が届くのに時間が掛かったのか、体の反応でニキビが出てくるまでに時間が掛かったのか、分からないけどね。


佳さんは碧の従姉妹でお兄さんは才能持ちだから退魔の術について知っているが、才能そのものはないので呪詛を受けても目で見える反応以外は分からない。


私に呪詛返し来る時はもっとはっきり分かるといいんだけど。

一応同じ部屋にいる碧がニキビの呪詛を返した時は直ぐに感じ取れた。

距離で返しの感覚が薄くならない限り、返ってくるのにかかる時間も分かるはず。


まあ、それはさておき。

私たちがタブレットの画面を見つめている間に、佳さんの鼻の上がぷく〜っと膨れてニキビになった。


『凄い!!

こんな見る間に膨らんでくニキビって初めて見た!!』

クツクツ笑いながら佳さんが指でそっとニキビをつつく。


「突いて痛くない?」

碧が尋ねる。


『平気だねぇ。

普通のニキビ程炎症になってないのかな?

面白すぎる。

これ、潰してもまた出てくるんでしょ?

ちょっと潰してみても良い?』

佳さんが虫眼鏡を持ってきてコンパクトをグッと覗き込みながら尋ねてきた。


「良いけど、あまりやり過ぎると肌に跡が残るかもよ?」


ちなみに何度も潰しても設定した時間の中だったらひたすらニキビは出てきたが、魔力を消費するのか10回潰した後の返しはちょっと弱めな感じだった。

ニキビは2つ出来たけど、小さめだったのだ。


ある意味、ニキビの呪いだったらひたすら潰せばゴリ押しな魔力切れという形で呪いを消去出来るかも知れないと思ったが・・・下手に潰し過ぎると肌に跡が残りかねないので普通に神社でお祓いをしてもらう方が無難だろう。


実際にニキビの呪いなんてかける人は居ないだろうけど。


そんな事を考えている間に、佳さんが人差し指2本の爪を使ってニキビを潰した。

見ていたら、直ぐにぷく〜っと次のニキビが別の場所に出来る。


『う〜ん、不思議すぎる。

呪詛って初めて見たんだけど、意外と理不尽な現象なんだねぇ。

今まで悪霊が起こす現象っていうのは見たことがあったけど、アレの方がなんか自然現象っぽい気がして納得できるかも』

しげしげと新しく出てきたニキビを見ながら佳さんが言った。


「まあ、確かにチョコを食べた訳でもないのにニキビがぷくぷくと出てくるのって理不尽だよねぇ。

まあ、それはいいとして。今度はこないだ送った符を使ってみて」

散々ニキビ呪詛のテストの時に色々試した碧が合意しながら、佳さんに回復符を使う様に促す。


売る時は回復符も色々と制限があるのだが、従姉妹にあげる分はバレなきゃOK。

金が動かないからバレてもOKかもだけど。


『分かった。

じゃあ。いくよ?』

佳さんが、回復符をニキビに押し当てた。


「お!

返ってきた!!」

押し当てた動きが見えたのとほぼ同じ瞬間に、呪詛に込めた力が捻れて返ってきたのを感じる。


「本当だ!!

ニキビが2個出てきた!!」

碧が笑いながら私の鼻を指差した。


どうやら、呪詛の返しは光のスピードとほぼ同じぐらいっぽい。




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