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「今日、大学に行ったら八幡先輩に絢小路の弟子入りカンパは止めたって聞いて久しぶりにサークルに顔を出したらそいつに捕まっちゃって・・・碧に弟子入り費用の減額交渉に協力するよう説得してくれって頼まれた。

碧は退魔師と関係ないんじゃない?で通したら引いてくれたけど、白龍さまの愛し子の事ってそれなりに業界で有名なんでしょ?

そのうち絢小路にバレない?」

帰宅して鞄を置いて直ぐに碧に聞いてみた。

もしも絢小路が更に調べてやはり碧が退魔師だったとバレた場合、大学で変に周りの人間を巻き込んで粘着してくる前に適当な理由をでっち上げて絢小路を呼び出し、記憶を修正するなり何なりする必要があるかも知れないのだ。


早い目にリスクを知っておくべきだろう。


「ああ、それは多分大丈夫じゃないかな?

この業界は下手をすると詐欺師呼ばわりされるからね。

一人前になって退魔協会に登録されるまでは、他の退魔師の情報は弟子にも絶対に漏らさない決まりになっているの。

流石にウチは氏神さま関連でちょっと有名だから情報が漏れたみたいだけど、退魔師としての名前は聞いてなかったんでしょ?」

相も変わらず源之助と遊んでいた碧が、こちらの方へオモチャのボールを転がしながら意外と呑気に答えた。


狙ったのか偶然なのか、ボールが私の足のところで止まったのでそのまま蹴り返す。

下手に足元にボールがあると、源之助がそれに飛びかかった際についでに引っ掛かれる事があるんだよねぇ。

「なんかベテラン退魔師って弟子に雑用を押し付けまくるイメージがあるんだけど、大丈夫かね?」

まあ、最近は業界団体の会員簿なんて物も作られなくなったみたいだから、詳細まではバレないだろうが・・・大規模案件で一緒になる退魔師の氏名ぐらいはメールに書いてありそう。


「師匠役にしても、『他のところから弟子入りの誘いが来てるんですが』って類いの減額交渉を受けると面倒だから、一族の人間に割安で教えているタイプ以外は基本的に弟子に対する同業者の情報管理はかなりしっかりしているって話だよ?」

ボールを追いかけて突進してきた源之助にちょいちょいと足の指を動かしてちょっかいをかけながら碧が答える。


源之助用に分厚い靴下を履いていてもうっかりぐさっと爪が刺さる時もあるのに、愛だねぇ。


「そっか。

じゃあ大丈夫かな?

まあ、また暫くサークルに顔を出すのは止めるつもりだし、問題にならないか」

あれだけの割合のサークルメンバーが、収入を度外視して退魔師になりたがるような人間だったって言うのはかなり驚きだ。


ちょっと想定以上に価値観が違いすぎる。

私は魔術を既に身につけているし、剣と魔法の世界で生きた記憶があるせいで魔術にそこまで憧れていないのかもだけど・・・。

いや、覚醒前の自分でも、収入を度外視して夢だけで食っていこうとは思うような価値観は無かったよね??


退魔師になれるなら大学卒業時の就職機会を捨てても良いなんて思う人間って、社会人になってからも似たような機会があったら会社を辞めてそっちに行きそうで、ある意味結婚するのも怖いぞ。

でも、考えてみたら誰も絢小路と一緒に弟子入りしたいとまでは言っていないみたいだから、もう少し現実的ではあるのかな?


100万円を普通のサラリーマン家庭の大学生が準備しようと思ったらかなり難しいだろうから、経済的に無理なのかもだけど。

そう考えると安易にカンパを募れば良いやと思う絢小路って、ハードルが低いと言うか、金に関する感性が金持ちだねぇ。


「それに、ネットに変な風に情報が晒されていても退魔協会に言えば何やらコネを使ってかなりガッツリ消してくれるから」

碧が付け加えた。


コネ、ねぇ。

「裁判所とか経由しなくて大丈夫なんだ?」


「海外の方が魔術師関連の情報漏洩に神経質だからね。

あっちはガチで殺しに来る狂信的な宗教セクトとかあるし。

全世界的な協会同士の協力体勢が構築されていて、どの国にサーバーがあっても連絡したら数日で全部消えるらしいよ」

碧が教えてくれた。


なにそれ。

それってつまり、魔術師とか退魔師の情報を一般公開しようとしても、消されるってこと?

なんかこの協力体勢が悪用されたら自分の情報まで全部消されそうで怖いんだけど。


普通のネット情報だけじゃなくて役所の戸籍とかマイナンバー情報とかも消されたりしたら、現代社会じゃあ生きていけなくならない??



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